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みなさんは日常生活の中で栄養素のバランスを気にしながら食事を作っているでしょうか。私は病院で多くの栄養指導などに携わってきましたが、気にして料理を作っているつもりでも意外とバランスが崩れていたりすることもあります。ここでは特に栄養素と腰痛の関係に注目しながら話を進めていきたいと思います。

栄養素が偏ると腰痛を引き起こす!?

人間の体は様々な栄養素がバランスを取り合う事で成立しています。例えばですが電解質と呼ばれるNa,Ca,Kなどがバランスを崩してしまうと意識喪失や痙攣などを引き起こします。このように栄養素はちょっとしたバランスを崩すだけで人間の体には有害な事象を引き起こします。では腰痛はどうでしょうか。
ミネラルやビタミンなどのバランスが崩れてしまうと、筋緊張や骨密度の低下、血流の悪化を引き起こすことがあります。これらは腰痛の原因とされているために注意が必要です。またビタミンが不足すると骨折を引き起こす原因ともなります。

作れていますか、症状にあった食事

私たちは例えばですが、熱が出ている時には食べやすいようにおかゆを作ったりします。また糖尿病を抱える人は糖質を制限して血糖値に配慮した食事を作ります。そうして私たちは症状や自身の体調にあった食事を作ります。では腰痛を抱える人にとって最適な食事とはなんでしょうか。腰痛を抱えている人の場合には、ビタミンやミネラルをバランスよく摂取する事が重要となります。
このバランスが崩れてしまうと腰痛の原因となる疾患を引き起こすきっかけとなるために注意が必要となります。次の項では腰痛予防に必要な栄養素を解説していきたいと思います。

ビタミンE

脂溶性ビタミンの1つで、その正体はトコフェロールと言われる物質です。このビタミンが不足しますと生殖機能の減退を引き起こしてしまい不妊につながります。また筋肉にも作用し筋委縮を引き起こすことがあります。これにより腰の周りの筋肉などが委縮してしまうと腰痛の原因や全身の拘縮など廃用症候群につながることもあります。
ビタミンEのもう一つの顔としては動脈硬化の予防が挙げられます。動脈が硬化していきますと血圧の上昇やその他の内科系疾患を引き起こすことになります。動脈が硬化する事で血絵龍が悪くなってしまうために筋肉に血流がいきわたりにくくなり、血流悪化による腰痛を引き起こすこともあります。ビタミンEには上記の作用ともう一つだけ効果があります。
それは自律神経のバランスを取るという作用があります。知っての通り自律神経とは副交感神経と交感神経の2種類から構成されている神経です。交感神経は別名でバトル神経とも呼ばれており興奮している際や怒っている時、緊張している時、運動している時などに優位となります。ストレスを感じている時にもこの神経は常に優位となっており筋肉も緊張状態にあることを指します。
過度なストレスにより常に緊張状態が続いていると、筋肉は疲弊し自律神経失調症の症状が現れてしまいます。例えるのであれば一日中ずっと全身の筋肉に力を入れている状態です。この状態では筋緊張による疼痛が出現します。これによって腰痛を引き起こすこともあります。

※ビタミンEを摂取できる食べ物:大豆製品、カボチャ、ゴマ、ウナギなど

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腰痛と絶食患者のお話

療養上の指示により絶食となった高齢の男性がいました。この男性は今までは自宅で生活し元気に歩いたりして過ごしていました。この男性は最終診断として胃がんと診断され胃の全摘出術を行いました。その後もなかなか食事を食べることが出来ないまま経過しました。少しずつ流動食などを食べることが出来るようになりました。リハビリなどの訓練のおかげもあり、歩行する事が可能になりました。ある時歩行していると「太ももがしびれる。腰のあたりも痛い。」と話をしました。
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の発症かと考えましたが、実はビタミン不足によるニューロパチー(末梢神経障害)であることがわかりました。その他にも腰の痛みが出現したりし最終的には寝たきりになってしまいました。ではなぜこのようなことが起きたのでしょうか。

ビタミン吸収の阻害

人間の体では主に胃でビタミンを吸収します。この人の場合は胃を摘出している事でビタミン吸収が食べ物などから行えていませんでした。それによりビタミンが不足し自律神経のバランスが崩れました。さらに前述したようにビタミンが不足する事で筋肉の活動性が低下し疼痛を引き起こすことになってしまいました。胃の機能というのは食物の消化だけではありません。栄養素の吸収という大事な役割を担っています。
そのため胃の病気(胃潰瘍、胃炎など)によって胃の機能が十分に機能していない場合にはこういったビタミン不足を引き起こし、最終的には腰痛や神経症状を最悪の場合には廃用症候群となってしまいます。ビタミンをしっかりと摂取する事も必要ですが、胃の状態をしっかりと保つという事が必要となります。

ビタミンC

このビタミンCは水溶性ビタミンの一種で、この栄養素が不足すると壊血病を発症する事になります。この壊血病という病気は大航海時代に流行った病気とされています。現代見たく冷蔵庫がなくビタミンCを摂取するための新鮮な果物や野菜がなかったことが原因であるとされています。この壊血病は現代では少なくなったとされています。壊血病の症状としては口腔内病変や歯肉炎や出血などがあります。その他の症状としては関節や骨の変化を呈する事があります。
これはビタミンCが不足する事でコラーゲンや骨密度の低下が引き起こされるためとされています。それにより腰の骨の変形や、骨密度低下による骨粗鬆症の発症や、圧迫骨折を引き起こすことで腰痛を発症する事があります。

※ビタミンCを摂取できる食べ物:果物(オレンジ、ミカン、リンゴなど)、緑黄色野菜

最後に

ここでは2つの栄養素について紹介しました。たった二つの栄養素ですが人間の体に不足する事や、バランスが崩れてしまう事で大きな病気を引き起こすことや腰痛を引き起こすことなど様々な有害事象が発生します。みなさんは振り返ってみてこれらの栄養素をバランスよく摂取する事が出来ていますか。ここで注意してもらいたいのが一日の中で3食を摂取する事です。朝食べていないから昼ごはんでまとめて食べようなど偏食になってしまってはバランスのとれた食事にはなりません。
現代では仕事などで生活リズムが不規則になってしまう事がありどうしても一食抜いてしまうなどがあります。特に年齢が若ければ若いほどその特徴は顕著だとされています。ストレッチや有酸素運動などと一緒に行うとより効果的です。
この記事をきっかけにぜひとも自身の食生活の習慣を見直してもらいたいと思います。次回は、今回に引き続き栄養素と腰痛について紹介したいと思います。

~第2弾:食生活を改善する事で腰痛の改善や予防が期待できるという事実~
~第3弾:食生活を改善する事で腰痛の改善や予防が期待できるという事実~

<参考文献>

若林秀隆「サルコペニアを知ろう」 医学書院
東京都健康長寿医療センター研究所「ビタミンCが足りないと老化が進む」
・内田淳正 「標準整形外科学」 医学書院
・細田多穂 「運動器障害理学療法学」 南江堂

著者情報

ショーン
ショーン

保有資格

正看護師国家資格

日本コミュニケーション協会認定 心理カウンセラー

日本コミュニケーション協会認定 コーチングコーチ

経歴

武蔵野大学 人文科学部卒業

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