MENU
メニュー

高齢者に特に多い骨折の一つとして脊椎圧迫骨折という病気があります。

なかでも腰痛と関連がある腰椎圧迫骨折の発生率は高く、高齢化が進行している現代において他人事ではありません。

この記事では腰痛と圧迫骨折について特徴から予防時の注意点まで分かりやすく紹介していきます。

腰椎圧迫骨折とは?

骨粗鬆症と腰の病気で代表的なのが腰椎圧迫骨折です。

骨粗鬆症が進行すると、日常生活の中でも自然に圧迫骨折してしまう場合もあるのです。

また、中には骨折した骨が後方に飛び出し神経を圧迫する可能性がある破裂骨折に繋がるケースもみられます。

腰の痛みが強くなると寝返りや起き上がり、歩行といった動作が困難となり寝たきりになる可能性もあるため、医療機関に相談する必要があるでしょう。

腰椎圧迫骨折の原因

圧迫骨折は、背骨の中の腰椎に負荷がかかり脊椎を構成する椎体(ついたい)が潰れることにより生じます。

若い方では、高所から飛び降りた際に、過度に脊椎に負荷がかかり骨折するケースもあります。

痛みの特徴としては、急に背中や腰に強い痛みが生じ日常生活に支障がでる方もいれば、少し痛む程度で骨折に気づかず過ごされる方もいるなど、人によって痛みの程度がかなり異なります。

多くの場合に腰椎圧迫骨折になりやすいのは高齢者の方でしょう。

特に骨粗鬆症が持病にある方はなりやすく、例えば尻もちやドスンと椅子に座っただけでも骨折が起こる場合があります。

骨粗鬆症は女性の割合が高いため、高齢女性は圧迫骨折に注意が必要です。

骨折部位で多いのは腰椎から胸椎への移行部分に多く、直後には骨盤から少し上の腰の辺りに痛みが生じる場合が多くみられます。

腰椎圧迫の診断

腰椎圧迫骨折は、レントゲンにて診断されます。

しかし、急性期の場合や骨折線が不明瞭な場合もあり、はっきりと分からないケースもあるようです。

そのような場合にはMRIでの精査を行えば圧迫骨折が起こっているかが分かります。

圧迫骨折の人にみられる症状

骨折直後の急性期の場合には、前かがみや寝返りができなくなるほどの激しい痛みがみられる場合や痛みを感じない方もいます。

痛みを感じる場合には、早期に受診し適切な治療を行えますが、痛みを感じない場合には発見が遅くなり、痛みが落ち着き気付かない間に骨折部分が修復してしまう場合もあるのです。

ただし、修復時には適切に固定をしていないため、曲がった状態や潰れた状態で骨折部分が修復され「偽関節」と呼ばれる変形が生じてしまう方も多くみられます。

特に高齢者では背中が彎曲した円背症状を呈する場合が多く、腰が曲がった状態での過ごすことで二次的に身体に負担がかかったり腰痛が長引くケースは珍しくないでしょう。

そのため、高齢者の腰痛が長く続く場合や腰の痛みに加え腰回りや足の筋肉に衰えがみられる場合には、整形外科の受診を検討すると良いでしょう。

もしも、圧迫骨折がひどく骨折した骨が後方に飛び出し神経を圧迫する可能性がある破裂骨折であれば、下肢の痛みや痺れを併発する可能性が高く、除圧固定術などの手術が必要となる場合もあるのです。

また、一度腰椎圧迫骨折になった方は再発や他の部位でも圧迫骨折が生じやすくなります。

そのため、骨粗鬆症の治療や適度な運動など治療と併せて再発予防が重要となります。

腰椎圧迫骨折の治療、リハビリ方法

圧迫骨折の治療は、多くが保存療法で破裂骨折などの場合には手術適応が検討されます。

保存療法の場合は、痛みが強い急性期ではコルセットなどを装着し安静にして対応しますが、筋力低下が生じないように痛みに配慮しながら立位や低負荷での運動を実施していくケースが多いです。

手術では、従来の除圧、固定方法や最近ではバルーンを使用し潰れた椎体を整復するBKP治療などが行われています。

どちらの治療においても、リハビリ過程における運動習慣の獲得が大事で、再発の予防のためにも重要となるのです。

腰椎圧迫骨折を予防するために

圧迫骨折を予防するには、骨粗鬆症のリスクを軽減することがポイントになります。

若年者であれば、成長期に骨量を十分に増加させておくことが大事です。

そのためには、栄養バランス、特にカルシウムやビタミンDの摂取量が保たれた食生活や適度な荷重をかける運動習慣を獲得しておくことが重要です。

また、喫煙は骨折リスクを挙げることが明らかにされているため、圧迫骨折でも同様に予防の為には禁煙をしておくことが望ましいでしょう。

高齢者の場合には、骨密度に低下が起こっている可能性も高く転倒を予防する事が圧迫骨折の予防にも繋がります。

そのため、適度な筋力増強訓練やバランストレーニングなど日々の生活に取り入れることがポイントとなるでしょう。

まとめ

  • 圧迫骨折は骨粗鬆症を予防することが重要
  • 予防するためには荷重をかけた運動や栄養バランスに配慮した食生活が大事
  • 高齢者では転倒を予防することが圧迫骨折の予防に繋がる

年を重ねるにつれて圧迫骨折になりやすくなります。

早期からの予防はもちろん、中高年でも運動習慣をつけることは必要でしょう。

また、長引く原因が分からない腰痛に悩まされる場合には圧迫骨折の可能性もあるため、適切な医療機関を受診するようにしましょう。

著者情報

金岡 恒治(かねおか・こうじ)MD,PhD
金岡 恒治(かねおか・こうじ)MD,PhD

早稲田大学スポーツ科学学術院教授

日本整形外科学会専門医・脊椎脊髄病医

日本スポーツ協会認定スポーツドクター

日本水泳連盟理事・医事委員長 ほか

この著者の他の記事を見る
wholebodyeducator