つらい腰痛に悩まされていませんか?腰痛の約8割が原因不明と言われており、その多くは大きな心配のないものです。しかし中には、命にかかわる重大な病気が隠れていることがあります。その1つが転移性脊椎腫瘍です。今回は、転移性脊椎腫瘍の原因や症状、心配のない腰痛との見分け方を紹介します。

転移性脊椎腫瘍とは

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脊椎腫瘍とは、脊椎骨に発生した腫瘍のことです。脊椎腫瘍には、原発性と転移性の2種類があります。今回スポットライトを当てるのは転移性脊椎腫瘍ですが、まずは2つの脊椎腫瘍についての基礎知識を学んでいきましょう。

原発性脊椎腫瘍

原発性脊椎腫瘍とは、骨を構成する組織から発生した腫瘍のことです。原発性脊椎腫瘍には、良性と悪性の2種類があります。原発性脊椎腫瘍の発生頻度はそれほど高くないものの、若者から高齢者まで幅広い世代に発生します。

転移性脊椎腫瘍

今回スポットライトを当てていく転移性脊椎腫瘍。転移性脊椎腫瘍とは、体の別の場所に発生した悪性腫瘍(がん)が脊椎へと転移した腫瘍です。がんの転移ということもあり、がんの発生頻度が増える中高年の患者が目立ちます。

転移性脊椎腫瘍の原因と病態

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転移性脊椎腫瘍は、別の場所に発生したがん細胞が血液などで運ばれて骨にたどり着き、脊椎に転移したものです。骨腫瘍のうち、大半をこの転移性骨腫瘍が占めています。骨に転移しやすいがんは以下の通りです。
●肺がん
●乳がん
●前立腺がん
●甲状腺がん
●腎臓がん
この中で最も骨に転移しやすいのは乳がんです。これらのがんを患っており、骨に痛みを感じた場合は転移性脊椎腫瘍の可能性が高まります。
続いては、転移性脊椎腫瘍の病態について説明します。脊椎にがんが転移すると、脊椎でがん細胞が増殖して骨を破壊します。脊椎が破壊されて脆くなると、骨折のリスクが高まるため注意が必要です。
また、腫瘍によって脊髄神経を圧迫されると麻痺が生じることもあります。寝たきりになるケースもあるため、早めの発見と治療が重要です。

腰痛は必ず感じる?転移性脊椎腫瘍の主な症状

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転移性脊椎腫瘍の症状の中で、一番よく知られているのが腰痛です。腰痛も含め、具体的にどのような症状が出るのかを解説していきます。

腰痛

転移性脊椎腫瘍の患者さんが訴える症状の中で最も多いのは腰痛です。骨にがんが転移しても骨自体が痛むことはほとんどありません。しかし、腫瘍が骨の外にまで生じると骨膜や周囲の神経に影響を与えて痛みを感じます。
また、脊椎が脆くなると背中を支えられなくなり腰に大きな負担がかかります。これらが転移性脊椎腫瘍によって腰痛が起こるメカニズムです。

背中や首の痛み

脊椎が脆くなって痛むのは腰だけではありません。脊椎は首から尾骨までと非常に長いため、脊椎がもろくなったことでその範囲すべてに痛みを感じることがあります。腰痛だけでなく、背中や首の痛みが長引いている人も注意が必要です。

病的骨折

転移性脊椎腫瘍によって脊椎が脆くなると、体重や動作の負荷に耐え切れず骨折しやすくなります。特に運動をしたわけではなく、日常生活で骨折することも珍しくありません。これを病的骨折と呼びます。

手足の麻痺

骨の周りには多くの神経が通っています。腫瘍によって脊髄神経が圧迫されることで、対応した場所に神経障害が生じることがあります。具体的には手足の麻痺です。脊椎の中を走る脊髄に破損が生じた場合、足が麻痺して歩行困難になるケースもあります。

筋力低下

腫瘍によって脊髄神経が圧迫されると、手足に力が入らなくなる筋力低下がみられることがあります。手足に力が入らず物を落としてしまう、以前と比べて重い物を持てなくなったなどの異変を感じたら要注意です。

膀胱直腸障害

脊椎が圧迫または破損したことにより、排尿・排泄に関わる筋肉や神経の機能が低下することがあります。その結果、失禁や便秘などの障害が起こります。膀胱直腸障害のみで転移性脊椎腫瘍を疑うのは難しいかもしれませんが、腰や背中の痛みと同時に現れたら注意が必要です。

転移性脊椎腫瘍の腰痛と心配のない腰痛との見分け方

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転移性脊椎腫瘍の症状の中で最も多いのは腰痛です。腰痛に悩んでいる人は多いため「自分の腰痛は脊椎腫瘍なの?」不安になるかもしれません。心配のない腰痛と見分けるために、転移性脊椎腰痛で感じる腰痛の特徴を紹介します。

痛みがだんだん強くなる

腰痛を感じると、「年齢のせい」「疲労のせい」と考える人が多いでしょう。ついそのまま放置しがちですが、痛みがだんだん強くなる場合は注意が必要です。転移性脊椎腫瘍の場合、腫瘍が大きくなることで脊椎神経を圧迫して痛みがだんだん強くなります。
一方、加齢による腰痛は急激に痛みが強くなることは少なく、いつも同じくらいの痛みを感じます。また、運動や動作による腰痛は数日経てば改善することがほとんどです。

安静にしていても腰痛が収まらない

一般的な腰痛は、安静にしている時は痛みが治まる傾向にあります。楽な姿勢を見つけて休んでいれば、その時は痛みを感じにくいでしょう。しかし、転移性脊椎腫瘍による腰痛は腫瘍が脊椎神経を圧迫して起こるため、いくら安静にしていても姿勢を変えても腰痛が収まりにくいです。

夜間に痛む

転移性脊椎腫瘍による腰痛のもう1つの特徴は、夜間に感じる腰痛です。先ほど解説したように、一般的な腰痛は安静時や就寝中には楽になります。しかし、転移性脊椎腫瘍による腰痛は、夜間の就寝中でも強い痛みを感じます。

転移性脊椎腫瘍の診断方法と治療法

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最後に、転移性脊椎腫瘍の診断方法と治療法について解説していきます。

転移性脊椎腫瘍の診断方法
転移性脊椎腫瘍の主な診断方法は以下の4つです。
●X線(レントゲン)検査
●MRI検査
●CT検査
●骨シンチグラフィー
X線(レントゲン)検査を行うことで、骨の破壊を調べることができます。骨の内部はX線検査だけでは分かりにくいため、骨内部の組織を見るためにMRI検査が用いられます。MRI検査を行うことで、転移性脊椎腫瘍の約90%以上*は発見できると言われています。
転移性脊椎腫瘍の診断には、骨の代謝が活発に起こっているかを画像化できる骨シンチグラフィーを用いることもあります。また、CT検査がきっかけで転移性脊椎腫瘍が発見されることも少なくありません。
転移性脊椎腫瘍の治療法
転移性脊椎腫瘍の治療法としては、転移の元となったがんの化学療法・ホルモン療法が基本です。脊椎腫瘍による症状が強い場合は手術を行うこともあります。
1つ目は、腫瘍を残したまま脊椎の柱を立てて安定化させる手術です。2つ目は安定化と同時に腫瘍を全て取り除く手術です。病気の進行度や患者の体力を見ながら、医師と治療法を考えていきます。
もしかしたら転移性脊椎腫瘍かも?だんだん強くなる腰痛を見逃さないで

今回は、転移性脊椎腫瘍の原因や症状、治療法について解説しました。転移性脊椎腫瘍の代表的な症状として挙げられる腰痛。その腰痛には安静時や夜間に強くなる、日に日に痛みが強くなるなどの特徴があります。
がん治療中の方はもちろん注意する必要がありますが、骨に転移してから初めてがんに気づくケースもゼロではありません。いつもと違う強い腰痛が長引いているなら、一度受診することをおすすめします。

【参考URL】
脊椎手術.com|第9回 転移性脊椎腫瘍|日本大学医学部附属板橋病院 整形外科 教授 徳橋 泰明先生

著者情報

腰痛メディア編集部

こんにちは。 腰痛で悩む多くの方に役立つ情報を毎日お届け。それぞれが違った痛みの場所・違った痛みの度合い・違った原因をお持ちです。 一人一人が自分の腰の状況(病態)を理解し、セルフマネジメントできるようになることが私たちの目標です。記事のご意見・ご感想お待ちしております♬

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