健康診断などの心電図検査で「期外収縮」といった指摘を受けることもあるかと思います。期外収縮を簡単にいうと、心臓が一定のリズムで刻むペースの中に乱れた拍動が混ざることを指します。期外収縮があるからといって、必ずしも心臓が悪いというわけではありません。今回は心電図検査で比較的指摘を受ける機会のある「期外収縮」についてまとめました。

きちんとしている?「正常」な心電図とは?

心電図上では一定のキレイなリズムで心臓が動いていることを「洞調律(サイナスリズム)」と呼び、このサイナスリズムを一個人の基本的な正常心電図とし、そこから異常が現れた場合に異常心電図と判断して対応・診断していきます。

正常心電図

正常な心電図の説明

https://www.kango-roo.com/learning/1705/

通常の心電図は心房の収縮を表すP波と心室の収縮を表すQRS波が一定間隔でつながって、規則正しく出現している状態のことを指します。いわゆる心臓が動く鼓動の回数=脈拍数は1分間に60~100回が正常です。心電図をする際に、装着する電極の位置によっては、呼吸による胸の動きの影響を受け、(呼吸性能変動という)一見不規則なリズムに見えることもあります。また、規則的に見えてもしばらく観察していると異常が見つかることもあり、十分注意して観察・判断する必要があるのです。

通常心臓は、洞結節と呼ばれる心臓の上の部分から電気刺激が始まり、それが段階を経て徐々に心臓の下に移行し、その電気刺激とともに心臓が収縮します。これが別の場所から発生し心臓が収縮することがあり、これを期外収縮と呼びます。その部位によって心房性なのか房室接合部性なのか心室性に大別されます。

期外収縮(きがいしゅうしゅく)って何?

期外収縮とは、通常のリズム以外にも発生する心臓の収縮のことで健康な人でも認められるリズム不整の状態です。その頻度は年齢とともに上昇するとされています。

期外収縮には上室期外収縮(SVPC)と心室性期外収縮(PVC)があり、それぞれに心臓の心房といわれる上の部分と心室と言われる心臓の下の部分にそれぞれ原因があり、期外収縮が起こります。

上室性期外収縮(じょうしつせいきがいしゅうしゅく)とは?

上室性期外収縮の波形の特徴は、予定された周期より早くP波(心房の動きを表す心電図上の波のこと)が出現し、その後QRS波(心室の動きを表す波のこと)が続きます。この QRSは変形したり欠損したりすることもあります。また、P波が正常の形とは違うことも特徴で、このP波がT波に重なっているときはT波の変形として捉えられることもあり分かりにくいことも多いのです。

一般的に上室性期外収縮は、後に述べる心室性期外収縮よりも何かしらの疾患が原因で症状が出現していることが多いのです。多発するときは上室頻拍(じょうしつせいひんぱく)や心房細動(しんぼうさいどう)など、致死性の不整脈に移行する危険性が高く、さまざまな疾患が隠れていたりするので、精密検査などでしっかりと原因を鑑別する必要が出てきます。

上室性期外収縮の考えられる原因は以下にまとめています。
・虚血性心疾患
・高血圧性心疾患
・心臓弁膜症
・先天性心疾患
・肺疾患
・体液量の減少
・甲状腺機能亢進症

参考文献 注1

心室性期外収縮(しんしつせいきがいしゅうしゅく)とは?

心室性期外収縮の波形の特徴は、P波が先行しない幅の大きなQRS波が特徴でQRS波と逆向きのT波が出現します。 心室性期外収縮は、健康な人でも、少なくとも50%程度の人には認められるといわれています。その頻度は、年齢とともに上昇すると考えられているようです。心室性期外収縮の中には、連続性のものや多発性のものも認められます。重症度を評価し、考えられる原因疾患に合わせて対処・治療していくことが大切です。重症度が高くないものであれば、定期的に経過を観察するのみに留めます。そのグレードに応じて治療をしていくことが基本です。

心室性期外収縮の考えられる原因は以下にまとめています。
・虚血性心疾患
・心臓弁膜症
・心筋症を
・先天性心疾患
・電解質異常

C 性期外収縮の重症度を評価するローンの分類について以下にまとめました
・グレード0期外収縮なし
・グレード1散発性期外収縮(30回/時)
・ブレイド2多発性期外収縮(30回/時以上又は1回1分以上の持続)
・グレード3多発性期外収縮
・グレード4反復性期外収縮 4A→2連発 4B→3連発以上
・グレード5 R on T

参考文献 注1

腰痛と期外収縮の関連性を示す事例の紹介

ここで、腰痛と心室性期外収縮を関連付けた、一つの症例を紹介したいと思います。

第28回日本心身医学会近畿地方会演題抄録より 関西医大心療内科 阿部哲也 福永幹彦 西田真二 中井吉英 報告論文より引用 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/40/7/40_KJ00002387577/_article/-char/ja/)
腰痛を主訴とした心室性期外収縮の症例について。

「当該患者は就労時の筋肉への負担が腰痛になると感じていた。当該患者は抗うつ剤の内服もしていた為、元々疾患として指摘されていた PVC の評価を行うとともに適切な抗うつ薬の選択のためにホルター心電図を行い PVC の再評価をすることになった。結果として8連発の VT を噴く26000発の多発性 PVC が存在しこれをカテーテルアブレーションにより治療をした。それに伴い慢性腰痛の症状も軽減したという言う結果になっている。 PVC が動悸倦怠感に影響しておりこれらの症状をストレスとみなすことが患者にとって新たなストレスとなり慢性疼痛へと移行していった。」と考察されています。

(出展: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/40/7/40_KJ00002387577/_article/-char/ja/
JーSTAGE 心身医学22.腰痛を主訴とした心室性期外収縮(VPC)の1例(第28回日本心身医学会近畿地方会演題抄録)
阿部 哲也, 福永 幹彦, 西田 慎二, 中井 吉英より)

この症例を参照すると、就労による筋肉疲労が腰痛の原因と考えられていたようですが、多発性の心室性期外収縮が原因で腰痛につながっていたと考えられる症例のひとつです。この患者さん場合、もともと心室性期外収縮を疾患として保有しており、ストレス治療を先行するにあたり疾患の再評価・治療をしたことで、結果として腰痛が改善に繋がりました。このように期外収縮と腰痛は必ずしも切り離して考えられるものではないと言える例のひとつなのではないでしょうか。

最後に

心室性期外収縮は、健常な人でもしばしば見られる心電図異常です。発見されたからと言って、必ずしも治療が必要な段階とは限りません。心配ならば精密検査を受け、定期的に経過観察のために受診するとよいでしょう。

注1 参考)心電図波形見極め完全ガイド 照林社 監修 徳野慎一

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腰痛メディア編集部
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