結論を先に述べると、腰痛と腹痛が同時に起こる場合は、がんに罹患している可能性があります。具体的には、すい臓がんや子宮頸がんなどが考えられます。しかし、そうした可能性は決して高くありません。発熱や倦怠感などの全身症状、安静時にも感じられる次第にひどくなる痛みなどがなければ、他の理由を疑うべきです。例えば、「ストレス」などはどうでしょうか。

今回は腰痛・腹痛が同時に起こる原因について解説します。重大な病気や「もっと身近な腰痛・腹痛」、それらを解消するために実践すべき方法などを紹介するので、参考にしてください。

腰痛・腹痛を同時に引き起こす病気

腰痛と腹痛を同時に引き起こす病気としては、以下のような例が挙げられます。これらの病気にかかっている場合、腰痛・腹痛以外の症状、例えば、高熱や頭痛、体重減少などを伴うことが多いです。また常識的な程度でなく、強烈な痛みを感じることもあります。そうした症状が見られる場合は、自分で原因を究明するよりも、まず医療機関を受診してください。命に関わる危険が潜んでいる可能性があります。

腰痛・腹痛が起こる病気1:消化器系の病気

胃潰瘍や十二指腸潰瘍、膵炎、胆石症、胆嚢炎などの消化器系の病気で、腰痛と腹痛が同時起こることががあります。これらに原因があれば、腰痛や腹痛の他に、吐き気や嘔吐、血便、食欲不振などの症状が出ることが多いです。またすい臓に問題がある場合は、お腹から背中を突き抜けるような痛みを伴います。

そうした症状が見られる場合は、至急内科や消化器内科などを受診しましょう。特にすい臓がんの場合は早期発見が難しく、発見された頃にはかなり症状が進行していることが珍しくありません。がんであった場合の生存率を高めるためにも、早期受診が重要です。

腰痛・腹痛が起こる病気2:泌尿器科の病気

尿路結石や腎盂腎炎(じんうじんえん)などの泌尿器の病気が、腰痛と腹痛の原因となっていることも考えられます。そうした病気が原因の場合は、腰痛や背部痛、わき腹の痛み、下腹部痛などに加え、発熱や血尿、排尿障害などの症状を伴うことが多いです。また急性的なものなら、強烈な痛みをはじめとする、激しい症状が出ます。

腰痛・腹痛が起こる病気3:循環器系の病気

腹部大動脈瘤や腹部大動脈解離という循環器系の病気も、腰痛や腹痛を引き起こします。大動脈瘤とは大動脈にできるこぶのような塊のことで、これが破裂すると命の危険を伴う事態になり得ます。腰痛や腹痛は腹部大動脈瘤破裂の兆候でもあるので、注意しましょう。へその周りにしこりを発見したり、お風呂に浸かっているときにお腹が拍動するような感じがあったりする場合は、早めに医療機関にかかってください。

大動脈解離は、大動脈が裂けることによって起こる病気で、強烈な痛みを伴うことが特徴です。放っておくと高い確率で命を落とすため、尋常でない痛みを感じた場合は、救急車を呼んでください。

腰痛・腹痛が起こる病気4:脊椎や脊髄に良性もしくは悪性腫瘍
脊椎腫瘍や脊髄腫瘍が原因で、腰痛と下痢や便秘などの排便障害が起こることがあります。原発性の場合は多くが良性で、手術によって腫瘍を取り除けば、症状が改善する可能性が高いです。一方で転移性脊椎腫瘍や悪性の脊髄腫瘍の場合は、命を落とすことも少なくありません。

がんの骨転移であるなら、原発巣によっては、排便障害だけでなく腹痛を伴う可能性もあります。例えば、腎細胞がんは転移性脊椎腫瘍の原発巣となることも多いですが、そのがんは腹痛を伴います。

腰痛・腹痛が起こる病気5:子宮の病気や更年期障害(女性)
女性の場合、子宮内膜症や卵管炎症、卵巣茎捻転、卵巣がん、子宮頸がんなど、婦人科系の病気である可能性も考えられます。例えば、卵巣茎捻転が起きた場合は、強烈な腰痛や下腹部痛を伴います。こうした婦人科系の病気では、おりものの異常や性交痛、吐き気などの症状も同時に起こることが多いです。

ただし、プロスタグランジンの多量分泌などによっては、生理痛として腰痛や腹痛が出ることもあり、女性特有の腰痛・腹痛が見られれば、すなわち重大な婦人科系の病気であるとは限りません。しかし、日常生活に支障を及ぼす程度であれば、月経困難症と言えるので、辛い場合は病院を受診しましょう。

また40代や50代の女性は、更年期障害の症状として腰痛と腹痛を経験することもあります。けれども、がんなどの疾患が潜んでいる可能性もあるため、「更年期障害だろう」と放置するのではなく、症状によっては医療機関にかかってください。

心理的ストレスも腰痛・腹痛の原因になる

医療機関で診察や検査を受け、異常がないことを確かめることは非常に大切ですが、腰痛や腹痛が、がんやその他の重大な病気に由来する症状である可能性は低いです。それよりも高確率な原因としては、「心理的ストレス」が挙げられます。

心理的ストレスが原因の腰痛:多くの人が抱える非特異的腰痛
日本人の多くが抱える腰痛うち、85%は原因がわからないと言われています。そうした腰痛は「非特異的腰痛」と呼ばれますが、それは心理的ストレスに起因していることが多いです。はっきりとしたメカニズムは解明されていないものの、過度なストレスによって自律神経や脳機能に異常が生じ、腰痛が引き起こされると考えられます。

例えば、自律神経の中でも交感神経は、血管の収縮に作用する神経です。これはストレスがかかると活発化するので、ストレス過多になると、血行不良や筋肉の緊張を招いて、腰痛を引き起こし得ます。

心理的ストレスが原因の腹痛:過敏性腸症候群の可能性

消化器を支配しているのも自律神経であるため、過度なストレスによってそのバランスが乱れると、下痢や便秘、腹痛などが起こり得ます。

またストレスがかかり続けると、自律神経の反応が過剰になってしまい、「器質的な異常が見られない腸トラブル」が慢性化してしまうことも珍しくありません。その状態は「過敏性腸症候群」と呼ばれますが、緊張するとすぐにお腹が痛くなったり、日常的に腹部の不快感が続いたりといった症状のある方には可能性があります。男性には下痢型、女性には便秘型が多いです。

腰痛と下痢・便秘の深い関係を解説

心理的ストレスは腰痛と下痢・便秘が同時に起こる原因となり得ますが、腰と大腸は位置関係が近いので、腰痛によって下痢・便秘が、または下痢・便秘によって腰痛が引き起こされることもあります。例えば、腰椎椎間板ヘルニアの患者には、便秘に苦しむ人が多いです。

また便秘になるとS状結腸が、下痢になると回盲部が腰回りの筋肉や筋膜と癒着してしまうことがあり、そうなると腰痛を発症します。

適度な運動でストレスを解消しよう!

心理的なストレスが原因の非特異的腰痛や過敏性腸症候群を改善・予防するには、ストレス対策をきちんとすることが重要です。ストレス対策の方法としては、適度な運動をおすすめします。体を動かせば、ストレス解消になるだけでなく、筋肉をほぐして血流を改善することできるので、有意義な方法だと言えます。

運動療法は「腰痛ドクターアプリ」で知るのがおすすめ!

自分に合った運動の方法を知りたい方は、「腰痛ドクターアプリ」というオンラインサービスをお試しください。このサービスでは、ネット上で自動問診に答えることで、腰痛の状態や危険度を判定、さらにはその腰痛を改善するための運動療法を動画で教えてもらえます。今日から腰痛を改善するための運動を始めることができ、ストレス性の腹痛にもアプローチできるので、是非とも使ってみてください。

症状が深刻な場合は早めに医療機関の受診を!
確率は高くないものの、同時に起こる腰痛と腹痛が、がんなどの病気に起因するものであることは十分に考えられます。その場合は早期発見・早期治療が肝心なので、特に腰痛・腹痛以外に気になる症状があるときは、早めに医療機関にかかりましょう。またストレス性の腰痛・腹痛を解消したい方は、「腰痛ドクターアプリ」で提案される運動療法を試すのもおすすめです。

参考URL
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腰痛メディア編集部
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