はじめに

腰痛の治療法の一つとしてコルセットの利用が挙げられます。腰痛の原因によっても選択すべきコルセットとその利用期間は異なります。コルセットは正しく使えていないと、腰痛を悪化させてしまう原因になるかもしれません。
今回はどういった腰痛にコルセットが有効なのか、またコルセットの正しい選び方と使い方を紹介したいと思います。

コルセットの選び方

コルセットはサポーターのような柔らかさのある軟性のものから、スポーツ用に開発されているもの、医療用の軸芯の入った固定性の高い硬性コルセットまでさまざまです。まずは腰痛の原因と安静度に着目してみましょう。
圧迫骨折や疲労骨折が原因の腰痛は、固定性の高い医療用コルセットや、場合によってはギプスを巻く場合があります。
これは骨折初期の段階で十分な安静が守れないと骨折部位が偽関節になり、腰痛が将来的に残ってしまう可能性があるからです。
骨折の治療は骨折の程度や年齢によっても安静度が異なってくるため、安静度は医師の指示に従いましょう。
脊柱管狭窄症やヘルニアなどの疾患の場合、症状や活動性に合わせてコルセットを選択します。
より安静が必要な場合は硬性コルセットを、安静だけでなく適度な筋肉運動が必要な症状が軽度の場合は軟性コルセットを選択します。
筋筋膜性腰痛の場合、スポーツ用コルセットやサポーターにて筋肉にかかる負担を軽減するといいでしょう。
コルセット選択の基準の1つとなるのは腰痛の原因つまり診断名とその重症度です。

また、コルセットは自分の体のサイズに合ったものを使いましょう。体格や年齢によっても合うサイズが異なります。
家族や友人間で使い回す場合は、サイズもしっかりチェックしてから使い始めましょう。

コルセットの値段

薬局やオンラインから購入できるサポーターやコルセットは、その機能やサイズに応じて2,000円〜5,000円程度が相場です。
それに比べて病院でオーダーメイドで処方される医療用コルセットは30,000円〜40,000円と高額です。
しかしコルセットが疾病または治療の遂行上必要なものと認められる場合は医療保険適応となる場合があります。
腰痛の状態や安静度は診断名だけでなく、その重症度によっても異なってくるため、必要なコルセットがわからない場合は医師に相談するといいでしょう。

コルセットの効果

コルセットを装着すると圧迫されることにより腹圧が上がり、腰の動作が制限されます。
そのためコルセットをしたことで腰痛が楽になったと感じる人も少なくありません。しかしコルセットで腰痛が良くなるのではなく、コルセットをつけることによって腰にかかる負担が少なくなるため腰痛がでにくくなるだけです。損傷を受けた部位は繰り返し損傷を起こさなければ自然治癒力で自然と回復していくため、腰痛初期はコルセットの着用が効果的です。しかしコルセットはあくまでも対症療法の一つで、コルセットが腰痛を治しているわけではないことは理解しておきましょう。

コルセットの使い方

コルセットをつける位置はコルセットの大きさによっても異なりますが、幅の広いものの場合は骨盤の上半分から腰にかけて覆うように装着しましょう。背骨と骨盤の位置関係をコルセットでしっかりと固定することで、腰にかかる負担が軽減されます。また、コルセットは軽く圧迫感を感じる程度で、呼吸が楽に行える範囲で締めましょう。緩くつけていても、反対に締めすぎていてもコルセットの腰痛軽減効果は薄れてしまいます。

コルセットを使用する期間

コルセットは腰痛の発生初期〜中期にかけての利用が理想的です。特に腰痛になってしまってからの数日間は、コルセットでしっかりと腰部を保護することで痛みの軽減と二次的な痛みや機能障害を予防することができます。
コルセットは活動性を制限して保護する働きがあるというメリットの反面、筋力低下を起こしてしまうというデメリットもあります。コルセットを長期的に使用するのではなく、腰痛が落ち着いてきたらコルセットを使う機会を減らしていき、筋力トレーニングとともに少しずつ活動量を上げていきましょう。

コルセットを外す準備

コルセットを使っていた腰部は少なからず筋力低下を起こしている可能性があります。
また、腰痛があることによってアンバランスな筋緊張になっていることも多いです。
腰痛が落ち着いてきたら、関節運動を起こさない筋力トレーニングを行うといいでしょう。筋肉は体に備え付けられた自然なコルセットとも言えます。筋肉がしっかりとしていれば、腰にかかる負担も軽減されて痛みも出にくくなります。
ここでは関節運動を起こさずにできるコルセットの役割を果たす筋肉の筋力トレーニングを紹介します。

ー腹式呼吸
腹式呼吸は体幹深層筋を鍛えるのに適したトレーニングの一つでもあります。
あおむけで寝た姿勢でできる運動を紹介します。
トレーニングを行うときは、コルセットは外しておきましょう。
1. ひざを立てた状態であおむけで寝ます。
2. 両手をお腹の上に乗せて、お腹の動きをチェックします。
3. ゆっくりと5秒数えながら鼻から大きく息を吸います。
4. 一気に空気が出ていかないように、お腹に力を入れながら口をすぼめた状態でゆっくりと10秒かけて息を吐いていきます。
5. 同じ動作を5回繰り返します。

ー腹直筋の筋力トレーニング(頭を上げる運動)
体幹の筋力はまさに体に備え付けられた自然なコルセットとも言えます。
腰の関節を動かさずに行える腹筋の筋力トレーニングを紹介します。
1. ひざを立てた状態であおむけで寝ます。
2. 両手をお腹の上に乗せて、お腹に力が入っていることを意識しながら頭をゆっくりとあげてきます。
3. このとき胸が床を離れないようにしましょう。動かすのは首までです。
4. 頭をゆっくりと下ろしていきます。
5. 同じ動作を20回ほど、自分が少しつらくなるまで繰り返します。

ー腹横筋、多裂筋を鍛えるトレーニング(よつばいの運動)
よつばいの姿勢で行う体幹筋トレーニングです。
この運動はコルセットをつけたままでも行えます。
バランスを崩さないように注意しながら行いましょう。
1. 両手とひざを床についてよつばいの姿勢になります。肩関節90°、股関節も90°曲げて、両手とひざで四角形をつくるようにしましょう。このとき腰は丸まったり、沈み込んだりしないようにまっすぐになることを心がけましょう。
2. 顔は床を見たままで右手と左足を体とまっすぐ水平になるように伸ばします。バランスをとるのが難しい場合は手を上げる運動と足を上げる運動をバラバラで行います。
3. 手足を上げた姿勢で10秒間キープします。
4. ゆっくりと手足を下ろします。
5. 次は左手と右足を同じように10秒間上げた状態でキープして、下ろします。
6. 交互に10セットほど行います。

コルセットを使うタイミング

仕事や生活動作で腰痛が出る場合、腰痛が出る動作のときだけコルセットを利用するという人も少なくありません。コルセットを利用することで痛みが予防できているのはいいことなのですが、それと同時にコルセットは関節運動を阻害するため筋肉も働きにくくなります。仕事や生活動作で腰痛がでてしまうという場合は、コルセットに頼るばかりではなく、仕事内容や生活動作を見直したり、自分の体づくりに再度目を向けてみるといいでしょう。

寝るときはコルセットを外すべき?

私たちの体は血液が巡ることで自然と疲れや損傷を修復していきます。つまり血行がいい方が腰痛が良くなるスピードも早いのです。起床時はコルセットを着用することで腰にかかる負担を軽減してくれますが、寝るときは血行を阻害しないためにもコルセットは外した方がいいでしょう。

おわりに

腰痛でコルセットを使う場合、まず腰痛がどのような原因で起こってしまっているのか、またどれくらいの安静度が必要なのかを知る必要があります。腰痛の原因を明確にして、治療手段の一つとしてコルセットをうまく活用できるといいですね。

【参考文献】
サポーター・コルセットを就寝時につけっぱなしにしてませんか?
http://iwasaseikotsuin0310.com/サポーター・コルセットを就寝時につけっぱなし/

疲れも腰痛も解消する!スタンフォード式「腹圧呼吸」のやり方
https://www.kanaloco.jp/news/life/entry-31306.html

コルセットのつけ方
http://itoshinkyuu.com/blog/コルセットのつけ方/

腰痛ベルトの正しい選び方
https://yamahack.com/1874

体幹トレーニングと腰痛
https://www.fungoal.com/core-and-back-problem/
[/su_note] 検収 岡田
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著者情報

森 亜実
森 亜実

保有資格

理学療法士、ケアマネージャー

経歴

理学療法士として7年、老人保健施設を併設した回復期病院で子供からお年寄りまで幅広い年齢層の方に関わってきました。

腰痛で来院される患者様も多く、腰痛の予防と痛みのセルフコントロールは今後の大きな課題だと感じています。

健康で明るい生活を維持できるように、読者の皆様に少しでも役立つ記事を発信できるよう努めていきます!

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