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腰痛があるときに杖を使う目的とは

腰痛や関節痛がある場合、歩くのはなかなかつらいものです。
痛みがあるため、歩行が不安定になって転びやすくなったり、歩くことが怖くなってしまったりして、さらに腰痛が悪化してしまうこともあります。
腰痛がひどいときに、杖を使う目的は、大きく3つあります。

安定して歩くことができ転びにくくなる

腰痛がひどいときは、腰を伸ばして歩くことが難しいこともあります。
また、足が普段よりも上がりにくくなってしまうこともありますので、躓きやすく、転びやすくなっているので注意が必要です。
杖を使うことで、腰痛があっても歩行姿勢が安定しますので、転びにくくなります。

体重を杖にかけることで歩行時の体への負担を軽減できる

腰痛がある場合、歩行時に腰以外の筋肉が非常に強く緊張し、腰をかばう動きをすることが多いものです。
これにより、腰痛だけでなく、手足や背中など違う部分にも痛みや筋肉の張りを引き起こしてしまい、動けなくなってしまうことも少なくありません。
杖を使うことにより、腰をかばうことなく、杖に体重をかけることで歩行時の腰の痛みを軽減できます。
歩行時に強い痛みが出ないことがわかれば、腰をかばう動きをすることがなくなってきますので、動くことへの抵抗感がなくなり、安心して歩くことができるのです。

過度の安静による腰痛悪化を防ぐことができる

ぎっくり腰のような急性腰痛の場合には、安静が必要です。
しかし、長期間にわたり安静にすることはおすすめできません。
歩行時の腰痛が強い場合、どうしても歩くのを躊躇してしまうことが多く、過度に安静にすることにより体を支える筋肉が弱くなってしまい、余計に腰痛が悪化してしまうことが多いためです。
歩行時に杖を使うといっても、日常的に体を動かすことができていると、足腰の筋力低下を防ぐことができます。
また、筋力低下だけでなく、日常生活の制限を少なくし、活動を増やすことは、うつ病などの精神的な影響を予防する効果も期待できますので、とても重要です。

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杖の種類と特徴

杖には、さまざまな種類があるのです。
さまざまな形状のものがあり、それぞれに特徴がありますので、解説していきます。

T字杖

T字杖は、棒にT字型のグリップ(持ち手)がついている形状です。
その形状から1本杖とも呼ばれており、最もスタンダードな杖と言えるでしょう。
軽量なものが多く、折り畳み式や伸縮式のタイプもあり、便利です。
自分で歩行できる人が歩行のサポートのために使うためのものです。
腰痛がひどいときにだけ使いたい、歩行すること自体は問題ない人には使いやすい杖といえるでしょう。
ただし、手でグリップを握って体を支えるため、手に痛みがある人や握力がとても弱い人には不向きな杖です。

ロフストランド杖

1本杖ですが、杖の上部に前腕を通すカフがついていて、カフの下にグリップがあるタイプの杖です。
カフはO字型とU字型の2種類があり、O字型のほうが安定しやすいという特徴があります。
グリップと前腕の2箇所で体重を支えるため、T字杖よりも体重をかけやすいところと、手の痛みや握力低下がある人でも使いやすいところが特徴です。

松葉杖

松葉杖は、足を骨折した人が使う見慣れた杖であるといえるでしょう。
2本1組で使用し、脇に挟む「脇あて」と手で握る部分があり、かなり体重をかけることができる安定性の高い杖です。
握力が弱い人や体を支える筋肉(インナーマッスル)が弱っている人でも高い安定性を保てるという利点があります。
しかし、他の杖よりもかなり大きいため、狭い場所で使用するのには向いていません。
また、杖をしっかりと真上からつくようにしないと滑りやすいという特徴もあります。
材質は木製とアルミ製があり、木製は重いけれども温度変化の影響を受けにくいところが特徴です。
アルミ製は軽いため、扱いやすさがあります。
しかし、温度変化に影響を受けやすいため、気温が高い夏や寒冷地での使用には注意が必要です。
使用する地域や場所により、制約がありますので、よく検討する必要があります。

多脚杖

多脚杖は、地面に接する杖の先端が複数に分かれているタイプの杖です。
多点杖とも呼ばれます。
複数の点で支えるため、安定性が高いところが特徴ですが、屋外や段差のある場所で使用すると転びやすいため基本的には平らな場所で使うものです。

腰痛があるときの杖の選び方

腰痛があるときの杖の選び方について解説します。
杖はインターネットなどでも販売されていますが、できるだけ正しい姿勢を保てることや安全に歩行できるかなど、実際に試してから購入するのがよいでしょう。
また、手の痛みや握力低下があるかどうか、杖を使って歩く距離や場所などによっても、向き不向きがありますので、いくつかの種類の杖を使い分けるということも必要になることがあります。

身長にあった長さであること

杖の長さは「身長÷2+3cm」がよいとされています。
杖が短すぎると猫背になり、姿勢が悪くなってしまいますし、杖が長すぎると体がうまく支えられず歩行が不安定になりとても危険です。
特に、腰痛のある人が杖を使う場合には、身長にあった長さであることがとても重要です。
大きく前かがみの姿勢になってしまったり、体が反るような姿勢になってしまったりすることは、腰への負担を増やしてしまうためです。
軽い前傾姿勢を保つことができるくらいの高さがよいでしょう。

軽さと丈夫さ

杖は、軽くて丈夫なものがよいとされています。
使う人の身長や体重によって、どのくらい頑丈なものを選ぶのかは変わってきますので、購入する前に実際に使ってみて、杖がたわむことがないか、日常的に持ち歩くのに支障がない重さであるかなどを確認するとよいでしょう。

握りやすさ

長い時間杖を使う場合は特に、杖の持ち手が握りにくいものだと前腕や肩など違う部分に余計な力が入ってしまい、体の痛みを引き起こす原因となります。
特に、手に痛みがあったり、握力が弱い場合は、握りやすいことがとても重要です。

腰痛があるときの杖の使い方

杖はどのように使うか、使ったことのない人にはイメージしにくいものがあるでしょう。
杖の使い方について解説します。

1本杖の使い方

痛みのある側に杖をもちたくなる場合が多いと思いますが、杖を持つのは、痛みがある側の反対側の手です。
なぜなら、歩くときには、前に出す足とは反対側の手を前に出すような動きをするためです。
右足を動かすと腰痛がひどくなるという場合には、左手に杖を持ちます。
まずは、左足のつま先から前方へ15~20cm、外側に15~20cmの場所に杖の先端を置きます。
そして、杖に体重をかけながら右足を前に出します。
次に、左足を前に出して両足を揃えます。
あとはこの繰り返しです。
腰痛があるけれども、左右どちら側が特に痛いということでなければ、どちらの手に杖を持っても構いません。
利き手利き足があると思いますので、利き手に杖を持つほうが扱いやすく安定しやすいです。
慣れるまではゆっくりと動作を確認しながら行うとよいでしょう。
慣れてくるとリズミカルに歩くことができるようになります。

腰痛があるときの杖の選び方、使い方は理学療法士に相談しよう

慢性の腰痛がある場合には、過度の安静は逆に痛みを悪化させることがあります。
また、日常生活の活動範囲が制限されることにより、うつ病を発症してしまうことも少なくありません。

杖を上手に使い、日常的に活動を続けていくことは筋力低下を起こさないためにも非常に重要です。
自分にあった杖の選び方、使い方は整形外科の医師や理学療法士が専門家となりますので、ぜひ相談してみましょう。ストレッチや腰痛体操なども学び、運動療法を生活に取り入れましょう。

参考:日本整形外科学会

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

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