側弯症とは

スカートの丈が左右で合わない、綺麗な姿勢で礼ができない、服の縫い目が体に合わないなどの症状と併せて腰痛があるという方、その腰痛の原因は「側弯症」という疾患かもしれません。
 側弯症(脊椎側弯症ともいう)とは、本来であれば、脊椎が横から見るとS字のように前後にカーブしている(生理的湾曲)はずのものが横向きに側弯してしまっていることを指します。特徴として、正面からの画像検査で脊椎がまっすぐに描写されません。
「背中が盛り上がる」「ウエストの高さが左右で違う」などの症状や、肺活量の低下、神経障害、腰部・背部痛などの症状が出ます。特に胸椎の側弯は気が付きやすいのですが、腰痛をともなう腰椎の側弯は気づかれにくく、腰痛契機で画像検査をすると発見できる場合もあります。
側弯症には正しい治療と、定期的な受診が必要です。この記事を読んで当てはまる事項はないかセルフチェックしてみてください。

側弯症の種類

 側弯症とひとくくりにまとめても、実は様々な種類に分類されます。側弯症の原因要素は実に100以上あるとされています。

(1)原因がつきとめられている側弯症
 側弯症のうち原因が判明しているものは、生まれつき骨にゆがみのある先天性側弯症、筋ジストロフィーなどの疾患からなる神経・筋原性側弯症、骨形成不全・熱傷・術後・心疾患などにともなう病原性側弯症などあります。原疾患がわかっているものなどは疾患の随伴症状としての側弯症ととらえることができます。この場合、疾患が治癒していたとしても後遺症として側弯症が残り、長期的に(あるいは生涯を通して)付き合っていくことになります。

(2)原因が不明の突発性側弯症
 側弯症のうち、はっきりとした原因がわからないものを突発性側弯症と称します。前側弯症のうち8割以上がこの突発性側弯症に属します。思春期や成長期の10歳以上の女児に多く発症することがわかっています。検診時に指摘されたり、入浴時に他者に指摘されたりして気が付くことが多いです。

側弯症から腰痛が発生する理由

(1)腰痛が発生するメカニズム
側弯症が起因となる腰痛の最大の原因は腰椎の側弯・変形にあります。脊椎・腰椎のゆがみから身体のバランスが破綻し、重心がズレたり歩行姿勢が悪くなったりすることで腰部に強い負担がかかり、腰痛が発生すると言われています。側弯症は自然的に治癒するものではないので鎮痛剤で対症療法を繰り返しても、加齢とともに徐々に悪化し最終的は「難治性腰痛」となる場合も非常に多いです。
腰椎が10°以上側弯することで腰痛が出現することが多く基本的には体動時に腰痛がひどくなることが多いです。また、腰椎側弯が原因で椎間板隆起や椎間板ヘルニア、脊椎変形などが合併することで腰痛が悪化することもあります。このように、側弯症と腰痛は根深い関係性があります。
また、成長期に発症した側弯症の場合、成人前に腰痛を訴えることはほとんどありません。側弯症が既往にある方が成人後、加齢とともに腰痛の症状が出現します。40歳以上になると、ほとんどの方が腰痛を訴えるようになります。

(2)腰痛を放置するとどうなるか
 側弯症による腰痛が出現している場合、側弯が原因で神経をすでに刺激しています。その状態で放置してしまうと神経障害が発生する可能性があります。稀ではありますが、下肢が動かない、麻痺する、しびれるなどの症状が出現することがあります。

腰痛対策や予防方法

 側弯症の腰痛は外的な刺激をあまり加えないのが得策と言えます。例えば専門的ではないマッサージや独自に行うストレッチが結果として側弯症の悪化を招くこともあります。それでは、具体的な対策について紹介します。

(1)専門的な理学療法
 側弯症のある方がマッサージなどを施行したいときには、医学的な知識をもっている理学療法士などに専門的なマッサージを依頼する方が悪化予防につながります。歩行の仕方や良肢位の取り方なども指導してもらうと良いでしょう。リハビリテーション外来などがある総合病院で施術を受けるようにしましょう。

(2)入浴や寝具調整などのリラクゼーション
 シャワー浴ではなく浴槽にお湯をはり入浴したり、良質な寝具を導入したりするなどしてリラクゼーション効果を高めましょう。根本的な解決にはなりませんが、リラックスすることは腰痛などの疼痛緩和につながります。

(3)日常生活上の制限はあるのか
腰痛や背部痛など身体の痛みがなければ日常生活の制限はありません。スポーツや趣味など無理しない程度に楽しむようにしましょう。

側弯症の治療方法について

(1)側弯症は治癒するのか
残念ながら、一度側弯してしまった脊椎が、成長過程や経年で自然にまっすぐになることはありません。治療をしても完全にまっすぐになることは非常に難しいですが、側弯症にともなう随伴症状を軽減することはできます。

(2)側弯症にはどんな治療が適応されるか
側弯症の治療としては重症度に応じてその治療内容が選択されることになります。

①定期受診のみで経過観察
 腰痛・呼吸器症状などが全くなく、側弯もごく軽度の場合には定期受診で経過を追っていくことになります。側弯の悪化や症状の出現が定期受診で発見されれば治療の対象になっていきます。ただし、定期受診にいかないことで悪化に気が付かず、症状が出たときには重症化している可能性があるので定期受診は確実に通う必要があります。

②疼痛コントロールのみ実施
 腰痛はあるがごく軽度の側弯症の場合、疼痛コントロールのみで経過観察する例もあります。腰痛が改善されることで無理な姿勢や臥床生活から解放されるのが目的です。鎮痛薬の内服や外用薬(湿布)などを使用し疼痛を取り除きますが、鎮痛薬の使用でも疼痛が改善されない場合には次の段階の治療方法を検討する必要があります。

③サポーターを使用して脊椎矯正
 側弯症に対する矯正用サポーターが開発されています。軽度の側弯の矯正や悪化防止の目的で使用されます。入院の必要もなく衣類の下に装着するので目立たず治療ができます。側弯症でゆがんだ姿勢から、正しい姿勢に導いてくれるので腰痛の改善も期待できます。ただし、根本的な治療にはなりません。矯正用サポーターは市販されているものもありますが、自己判断せず医師と相談して自分の症状に合ったものを導入するのが良いでしょう。

④手術療法
さらに、深刻に重症化している場合では手術適応になることがあります。手術痕は残ってしまいますが、現在では小切開法なども研究され、できるだけ侵襲の少ない治療が主流になってきています。物理的に側弯を修復するので、根本的な腰痛改善につながる可能性は非常に高いです。
しかし入院やリハビリテーションもともなう長期的な治療になるので、医師や家族としっかりカンファレンスしてから望むようにしましょう。特に学生では体育への参加が半年間禁止になったり、リュック(ランドセル)を背負えなかったりなどの制限が出ますので家族のサポートが必要不可欠になります。

まとめ

 まだまだ全貌が解明されていない側弯症ですが、症状を軽快する方法は徐々に研究されています。側弯症起因の腰痛が改善されることで日常生活の幅はさらに広がり、充実した生活が送れるかもしれません。新しい趣味や仕事にチャレンジしたり、自分に自信をもてるようになったりすることも想像できます。ひとりで側弯症や腰痛に悩むのではなく専門機関に相談してみましょう。

参考文献
著 加藤 光寶『運動器 成人看護学』[系統看護学講座 ]出版社 医学書院, 発行年 2014
著 坂井建雄 / 岡田隆夫『解剖整理学』[系統看護学講座 ]医学書院, 発行年2014
URL:https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/1911-1_2d_0001.pdf
(厚生労働省 腰痛対策)
URL: https://www.jslsd.jp/(日本腰痛学会)
URL: https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/lumbago.html(公益財団法人 日本整形外科学会)
URL: https://j-scoliosis.com/(側弯症エクササイズ教室)
URL: https://www.sokuwan.jp/(日本側弯症学会)

著者情報

腰痛メディア編集部
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