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腰痛に悩んでいる方はとても多いですが、その腰痛になってしまった原因はさまざまです。

その一つに「血流」があります。今回は腰痛の原因になり得る「血流」について述べていきます。

血流とは?

まず血流とは、血液の流れのことです。別の言い方で表すと「血行」や「血の巡り」といいますが、どれも同じ意味になります。

血液というのは、細胞成分の赤血球・白血球・血小板と、血漿(水・タンパク質などで構成)からなっています。この中でも、血流に特に重要な働きをしているのが「赤血球」です。

赤血球はご存知の通り、心臓から送り出されてきた血液は、血管を通って全身に酸素を運んでいます。酸素は全身に必要で、臓器や皮膚、筋肉、骨、毛など一つ一つの細胞に供給して、私たちは生きています。呼吸と血液の酸素濃度は密接に、関連しています。

そして心臓から全身に送り出されますので、例えば呼吸ができなくなると、血液の酸素濃度が低下して細胞が死んでいきます。また、大量出血して血液が体外に出てしまったり、ランニングやスポーツなどの運動により、血液の酸素濃度が低下すると呼吸が速くなり体内に酸素を取り込もうとします。

それから「あくび」も眠り誘うものではなく、酸素を取り込む生理現象ともいわれています。これは深呼吸と同様、たくさんの酸素を取り込み、疲れている体や脳を活性化させる働きがあるためです。このように、呼吸と血液は強い関連性があります。

話を戻しますと、血流は血液の流れのことで、血流といってもどこの部分を指す訳ではありません。内臓や筋肉、骨、肌などあらゆる部分で血流は関係しています。

では腰痛と血流はどんな関係がある?

腰痛と血流の関連性について紹介していきます。腰痛の原因の一つに「血流不足・血行不良」があります。これは現代の医学では、レントゲン・MRI・CTなどの検査をしても特に異常が見つかりません。変形性脊椎症や腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎圧迫骨折、腰椎分離すべり症など原因がはっきりしている腰痛を「特異的腰痛」といいます。これに対して、原因がはっきりしない腰痛を「非特異的腰痛」といいます。

現在の検査技術では分からない僅かな変化が、身体の中では起こっているのです。例えば、腰の筋肉の血流減少や筋力低下、筋肉の凝りや緊張、日常生活での不良姿勢、精神的なストレスなどが関わっています。これらの僅かな変化を見つけるのは困難なため、慢性化してしまい、治りにくくなってしまうのです。

慢性腰痛は何で治りにくい?

一度、腰痛が発生してしまうと、痛みのため腰を動かさなくなります。その結果、腰の筋肉の血流が減少してしまい、筋肉が硬くなってしまいます。さらに、動かないことで筋力も低下して、新たな腰痛の原因を作りやすい腰の状態になってしまいます。そこから痛みが長引くと、痛みにより精神的なダメージも発生しやすいです。このまま治らないのではないか?という不安や心配により、精神が不安定となって、痛みに敏感になったり他の部分に痛みが広がってしまう場合があります。慢性化した腰痛が治りにくいのは、このような悪循環があるからなのです。

血流不足による代表的な腰痛

血流不足で起こる腰痛の代表的な疾患は「筋・筋膜性腰痛」というものです。名前の通り、腰の筋肉や筋肉を包んでいる筋膜による腰痛です。腰の筋肉、いわゆる背筋は「脊柱起立筋」という名前が付けられています。この筋肉は、主に姿勢を維持したり体幹を曲げたり、捻ったりする時に働いています。脊柱起立筋という名前は、3つの腰にある筋肉をまとめて呼んでいる総称で、正式名称ではありません。3つの筋肉を細かく分けていくと、最長筋・腸肋筋・棘筋があります。

最長筋は、棘筋と腸肋筋の間にある、人体で最も長い筋肉です。首から背中、腰、骨盤や仙骨にまでおよぶ長い筋肉なのです。背筋を伸ばして立ってもらと、背骨の両側に盛り上がっている筋肉が見えますが、それが最長筋です。特に腰を反らすような、体幹の後屈時に働きます。

腸肋筋は、最長筋の外側にある筋肉で、この筋肉も首から骨盤まで付いています。この筋肉の特徴は、腰から肋骨に付着しています。肋骨に付いていることで、体幹を捻る時に強く働いています。もちろん、側屈(体幹を横に倒す)にも強く筋肉は収縮します。

棘筋は、背骨の後ろに出っ張っているところを棘突起といいますが、その棘突起に付着している細い筋肉です。腰の棘突起には付着していませんが、首や背中の棘突起には付いていて、脊柱起立筋の中では一番内側に位置します。細い筋肉ですが、体幹の後屈や回旋に関わっています。

筋・筋膜性腰痛は、この中でも特に最長筋と腸肋筋に痛みが出ているものを指します。最長筋や腸肋筋が、何らかの原因により、筋肉に痛みが発生して起こります。急性と慢性があり、急性では重たい荷物を持った時や体を捻った時、スポーツなどで接触したり無理な体勢になったりして筋肉を損傷して発生します。慢性では、日常生活での不良姿勢や、腰が丸くなってしまうことで骨盤が後傾し、腰の筋肉の血流が悪くなり腰痛が発生します。

筋・筋膜性腰痛の症状って?

症状としては、急性で痛みが強い場合は動くことすらできません。いわゆる「ぎっくり腰」のような症状が出ることがあります。痛みで横になったまま動けず、1日中安静にしている方もいます。

仮に動けたとしても、動き始めに鋭い痛みが起こりやすいです。ベッドから起き上がる時、寝返りを打つ時、座っていて立ち上がる時などに強烈な痛みが走ります。

また、常に腰が重たい感じがあり、ひどい時は咳やくしゃみで痛みが強くなってしまいます。痛みのため腰がまっすぐに伸びず、腰が曲ってしまう方が多いです。腰の痛みが強いと、歩く時も痛みがあります。なぜなら、歩く時は骨盤が動きますので、それに連動して腰の筋肉も動くためです。

意外と、自転車の方が骨盤の動きが少ないため、あまり腰の痛みを感じないことが多いです。それから、前屈時に痛みを訴えることが多いです。体幹が前屈すると脊柱起立筋は引っ張られるからです。朝に顔を洗う時、床の物を取ろうとした時、台所で料理をした時などでピリッと痛みが起こります。

血流不足で腰痛になってしまったら

腰の筋肉の血流不足により、腰痛になってしまった場合、血流改善のため「温める」ことが大切です。しかし、急性の筋・筋膜性腰痛であれば、温めると逆効果となりますので注意が必要です。あくまで、慢性の筋・筋膜性腰痛で有効です。

当たり前ですが、お風呂はシャワーで済まさず、湯船に浸かって身体を温めてください。また、寒い日に外出される場合は、腰にカイロを張ったり腹巻きをしたりして、腰を冷やさないように対策をしてください。夏でも冷房で腰が冷えてしまうことが多いですので、腹巻きやインナーで対策をしておくといいでしょう。

血流改善には、筋肉を伸ばすストレッチも効果的です。ここからは、日常生活に取り入れやすく、腰痛予防に効果的なストレッチを紹介します。

血流改善が腰痛への突破口

腰痛を改善するには、腰そのものにフォーカスするよりも、全身的な改善を意識することがポイント。

血液はつま先から脳まで駆け巡るので、特に重要な可動域のみならず、できれば上半身の血流を促すことも意識していきましょう。特に肩甲骨は、可動域がもともと広いので、ストレッチ効果は実感しやすい部分です。精神的リラックスと肉体的リラックスを分けて考えず、その時できる方法で身体を動かす意識を持ち続けることが腰痛改善の突破口となります。

日常生活に取り入れやすい腰痛予防のストレッチ

ストレッチをする女性のイラスト

ストレッチする際には以下の注意点があります。

・1つ1つの動作をゆっくり行う
・すきま時間を使ってなるべく毎日行う
・身体に無理な動きはしない
・床で行うと痛いのでマットを敷いて行うとなおいい

では、ここから具体的なストレッチのやり方をご紹介しましょう。

膝を抱え込むストレッチ

① マットに仰向けに寝る
② 右膝をゆっくり胸に近づけながら両手で抱え込む
③ 気持ちいいと感じるところまで右膝を引き寄せる
④ 体勢を20秒キープする
⑤ 左膝も同じようにストレッチする

ツイストストレッチ

① マットに仰向けで寝る
② 右足と左足を交差させる
③ 左手を右足の上にそえて床に向かってゆっくり押す
④ 右手は右側に広げ顔も右側を向く(腰がねじれる感じ)
⑤ 体勢を30秒キープする
⑥ 左足も同じようにストレッチする

椅子に座ったストレッチ

① 椅子に浅く座る
② 右足首を左の太ももに乗せる
③ 右手を右足の膝に置く
④ 左手を右足首に置く
⑤ 床に向かって両手にゆっくり力を入れて押していく
⑥ 左足も同じようにストレッチする

太ももを伸ばすストレッチ

① 右足を前に左を後ろに大きく開いて立つ
② 手は腰に置く
③ 右足の膝をゆっくり曲げていく
④ 上半身が下がるので、股関節に無理がない程度まで伸ばす
⑤ 体勢を20秒キープする
⑥ 左右の足を変えて同じストレッチをする

胸のストレッチ

① 足を肩幅に開いて立つ
② 両腕を背中の後ろに回す
③ 左手と右手をつなぐ
④ 顔は真上に向ける(上を見上げると痛い場合、顔は正面を向いたままにする)
⑤ 胸を伸ばしながら肘をのばす
⑥ 体勢を20秒キープする
⑦ ゆっくり元の姿勢に戻る

太ももの後ろを伸ばすストレッチ

① 両足を肩幅より大きく開く
② 右膝を曲げて左足の太もも後ろを伸ばす
③ 体勢を20秒キープする
④ 左右の足を変えて同じストレッチをする

腸腰筋のストレッチ

① マットに膝を付けて立つ
② 右足を大きく前に出す(背筋を曲げないようにする)
③ 息を吐きながら重心を前に出した右足の方に移動する
④ 両手を右足の上にそえる
⑤ 腰を前に出し胸をしっかり張る
⑥ 体勢を15秒キープする
⑦ 左足も同じようにストレッチする

腰方形筋のストレッチ

① 四つん這いになる
② 息を吐きながらゆっくり背中を丸めていく
③ ゆっくりと元の四つん這いの姿勢に戻す
④ 息を吸いながらお尻を突き出して背中をゆっくり反らせる
⑤ ゆっくりと元の四つん這いの姿勢に戻す

脊柱起立筋のストレッチ

① 椅子に座り背筋を伸ばす
② ゆっくり腰を右後ろにひねる
③ 深呼吸しながら体勢を20秒キープする
④ 息を吐きながら元の姿勢にゆっくり戻す
⑤ 同じように左後ろも行う

寝たまま行うストレッチ

① マットに仰向けに寝る
② 両手を上に上げてゆっくり身体を伸ばす
③ 右足を曲げながら持ち上げ左側に倒す(両肩がマットから離れないようにする)
④ 同じように左足も行う
⑤ 右膝を曲げながら両腕で抱え、胸にゆっくり引きつける
⑥ 同じように左膝も行う
⑦ 両膝を同時に持ち上げながら両腕で抱え、胸にゆっくり引きつける
⑧ 元の仰向けの姿勢に戻り、両膝を曲げて足裏を合わせてゆっくり股関節を伸ばす

こまめに毎日ストレッチを続けて腰痛を予防・改善しよう

腰痛を発生させる原因の1つに運動不足があります。運動不足は筋力の低下および身体のゆがみや柔軟性の低下を引き起こすからです。

ですが、定期的に運動を行っていない方が突然激しい運動を行うと腰に負担をかけるかもしれません。また、毎日運動をコツコツ行うのには今期が必要です。

そこでおすすめしたいのが、すきま時間を利用してできる手軽なストレッチ。無理のない範囲で気持ちよく身体を伸ばしてリフレッシュしましょう。ストレッチは腰痛予防にも効果が期待できます。

ただ、腰痛の中にはストレッチをしない方がいい場合もあるので注意が必要です。まだ病院を受診したことないという方は、一度受診して症状を詳しく診てもらいましょう。病院を受診するきっかけとして、自動問診ができる「腰痛ドクターアプリ」をぜひご活用ください。

「腰痛で身体が痛くて動きたくない…」と感じている人は少なくないでしょう。腰痛はなる前の予防が肝心です。普段から運動不足だと、筋肉が衰えて腰痛の原因になることも…。そのため、この記事では腰痛を予防したい人向けのストレッチをご紹介します。気分転換や運動不足解消を含め、ゆっくりと気持ちよくストレッチしてみましょう。

参考サイト:
https://www.bauhutte.jp/bauhutte-life/backache-stretch/
https://www.suntory-kenko.com/contents/aginglabo/shoujou/03/
https://www.healthcare.omron.co.jp/pain-with/back-pain/prevention/
https://www.jph-ri.or.jp/kenko/tanoshimu/exercise/stretch2.html
https://www.onsen-msrc.com/kenko/tanoshimu/exercise/stretch2.html

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

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