腰痛は、日常生活の中でも多くの方が経験される痛みのひとつです。

腰痛の原因には、椎間板ヘルニア、変形性脊椎症、腰椎滑り症などがあげられます。
そのなかでも比較的多いものが、筋・筋膜性腰痛症というものです。

これらの腰痛症は、過度な労働・スポーツや姿勢の悪さが原因とされています。
手術などの外科的適応ではないのです。
そのため、いろいろな保存療法の適応になり、その中でも腰椎コルセットが一般的です。

腰椎圧迫骨折、腰の手術を受けた方など、急性期の場合は安静をたもつ目的での治療用装具とみなされています。

今回は慢性腰痛の場合のコルセット装着についてまとめてみました。

コルセットはずっとつけ続けていいのだろうか?
コルセットをつけていると筋力低下しないのだろうか?
という不安もあるのでは。

コルセットの装着によって筋力低下するということも耳にされたことがありませんか?

コルセットの作用

コルセットの作用はまず、お腹の筋肉を押さえることで腹腔内圧を上昇させます。

お腹の中の圧が上がることによって、椎間板にかかる負荷を30%減少させるという研究結果があります。

そして姿勢が安定するので、腰まわりの筋肉を支えることが可能となるのです。

コルセット装着のメリット

①腰にかかる負担の軽減

痛めている腰背部の筋肉にかかる負荷を減少させます。

②姿勢の安定

軟性コルセットでも硬性コルセットでも、体幹を支えてくれるので、楽に姿勢を保てるようになります。

③からだを動かしやすくする

コルセットを装着すると痛みが軽減するため、からだを動かすことが楽になります。

④精神的な安心感

コルセットを装着することで痛みが和らぐという、装着による安心感を得られます。

⑤腰まわりの保温

コルセットを装着することで、腰まわりの保温になり、緊張した筋肉をほぐすといわれています。

コルセット装着による筋力低下

腰痛症の急性期にコルセットを装着することは、痛みのある部位の安静を保つことと負荷の低減をはかる上では、必ずしも間違ったものではありません。

しかし、炎症が治まった慢性期の場合には、逆に患部の過剰な安静・固定は炎症後の組織の回復の遅延や筋力低下を誘発して、逆に腰痛症状の慢性化・遷延化におちいる危険性も指摘されているのです。

コルセット装着のデメリット

コルセットの長期装着による筋力低下のほかに、以下のデメリットがあります。

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①強いしめつけによる換気運動の制限

コルセットは体幹の安定を高めます。
その反面、呼吸をするときの胸の拡がりや横隔膜の運動を制限します。
過度のしめつけ、また、装着範囲が胸の下までくるような幅の広いコルセットは、内臓を圧迫、横隔膜が挙上することで換気運動を制限する可能性があるとの報告もあります。

②冷え性

コルセットで内臓を圧迫することにより、血流が悪くなります。
それに伴い、内蔵の働きが低下し、冷え性になることも。
長期のコルセット装着により筋肉も衰えてしまうと、熱を発生できなくなり、基礎体温も低下してしまいます。

③コルセット依存

コルセットをしていないと痛みが出てしまう。
コルセットをしていることで腰が楽になることに慣れてしまう。
そして、コルセットがないことで不安になってしまい、依存してしまう傾向にあります。

④コルセットは痛みを治すものではない

コルセットは腰の負担を減らし、腰痛を軽減してはくれますが、治してくれるわけではありません。

コルセットを装着する場合の注意点

①しめつきすぎない

固定すると痛みが楽になるといって、強くしめつけすぎないようにしましょう。
適度な圧迫は腹圧を高めるので有効です。

②装着部位は正しいか

座ったときのそけい部への食い込みはないでしょうか?
食い込みは足の動きを妨げます。
また、同じ場所にばかり圧がかかると皮膚に潰瘍ができてしまうことも。

正しい位置に装着しましょう。

③コルセットの幅は狭すぎたり広すぎたりしないか

コルセット装着の目的は腹圧上昇です。
コルセットの幅があまりに短いと装具のズレが大きく、逆に広すぎると圧迫感をともない、不快感につながります。

必要であれば専門業者の方、医療機関などに相談し、調整してもらいましょう。

コルセットに依存しないための普段の生活について

コルセットは基本的に、腰の負担を軽減するためのものです。

今回は慢性腰痛の場合のコルセット装着のメリット、デメリットについてまとめています。

痛みが強い場合のコルセット装着は問題ありませんが、急性の腰痛が落ち着いてきたら、装着する時間を短くするなど、工夫が必要です。
なんとなく安心だから、と装着せず、まずは根本的な腰痛の原因を取り除くことが大切です。

普段からの身体のうごかし方、癖など見直す点はないか自己分析をしてみましょう。

慢性腰痛のある方は、姿勢を保つ内外腹斜筋・腹横筋・多裂筋など腹腔周囲の筋力が低下していることが多いようです。
まずはこの筋力をつけるためのトレーニングなどを行ってみてはいかがでしょうか。

場合によっては医療機関や整体などで相談してみることをおすすめします。

参考文献

小川 正典:「腰部コルセット装着の腰背筋群の筋力への影響に関する形状記憶合金入りコルセットを用いた実験と考察」大同大学紀要−第50巻 p59〜64,2014
浜西 千秋:「腰痛性疾患にみられる『コルセット筋』の筋力低下と簡便な座位トレーニング」日本腰痛会誌,13(1) p52~57,2007

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著者情報

腰痛メディア編集部
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