ここ最近テレビで見かける体幹、体幹トレーニング。お腹を引き締めるトレーニング、腰痛予防、スポーツ選手のトレーニングなど様々なところで使われています。

そんな体幹ですがいくら鍛えても腰痛がよくならないパフォーマンスが上がらないと悩みを抱える人のほとんどが結論から言うと体幹を鍛えているけど、体幹を使えていないことが多いです。「体幹を鍛えれば腰痛予防になるんでしょ!?使えていないってどういうこと!?」と思っている人はぜひ一度この記事に目を通していただければと思います。

そんな体幹について今回はお話していきます。

体幹とは

まず体幹と言われるとイメージしやすいのがお腹です。体幹は腕・足の四肢を除いた部位ですが、今回はお腹周り腰を体幹として進めます。

体幹の筋肉には大きく分けてローカル筋とグローバル筋があります。いわゆるインナーマッスルとアウターマッスルです。ローカル筋がインナーマッスル、グローバル筋がアウターマッスルというとイメージしやすいかと思います。

ローカル筋は深層筋(インナーマッスル)と呼ばれ腰椎(背骨の腰部分)を直接支えてくれています。
グローバル筋は浅層筋(アウターマッスル)と呼ばれ腰椎ではなく肋骨と骨盤を繋いで腰全体を支えてくれています。体幹はローカル筋とグローバル筋や腰椎などを総称した呼び方になります。

ローカル筋には腹横筋、多裂筋、腰方形筋、大腰筋があります。
グローバル筋には脊柱起立筋、腹直筋、外腹斜筋があります。

このローカル筋とグローバル筋が両者バランスよく働くことにより腰椎、骨盤が支えられ安定した運動が行えます。そのためよく腰痛患者やスポーツ選手は体幹トレーニングが推奨されることが多いです。しかし体幹トレーニングが効果的と思いただこなしているだけだと逆にいためることも多々あります。正しく行うことで体幹トレーニングによる成果が出てきます。

体幹を鍛える?

体幹を鍛えることで得られるメリット<

正しく鍛えることによって骨盤や腰椎が安定し腰痛予防になる以外にも股関節周囲の筋肉が安定するといったこともよく報告されています。
さらには体幹が安定することで競技パフォーマンスを上げることにもつながります。

体幹を鍛えることで得られる!?デメリット

「体幹とは」でも軽く触れましたが、デメリットとして腰痛予防やパフォーマンス向上を目指して鍛えていたことが逆に障害(ケガ)を起こすこともあります。

それは正しく鍛えないことによる障害です。

例えば、夏に向けて体を絞るために腹筋運動を頑張ろうとトレーニングを重ねていたのに腰が痛くてそれどころではなくなってしまう人。

ラグビーなどのアスリートでも大きな力を生み出すために見た目でわかるグローバル筋を鍛えることが多くあります。その結果、体幹筋のアンバランスによって腰を痛めるなんて人は多くいます。

腹筋を鍛えると言われたら頭に浮かびやすいのがよく行われるクランチ(膝を立てて上半身起こしてくる動作)があります、これはグローバル筋(アウターマッスル)の活動が強く腹直筋のトレーニングでよく用いられています。ローカル筋が使えていれば問題ありませんが、このトレーニングによりローカル筋が働かずグローバル筋ばかり強化され、ローカル筋(インナーマッスル)とのアンバランスが生じることにより腰痛を引き起こすことにもなります。

目に見える筋肉ばかりを鍛えた結果、ローカル筋が働きが不十分で腰部が不安定になり腰痛を引き起こすリスクとなってしまうのです。

そのため正しく鍛えることが重要になります。

体幹を使えるようにする!

正しく鍛えることが重要ですが、さらに重要なのが体幹筋を使えるようにすることです。まずは鍛えることよりもグローバル筋が働くよりも少しでもローカル筋が働くだけで、体幹が安定します。そのためグローバル筋やローカル筋をいくら鍛えても腰痛がなくならない、パフォーマンスが上がらないなどの原因はここに当てはまります。いくらジムに通い自己流で理想のボディを手に入れても体幹がうまく使えないと、特に何もしてない人の方が体幹をタイミングよく使えるというだけで腰痛がない、パフォーマンスが高いことも考えられます。結果使えないただの筋肉の鎧となってしまいます。

そのためいかに体幹、特にローカル筋を使えるようにするのが重要です。

そんなローカル筋の中で重要なのがテレビでもたまに取り上げられ「コルセット筋」と呼ばれる「腹横筋」です。この腹横筋は腰椎(背骨)についており、働くことにより腰椎を安定させる作用があります。体幹を取り囲むような筋肉の為「筋筋膜のコルセットシステム」と呼ばれます。腹横筋の働きが低下や働くタイミングがずれてしまうことが原因でコルセットとしての機能が低下します。グローバル筋の働きが強すぎることによりローカル筋の働きのタイミングが遅れてしまうためコルセットシステムがうまく働かず腰痛の発生につながると考えられています。

体幹を安定させてくれる機能の低下により腰椎が不安定になることで腰椎椎間板障害(腰椎椎間板ヘルニアなど)や椎間関節障害(腰椎分離症など)が発生しやすくなります。さらに体幹を不安定にさせる原因でもあるグローバル筋の働きすぎにより筋肉や腱にストレスがかかり筋肉の障害を引き起こす可能性もあります。

では実際にどのようにすれば、重要な体幹筋が使えているのかチェックできるの?と疑問が浮かぶと思います。

ローカル筋でも重要な腹横筋ですがよくドローイン(仰向けで膝を立てた状態でおへそを床に近づけるようにへこませる)という方法で腹横筋の収縮が促されるといわれます。

実際にはエコー(お腹の中の赤ちゃんをみる機械)や筋電図などを用いて腹横筋が働いているかをチェックします。しかしこれは医療機関などでしかチェックできないです。そのためセルフチェックでローカル筋の腹横筋が働いているかを確認するのは非常に難しいです。

どうしても何かしらチェックしたい方は過去記事の「腰痛予防に効く腰部筋肉の名前と筋トレでの鍛え方」に腰部の安定性の簡易的なチェック方法もありますのでそちらをチェックしていただくのもよいかもしれません。

ではどうするのか、体幹の正しい使い方を覚えるためには身体の正しい使い方を学んでいくことが重要になります。昔覚えたことは体が意外に覚えているのと同じで、正しい使い方を繰り返していくうちに脳に使い方がインプットされ動きの中で少しずつ体幹を使えるようになっていきます。よく行われている体幹トレーニングをただ行うだけでは間違った体幹の使い方でトレーニングを重ねてしまい、ただ腹筋が割れましたといった状態になります。そのため体の専門家である理学療法士やアスレティックトレーナーなどに体の使い方を徹底的に教わることも重要です。

スポーツ選手でもできる人はあまりローカル筋のトレーニングをやりたがらないそうです。

しかしスポーツ選手の中にもローカル筋を使えない人はたくさんいます。できない人は何度も繰り返さないとパフォーマンスはおろか腰痛を引き起こしてしまうリスクになりかねません。

一度正しい使い方を覚えればローカル筋のトレーニングは無理にやらなくても、使いたいときに体が思い出してくれます。そのためにも腰痛予防やパフォーマンスを向上させたい!という人はまずは正しい使い方を学ぶことがとても重要になります。

金岡 恒治氏
早稲田大学スポーツ科学学術院教授 整形外科医1988年筑波大学を卒業した脊椎専門の整形外科医師。筑波大学整形外科講師を務めた後に、2007年から早稲田大学でスポーツ医学、運動療法の教育・研究に携わる。シドニー、アテネ、北京五輪の水泳チームドクターを務め、ロンドン五輪にはJOC本部ドクターとして帯同。アスリートの障害予防研究に従事しており、体幹深部筋研究の第一人者。また、「腰痛のプライマリ・ケア」「一生痛まない強い腰をつくる」「金岡・成田式 腰痛さよなら体操(TJMOOK)」等の本も多数、執筆。

著者情報

腰痛メディア編集部
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