つらい腰痛を抱えるみなさん。腰痛を少しでも軽減したいという思いから杖に頼っている方もいるのではないでしょうか。杖を使うと、前傾姿勢が改善され、腰への負担は軽減したと感じるかもしれません。しかし、実は使い方次第で、腰痛を悪化させてしまっている可能性もあるのです。当記事では、腰痛による負担を軽減できる杖の選び方や使い方などご紹介します。自分に最適な杖を選び、腰痛の苦痛を少しでも軽減し、楽しい毎日を過ごせるようにしましょう。

杖は腰痛に悪影響って本当?

杖の選択次第で腰痛を良くも悪くもしてしまうということを知っていましたか?年を重ね、腰への負担を軽減させる目的やまひ側をカバーする目的などで杖を使用する方は多いはず。杖を使うことで私たちの体にどのようなメリット・デメリットをもたらすか、見ていきましょう。

杖がもたらすメリット

加齢やけが、病気に伴い、腰痛が生じると、立っているときや座っているときの姿勢やバランスが悪くなります。前傾姿勢となることで、歩行自体困難となったり、転倒を起こしやすくなったりしてしまうこともあるでしょう。そういった場合、多くの方は安定した歩行や腰への負担軽減を目的に、杖を選択します。もちろん、自分に適した杖を使用することで歩行状態の安定、足腰への負担軽減、安心感などのメリットが得られ、QOL(日常生活の質)をぐっと向上させてくれます。外出を控えていた方も、「外に出たい」「お出かけしたい」といった前向きな気持ちを持つことができ、毎日の生活に楽しみ・喜びを感じる方も増えるはずです。

杖がもたらすデメリット

自分の背丈や身体状況、残存機能に合わせた杖を選択せず、使ってしまえば、腰痛が悪化するばかりではなく、腰に負担のかかる姿勢や間違った歩行状態へつながってしまいかねません。また、転倒リスクが高まるといったデメリットがあります。転倒してしまえば、腰痛のみならず、他の症状を引き起こしてしまうこともあるでしょう。最悪の場合、歩行すらままならないなんてこともあるのです。腰の負担を軽減する目的で使ったにもかかわらず、逆効果なんてことは悲しいですよね。自分に体に適した杖に出会えるよう、杖の種類や特徴などを詳しく見ていきましょう。

知っておくべき!杖の種類と特徴、使い方

杖にはいくつか種類があるのをご存じでしょうか。自分の体に適した杖を選び、正しい姿勢で安定した歩行をするためには、杖の種類や特徴を知っておくことが大切です。

T字杖

特徴:まっすぐな一本の杖にT字型のグリップがついているため、体重がかけやすいといわれています。グリップを握ることで、杖の先を地面について歩けるタイプです。
向いている人:腕の力があり、歩行バランスが比較的安定している方におすすめ。比較的軽く、シンプルな作りをしているため、杖を使い慣れていない方や高齢者の方でも使いやすいでしょう。
おすすめポイント:持ち運びや収納に便利な折りたたみタイプ、伸縮性のあるタイプなど種類も豊富なため、選ぶ楽しみも増えます。
一本杖はT字杖のほかにステッキ型もありますが、腰痛の症状にかかわらず、どちらも杖がなくても歩行状態が安定している方におすすめでしょう。

ロフストランドクラッチ

特徴:上部に前腕を通すカフという輪っかがついており、カフの下部には手で握るためのグリップがついた杖です。
向いている人:握力が低下している方やまひがある方に向いています。
おすすめポイント:サポート力抜群であり、歩くときに安定感が得られます。T字杖と比べると、体重を分散させやすく、腰痛の負担も軽減しやすい可能性があるのです。また、握力が弱っている方や高齢者の方でも安定した歩行となるでしょう。

多脚杖

特徴:地面と接する杖の先が3点または4点になっており、体を支える点が多いため、他の杖と比較しても高い安定感があります。
向いている人:姿勢が悪い方や円背傾向の方、足腰が弱っている方、自宅などの移動がメインの方、段差がない平らな場所での利用がおすすめです。
おすすめポイント:杖の使用により、安定感のほか、足腰の筋力UPにもつながります。

他にも、松葉杖などもありますが、松葉杖は骨折や捻挫、下半身にまひや股関節症などを患っている人など、下半身のサポートとして効果的な杖です。体の左右のバランス保持や補正できるメリットがあります。骨折に伴う腰痛が生じている方は、松葉杖の使用により腰痛のつらさを軽減できる可能性が高まるでしょう。

杖の上手な選び方

杖にはさまざまな種類があることは知っていても、使うとなるとどのように選択していいのか迷ってしまいがちです。もちろん、体の障害されている部位、病気による身体状態に合わせて専門者に選択してもらうことが一番ですが、今回、腰痛の症状改善や腰への負担がかからない、誰でも簡単にできる杖の選び方をご紹介します。杖を選ぶときのポイントとして大切な点「長さ」「グリップ」「軽さ」「太さ」「丈夫さ」「歩行」「身体機能」に目を向けましょう。

長さ

慎重に適した杖でないと、歩行が不安定になるほか、間違った姿勢となり、腰痛を悪化させてしまいます。杖の長さとして「身長÷2+3」した長さが最適であるといわれています。一本杖の場合、腕を垂直に下ろしたときに手首の高さにグリップがくる高さが良いでしょう。腰が曲がっている方は曲がった状態で合わせてください。もちろん、この計算した長さでも違和感などがある場合や客観的に見て、転倒につながりそうな危ない姿勢になっている場合は、適宜調整が必要でしょう。

グリップ

体を支えるために握るグリップは、本人が握ってみないと何とも言えません。実際に、グリップを握ってみて、自分の手の形にフィットするものを選ぶようにしましょう。

軽さ・太さ・丈夫さ

毎日使う杖のため、素材はとても重要な点です。杖は太い方が安定感はありますが、素材によっては重くなりがちです。ある程度の太さがありながら、杖をついたときに重いといった負担を感じず、使い勝手がよいものを選択すると良いでしょう。

歩行・身体機能

何よりも大事な点は利用者の身体状況です。もちろん、個人差があるため、身体機能や歩行状態、歩行時における腰痛の生じ具合などを加味して、バランスをとれる杖が良いでしょう。また、利用シーンによっても使い分けることで、腰の負担を最小限にすることができ、腰痛軽減を図れます。

正しく使うための杖の注意点

みなさんは杖を正しく使えているでしょうか。使い方を間違っていると、腰痛を引き起こすほか、転倒リスクを高める要因になるため、杖を使う際の注意すべき点を知っておきましょう。
・長さが合わないまま使わない
・杖の先で段差や石の上を踏まないようにする
・定期的に点検を行う

杖を利用する場合、多くの方は業者からレンタルまたは購入する場合が多いでしょう。杖が自分の体の状態に適しているかどうか、専門家の目で客観的に評価してもらうと良いでしょう。業者のみならず、病院や整骨院のリハビリの先生などに相談してみてはいかがでしょうか。

杖1つでも、自分の体の状態に合わせたものを使っているかどうかで腰痛の改善・悪化には大きく関係します。最適な杖の選択・使い方1つで腰痛の症状改善のみならず、他の病気の予防にもつながるのであれば、正しく理解して実践する価値はあるはずです。ぜひ、腰痛にお悩みを抱えていて、今後杖を使ってみたいという方や実際に杖を使っていて見直しをしたいという方などのお力になれば幸いです。

■参考文献
杖の種類と特徴|目的別に上手に選んで足腰への負担を軽減|イリーゼ
歩行補助杖の種類と選び方|フランスベッド
歩行器・杖類の種類と選び方|福祉用具の種類と選び方|アビリティーズ・ケアネット株式会社
奥 壽郎、廣瀬 昇、加藤 宗規、丸山 仁司(2009)杖の使用が歩行時体幹・下肢筋筋活動に与える影響|理学療法科学
【こんな使い方は危ない!】杖の取り扱いについて|杖 ステッキ なんでも情報館

著者情報

腰痛メディア編集部
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