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はじめに

杖は高齢者が使うものというイメージがあるかもしれませんが、最近では登山やウォーキングなどスポーツシーンでも活用されるようになり、幅広い年齢層にフィットする杖も販売されています。杖を使えば腰やひざにかかる負担が軽減され、腰痛予防、改善も期待できます。今回は杖の正しい選び方と使い方を紹介したいと思います。

腰痛は杖で改善する?

杖の主な役割は、体重を支える関節にかかる負担を軽減することにあります。そのため杖を使えば腰、股関節、ひざ関節、足首や足にかかる荷重の負担が軽減されます。腰を含める関節に痛みがある人は、杖を使うことでその痛みが軽減されます。また、杖を使うことで体重の一部を肩、腕で支えることができ、自然と体をひねる柔軟な歩き方ができるようになります。きれいに歩けるようになることで、お腹や背中の筋肉が自然と働き、腰の筋力トレーニングにもなるのです。このため杖で歩くことは腰痛の予防、改善に効果が期待できるといえます。

腰が痛くなる前に杖をつくのがおすすめ

腰が痛くなってから杖を使い始める人も少なくありませんが、腰が痛くない人や、若い人にも杖の利用はおすすめです。特に登山やトレッキング、ウォーキングなど普段よりもたくさんの距離を歩く日や、バックパックなどの荷物を持って歩くときは、普段よりも腰に負担がかかるため杖を利用するといいでしょう。スポーツ用の杖は「ステッキ」や「ポール」とも言われます。

腰の痛みが出てきてからでは、歩くこと自体がおっくうになってしまう人が多いです。予防的に杖を使って歩くことで、関節にかかる負担を軽減して長距離でも無理なく歩くことができるようになります。また、杖をつくことで肩や腕を含めて運動することになるので、杖を使って歩くだけでも理想的な全身の筋力トレーニングになるといえます。

杖の種類と選び方

代表的な杖の種類には一本杖、四点杖、松葉杖、ロフストランド杖、トレッキングポールなどがあります。

まずはそれぞれの杖の特徴を紹介したいと思います。

一本杖

いちばん手軽で簡単に使えるのが一本杖です。一本杖には持ち手がI字型のものとT字型のものがあります。デザインもさまざまな種類があり、木一本で作られているような杖から、折りたたみができるアルミ製の杖、超軽量杖などが販売されています。

四点杖

四点杖は杖先が四点になっている杖です。一本杖と同様に持ち手がI字型のものとT字型のものがあります。歩くのが不安定な人で一本杖よりもよりしっかりと杖で体重を支えたい人に向いています。

松葉杖

松葉杖は足に怪我をした人などが使う杖で、わきで挟んで手で持って使います。片足をつかない状態で使えば体重を完全に支えることが可能です。松葉杖自体も重みがあるため、ある程度歩行能力が安定している人が使います。使い方を間違えてしまうと、わきの神経を圧迫して手の痺れが出たりすることもあるので、医師などの指示を得て利用しましょう。

ロフストランド杖

ロフストランド杖も松葉杖同様、足に怪我をした人が使う杖です。ひじ置きと手で握るグリップのついた杖で、体重の40〜50%を支えることができ、一本杖よりもしっかりと体重を支えることができます。医療現場で使われることが多いです。

トレッキングポール

主に山登りやウォーキングなどで活用される杖で、両手で持って使うタイプの商品が多いです。デザインもスポーティなものが多く、持ち手はI字型とT字型があります。幅広い年齢層に使われています。

杖の選び方

腰痛がある人におすすめな杖は上記の中でも一本杖、四点杖、トレッキングポールです。松葉杖やロフストランド杖は使い方が難しく練習が必要なため、医師などの指示の元使うといいでしょう。

一番手軽に使えるのは一本杖です。価格も安いと2,000円程度のものもあり、手頃に購入できます。使うときと使わないときがある場合は、折りたたみ式のものを選択するといいでしょう。バッグの中にしまっておいて、疲れたときや調子が悪いときなど、必要なときだけ使うことができます。また、デザインもシンプルなものからお洒落なものまで幅広く選択できるので、ファッションの一部として楽しむこともできます。

一本杖では歩くのが心配という人や、腰の痛みが強くしっかりと体重を支えながら歩きたいという人には四点杖がおすすめです。杖先が四点になっているため滑りにくく、安定感もあります。その分一本杖と比べると杖自体が重たいため、腕の力が弱い人にはあまりおすすめではありません。

トレッキングポールはよく運動をする人におすすめです。山登りなどの傾斜のある場所を歩いたり、負荷のある運動の際はもちろんですが、普段のウォーキングでもトレッキングポールを使うことで全身運動となり、腰回りの筋肉をより積極的にトレーニングすることができます。若い人でも使っている人が多い杖の一つで、代謝をあげたい人、ダイエットしたい人にもトレッキングポールはおすすめです。

杖の使い方

一本杖、四点杖の使い方

一本杖、または四点杖を使う場合、杖の高さは自分の股関節の高さが理想的です。手で持った際にひじが軽く曲がる程度の高さです。杖は利き手で持ち、自分の足先よりも30cmほど斜め前につきます。

利き手と反対側の足と同時に杖をついて歩く2動作歩行と、杖→利き手と反対の足→利き手側の足の順序で歩く3動作歩行があります。自分の歩行スピードに合わせて選択しましょう。

トレッキングポールの使い方

トレッキングポールは持ち手がI字型の場合、ひじが90度曲がる程度の高さが理想的です。持ち手がT字型の場合、ひじが軽く曲がる程度でグリップが握りやすい高さに設定しましょう。トレッキングポールは左右2本セットで使うことが多く、右手のトレッキングポールと左足を一緒に、左手のトレッキングポールと右足を一緒に前に出すように歩きます。トレッキングポールは自分の足の真横またはやや前あたりにつきます。

※杖を使う上での注意点
ー杖に体重をかけすぎない

腰痛予防や腰痛改善目的で杖をつく場合、杖をついたからといって自分の体重を積極的に杖にかける必要はありません。杖をつくだけで意識していなくても体重は自然と杖にも分散されて、関節にかかる負担は軽減されます。反対に、杖に体重をかけすぎてしまうと肩や手の関節の負担になったり、杖先が滑って転ぶ危険性が高くなります。

肩やひじ、手への負担も考慮

杖をつくようになることで、体重の一部が杖に分散されます。そのため杖を持っている手には普段かからない体重がかかることになります。

杖を使いはじめのときは、短距離、短時間の使用からにして少しずつ使い慣らしていきましょう。杖をつくようになることで肘や肩の筋肉もついてくるので、使う頻度を増やすことで長距離、長時間の使用も可能になります。

杖にもメンテナンスが必要

杖の使用頻度が上がってこれば、杖先ゴムの摩耗など杖も劣化してきます。杖先ゴムは特に滑り止めの役割を果たしているため、削れて斜めになってきたら交換しましょう。

また、使っている杖が自分の体に合っているのか定期的にチェックすることも大切です。使い慣れた杖があると気付きにくいですが、杖の高さや、杖の重さなど、自分の体の状態や腰痛の程度に合わせたものを選択するようにしましょう。

おわりに

最近ではお洒落でかっこいいデザインの杖など、杖にもさまざまな選択肢があります。自分の生活スタイルや使用場面、使用頻度に合わせて使いやすい杖を選択することがポイントです。すでに腰痛があって、自分に合った杖がわからないという人は、医師に相談してみるのもいいでしょう。
杖を生活に取り入れることができれば、腰痛の予防、改善に繋がります。筋トレやストレッチも同時に行うようにしましょう。自分のお気に入りの杖を見つけて、前向きにセルフマネジメントしていきましょう。

参考:杖 ステッキなんでも情報館

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

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