腰痛の原因の1つに、腰椎圧迫骨折があります。「骨折なのだから痛いだろう」ということは分かりますが、骨折が治れば腰痛も治るはずと思いますよね。

実際のところ、圧迫骨折は3週間くらいで治ります。しかし、その後に腰痛が残ることがあるのです。そこでこの記事では、腰椎圧迫骨折の原因と対処方法などについて説明していきます。

腰椎圧迫骨折を起こす原因

まず、腰椎圧迫骨折について少し説明します。
「腰椎圧迫骨折」は、「脊椎椎体骨折」と同じ意味で、脊椎を形成している骨の中で椎体という背骨の中心にある骨が、外部からの圧力によって折れたりつぶれたりすることを言います。
腰椎は腰の位置にある脊椎で、L1からL5(第1腰椎から第5腰椎)まで5つの椎体で成り立っています。専門家はよく「L5の圧迫骨折」とか「第5腰椎の圧迫骨折」という言い方をします。

腰椎圧迫骨折を起こす原因としては、の3つが挙げられます。

①骨粗しょう症
②外部からの強い衝撃
③悪性腫瘍の転移

どの原因にしても、腰椎の圧迫骨折には強い痛みが伴うため動けなくなります。特に骨折直後は、痛くて動けないことがほとんどです。

骨粗しょう症による圧迫骨折

腰椎の圧迫骨折を起こす一番の原因は「骨粗しょう症」によるものです。
高齢化が進んだ現在では、骨粗しょう症患者は1200万人を超えていると言われています。女性の方が多く、約980万人に骨粗しょう症があると言われていますが、患者の4人に1人は男性で、現在約300万人と推定されています。
骨粗しょう症は、骨密度が低くなり骨が薄くもろくなっていく病気です。骨がもろくなっていることで骨折しやすくなります。
人の骨は、新陳代謝で破壊と再生を繰り返しています。加齢や閉経によって、バランスが崩れて骨形成が追い付かなくなることで、骨が薄くなりもろくなるのです。
その他、カルシウムやビタミンDの不足、アルコール依存症や胃腸症状、内分泌疾患や抗うつ剤など薬の副作用も原因となる場合があります。
骨粗しょう症で起こる骨折には、胸腰椎の圧迫骨折、大腿骨近位骨折(大腿骨の股関節に近い位置での骨折)、手首の骨の骨折などがあります。骨粗しょう症は、高齢者の病気だと思われがちですが、最近では無理なダイエットや偏食による栄養失調で若い人にも見られることが報告されています。

例えば過去には、ツール・ド・フランスの自転車競技の選手が骨粗しょう症になったというニュースがありました。
人の骨は刺激を受けることで強くなります。自転車競技では骨への刺激が少なく、骨が弱くなったというのです。歩いたり跳んだりすることで、足の裏から背骨への刺激が伝わり、それによって骨が強くなっていくという仕組みです。自転車競技選手には、その刺激が少なかったのでしょう。その選手は、走ったり踵落としをしたりして骨に刺激を与えることで骨粗しょう症を克服したということでした。アスリートでもこういうことがあるのだと衝撃を受けてまいますよね。
この一例からは、歩いたり跳んだりして骨を鍛えていないと骨粗しょう症になるということが分かります。

外部からの強い衝撃

腰椎圧迫骨折は骨がもろくなっている人に起きやすいですが、強い衝撃でが原因で起こることもあります。転倒やしりもち、事故、重いものを持ち上げるなど、とても強い衝撃がかかると腰椎の圧迫骨折が起きてしまいます。
高齢者で骨粗しょう症がある場合には、それほど強い衝撃でなくても、軽くしりもちをついただけで骨折してしまうことがあります。若い人でも、急に高いところから落ちてしりもちをついたり、重いものを持ち上げたり、とても強い衝撃が加わると圧迫骨折を起こすことも珍しくはありません。普段から重いものを持つ仕事をしていない限り、急に重いものを持つのは避けるのが無難です。

悪性腫瘍の転移や脊椎腫瘍によるもの

3つ目の原因として、悪性腫瘍(ガン)の骨転移によるものがあります。脊椎腫瘍とは背骨にできる腫瘍のことで、原発性と転移性があります。原発性の脊椎腫瘍には、良性と悪性があります。転移性の腫瘍というのは、身体のほかの部分にできたガンが脊椎に転移したものです。
悪性の腫瘍は、骨を溶かしたり弱くしたりして骨折しやすくなります。
腰椎の悪性腫瘍では、身体を動かした時に腰痛が起こりますが、腫瘍が大きくなると神経の圧迫による神経麻痺が出てくるようになります。

腰椎圧迫骨折を起こした時の症状と対処方法

腰椎圧迫骨折を起こすと強い痛みを感じます。体を動かしたり寝返りをうったり、椅子から立ち上がったりするなどの腰に負担がかかる時に痛みます。
ところが、原因として1番に上げられる骨粗しょう症では、骨粗しょう症患者は高齢であることが多いために、痛みを感じないことがよく見られます。
はじめのうちは、「最近背が低くなった気がする」とか「腰が曲がってきた感じがする」程度であったものも、進行すると周囲からも変化が分かるようになり、そのうちに腰痛や背部痛で寝込むことが増えるという症状です。
骨折が起きて強い痛みがある時には、安静にせざるを得ません。特に高齢者では、痛みがあるために動けないという人も多いのが現実でしょう。
この場合、3~4週間で治っていきますので、比較的安静にしながら、コルセットを装着し前屈(お辞儀など)を禁止して日常生活を送るようにします。

事故や重いものを持ち上げるなどの強い衝撃で圧迫骨折を起こした時には、装具やギプス、コルセットで固定して早期離床を目指します。重症の圧迫骨折の場合には、手術を選択される場合もあります。最近はBKPと言って、骨セメントを注入する椎体形成術(つぶれた脊椎をできるだけ元の形に戻すための手術)が行われることもあります。

悪性腫瘍、転移性脊椎腫瘍の場合には、安静にして寝ているだけでも痛みがある場合が多く、早めの診断が必要になります。診断はレントゲンでもわかりますが、MRI や骨シンチグラムなどの検査が必要なこともあります。
転移性脊椎腫瘍の場合は、元の悪性腫瘍の治療が優先となりますが、痛みに対しては痛み止めの内服や湿布で対応します。骨破壊が進んでしまうと、脊椎固定術などの手術もありますが、原発腫瘍の治療とのバランスを取ることが必要です。

まとめ

この記事では、慢性腰痛の原因でもある腰椎圧迫骨折の原因や症状、治療方法を説明しました。
腰椎圧迫骨折自体は恐ろしい病気ではありません。保存的治療でほとんどが治ります。
悪性腫瘍の場合は例外ですが、この骨折により日常生活に支障が出ること自体が実は怖いことなのです。
また、骨粗しょう症の場合、1か所でも圧迫骨折を起こしてしまったら、まずは安静にして専門の整形外科を受診してください。

腰椎の圧迫骨折で一番困るのは、安静にすることで足腰の筋力が弱っていくことです。
軽いコルセットを付けて、できるだけ早く動くようにしましょう。
骨粗しょう症が原因の場合、腰痛がある間は日常生活の中で家族や周囲の人の手を取ることになります。ですが、寝てばかりいると足の筋肉が弱って寝たきりになったり、痛みばかりに気を取られてうつ傾向が出てしまったりすることが考えられます。
強い衝撃を受けて骨折した若い人の場合にも、早期の離床がすすめられています。
痛みを取ることはもちろん、骨折の度合いによって治療方法が変わりますから、適切な診断を仰ぎましょう。
骨粗しょう症については、普段からの軽い運動(よく歩くなど)や日に当たること、バランスよい食餌などに注意して、「腰痛が治りにくい」と感じたら整形外科で骨粗しょう症の検査を受けることをおすすめします。

参考文献URL 

NHKお家で学ぼうforschool
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_687.html

日本整形外科学会 症状病気を調べる
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/spinal_neoplasm.html

DoctorsFile
https://doctorsfile.jp/medication/105/

新潟市医師会会報より
https://www.niigatashi-ishikai.or.jp/newsletter/director_word/201806251506.html

著者情報

腰痛メディア編集部
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