筋肉の痛みやこりからくる腰痛とはまた違った痛み方をする尿路結石の腰痛。ときに腹痛や背部痛をともなうこともあります。
今回は「腰痛なのか、尿路結石なのかわからずに困っている」、「いつもの腰痛とは様子が違う」など尿路結石の可能性がある腰痛にお悩みの方にお伝えしたい、尿路結石の治療「ESWL」に治療の実際についてまとめました。

尿路結石とは?

尿路結石とは、腎臓において尿の成分から作られる「結石」と呼ばれる石ができる病態です。
この結石が存在する場所により「腎結石(じんけっせき)」「尿管結石(にょうかんけっせき)」「膀胱結石(ぼうこうけっせき)」「尿道結石(尿道結石)」に分類されます。

尿路結石
イラストの通り、尿の成分がしっかりと石のように結晶化し、結石となります。これが体内の「尿路」と呼ばれる、腎臓で尿が作られる場所から、排泄(はいせつ)される尿道内に形成されるのです。
ごく小さなものであれば、気が付かないうちに尿と一緒に排泄されることもありますが、サイズが大きくなるほど自然に体外に排泄される可能性は低くなるとともに、腰痛や腹痛などのなにかしらの症状となって出現します。
また、そのまま放置しておくと尿路がつまって排尿できなくなり、最悪の場合、水腎症から尿毒症へと重篤な疾患に移行する恐れもあるのです。

尿路結石のおもな症状は血尿と、腰痛や背部痛、腹痛などの痛みです。
とくに尿管内を通過するときには激痛で「疝痛発作(せんつうほっさ)」とも呼ばれています。
あまりにも強い痛みに驚き、初めて症状が出現した人は救急車で搬送されてくることもあるほどです。

こちらの記事も参照してみてください
尿路結石と腰痛 原因と治療、予防方法 | 腰痛の情報サイト-腰痛メディア|腰痛改善に役立つ情報サイト (yo-tsu-media.com)

尿路結石の治療法と適応診断

尿管結石に対して、現在もっとも行われている治療は体外衝撃波砕石術(Extracorporeal shock wave lithotripsy 以下ESWL)です。
実際には結石の成分や大きさ、結石がある部位によって必ずしも治療対象にはなりません。
しかし、一昔前までは外科手術適応だったものが、手術をせずに治療することが可能になりました。

腎結石の場合、20㎜未満のサイズであればESWLが選択されます。それ以上の大きさの場合には「経皮的腎砕石術 (以下PNL)」が行われます。
また、ESWLで有効な効果が見られない場合には「経尿道的腎・尿管砕石術(以下TUL)」に移行します。
中にはまったくの無症状で経過する例もあります。尿路閉塞(にょうろへいそく)や尿路感染をともなわずに、サンゴ状の結石でなければ何もせず経過を追う場合もあります。

尿管結石のサイズについては、一般的に5㎜以下であれば自然排泄を待ち、5㎜以上であればESWLかTULが適応になります。
さらに10㎜を超えてしまえば、ESWLは適応外です。(病院ごとに採用している装置により多少の前後はあります)また、ESWLを繰り返しても有効な効果が見られない場合でも、TULが適応になります。

次に尿路結石疑いで受診、診断を受けた場合の治療の流れについて説明します。

尿路結石で受診したときの診察の流れ

尿路結石で受診となる場合、多くのかたが腰痛や背部痛を訴えて受診します。
ほとんどの方がかなりの激痛を訴えてきますが、その強弱には人により個人差があります。(もともと痛みに対して強い耐性があるのか、弱い人なのかによっても違いがある印象を受けます)
多くの場合、痛みがひどいので、それを訴えれば、施設により優先的に診療をしてもらえる場合もあります。
座って待合室で待つことも難しいようだったら、受付や看護師に相談するとよいでしょう。
この時、耐えがたいようだったら自宅で鎮痛剤を服用してきても大丈夫です。
医師はその状態に合わせて追加で鎮痛剤の使用を検討してくれるはずです。何を何時に内服したのかなどは、覚えておきましょう。
病院でも追加の鎮痛剤を使用することがあります。基本的に確定診断がつくまでは、「NSAIDs(エヌセイズ)」と呼ばれる種類の消炎鎮痛剤を処方します。
確実に結石だと判明した時点で、NSAIDsの効果がはっきりとしない場合にのみ「ソセゴン®」と呼ばれるペンタゾジン注射液を筋注します。ほとんどの方がこの注射により痛みを落ち着かせられます。
ある程度痛みが落ち着き、検査ができるような状態になれば、尿検査と画像診断(CT)、エコー検査などをおこないます。
結石がある位置と大きさ、個数などを確認し、治療方針を固めるためです。
各種検査結果を見て治療方針が決定されます。ESWL以外の治療方針の目安は上記内容を参照してください。この後にESWL治療の実際について見ていきましょう。

ESWLの治療の実際

・ESWLの治療が決定したら、まずは排泄を済ませます
・場合によりあらかじめNSAIDsの座薬を使用し、処置に対しての鎮痛を図ります
・更衣をします。長病衣に着替えますが、結石のある位置によって前開きタイプを着用するか、後ろ開きタイプを着用するか異なります。下着はすべて外します
・治療台に乗って治療の準備をします。結石のある位置によって、あおむけかうつぶせか異なります
・検査台に乗るときに病衣を開き、台に接触する部分は肌に直接触れるようになります
・検査技師と医師で、結石の位置を最終確認します
・結石の確認が終わったら医師より衝撃波を照射する回数と強さの指示が出ます
・病院ごとに採用している装置により違いはありますが、中には衝撃波の伝導効率を上げるために、体の周囲にお湯を張ることがあります
・衝撃波装置なので、ずんずんとした衝撃感がきますが、ほとんどの場合大きな痛みを感じることなく終了します。慣れれば入眠できる人もいるほどです
・治療時間はおよそ1~2時間。複数回繰り返すこともあれば、一度の治療で終了することもあります。
・細かく砕かれた結石は、この後自排尿と一緒に自然排泄を目指します。
・次回以降の治療の場合は、毎回最初にレントゲンを撮り、結石の位置、サイズの確認をして治療します
・施設により、治療当日は食事をしてこないようにと指導されることもありますので、指導内容に準じてください

ESWLの保険について

2021.3月現在、ESWLの治療に関しては、基本的に保険適応となるケースが多いようです。外来手術とみなされるようなので、自身が加入している保険会社に確認しましょう。ただし、「1つの結石に対して」のみ、保険が効きます。新たに発見された結石や、結石が再発して、追加でESWLの治療を受ける場合は、別途申請が必要です。

最後に

いかがでしたか?結石治療の最先端、ESWLをメインとした紹介をしました。今回は筆者が実際に泌尿器科で働いていた時に対応していた尿路結石の治療を参照にしてまとめています。「尿路結石かも、けれどもどんな治療がなされるのか分からなくて不安」という方への参考になれば幸いです。


▼参考書籍
みてわかる腎泌尿器ケア
腎泌尿器疾患診療マニュアル

著者情報

腰痛メディア編集部
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