間欠性跛行とは

間欠性跛行という症状は、あまり御存知でない方が多いのではないでしょうか。
読み方もわからない方が多いものです。
「かんけつせいはこう」と読みます。
間欠跛行(かんけつはこう)と呼ぶこともあります。

間欠性跛行という症状は「歩行時にふくらはぎなどの筋肉が痛み、歩きつづけることができない状態」と定義づけられています。注1

痛みがでても、少し休むと回復し、また一定距離を歩くと同様の症状がでるのが特徴です。

間欠性跛行が出現する病気とは?

間欠性跛行が出現する病気は、大きくわけて二つの種類があります。
閉塞性動脈硬化症という血管に原因がある病気と腰部脊椎管狭窄症という背骨の形に原因がある病気の可能性があります。
原因が全く異なりますので、受診する科、対処も異なりますので注意が必要です。

閉塞性動脈硬化症という足の動脈が細くなったり詰まったりする血管の病気

閉塞性動脈硬化症とは、血管で動脈硬化が進行して、特に足の動脈が細くなり、足の血行が悪くなる血管の病気です。

閉塞性動脈硬化症の症状と特徴

糖尿病や脂質異常症、高血圧症などの方、喫煙者は動脈硬化が起こりやすいため、閉塞性動脈硬化症を起こしやすいと言われています。

特に、50歳以上の男性に多いです。

閉塞性動脈硬化症になった場合は、足だけでなく、脳や心臓などの血管でも同じような異変が起きている可能性が高く、脳梗塞や狭心症、心筋梗塞などの生命に関わる病気を併発することもあります。

動脈とは、酸素を多く含んだ血液が流れる血管ですので、動脈が細くなり血行が悪くなると筋肉などの細胞に十分な酸素が行き渡りません。

動脈硬化が原因ですので、細い血管が詰まってしまい、閉塞してしまうこともあります。

ひどくなると、歩行時だけでなく、安静にしているときにも足の痛みやしびれが出てしまったり、足が青くなったり(チアノーゼ)、潰瘍ができやすくなります。
潰瘍ができても血行が悪いため、なかなか治りません。
潰瘍が悪化すると壊疽(細胞や組織が死んでしまい腐った状態)を起こしてしまい、足を切断しなければならなくなるという非常に深刻な病気なのです。

閉塞性動脈硬化症の検査

閉塞性動脈硬化症では、血行が悪くなるという特徴があります。
簡易的な検査としては、ABI検査、下肢動脈エコー、造影CT検査などを行うのが一般的です。

ABI検査は、上腕・足関節血圧比という名前の検査で、両腕と両足の血圧を同時に測り、その比率を出します。

ABI検査の結果は1.0以上が正常で、1.0未満では足の血流に問題があるということを意味します。
治療ガイドラインに「ABI 0.90 未満(または以下)をもって ASO (下肢閉塞性動脈硬化症)とみなす研究が多い」と記載されていますのでABI検査の結果が0.90未満(または以下)だった場合には、閉塞性動脈硬化症の可能性が高いと言えるでしょう。注2

下肢動脈エコー検査は、超音波検査です。太ももの付け根あたりから足の血管を超音波検査で調べます。

造影CT検査では、血管に造影剤を注入し、下肢の動脈がCTで見えやすくして撮影を行います。血管の状態を詳しく調べることが可能です。

閉塞性動脈硬化症の治療

閉塞性動脈硬化症の治療では、まず血液をさらさらにする抗血小板剤や末梢血管を広げる薬を使います。
日常生活では、手足を保護し、傷をつけないようにすること、血行がよくないためなるべく足を冷やさないようにすること、症状がひどくならない程度に歩くようにすることが有効です。
動脈硬化を悪化させないために、糖尿病や高血圧症などの治療をしっかりと行うことも重要でしょう。

そうすることで、細い血管が詰まりにくくなり、血行も良くなるのです。

症状がひどい場合は、血管を広げるカテーテル治療やバイパス手術を行います。

カテーテル治療とは、血管内治療とも呼ばれ、ワイヤーを血管が狭くなったり詰まっていたりする場所に通して、風船のようなものを膨らませ、ステントという金属のチューブを血管内に置くことで血管を広げます。

血管自体が動脈硬化でかなり傷んでいる場合には、バイパス手術という外科的な手術をします。

バイパス手術とは、詰まった部分の血管を切り取り、他の場所にある自分の血管に置き換える手術です。

閉塞性動脈硬化症という病気は、足に症状が出やすいので整形外科を受診されるケースが多いのですが、循環器科で動脈硬化の治療を行います。

動脈の閉塞が起きているケースでは、外科で血管の手術を行うこともあります。

腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症とは、馬尾神経が通っている脊柱管が狭くなり、馬尾神経や神経根を圧迫してしまう病気です。
脊髄という神経が脳から首、背中、腰まで背骨に沿って走っています。
馬尾神経とは、脊髄の下にあり、腰からお尻にかけて走っている神経です。
ちょうど馬の尻尾のような形をしているので馬尾神経と呼ばれています。
神経根とは、脊髄から分かれて腕や足に向かっていく神経のことです。

腰部脊柱管狭窄症の症状と特徴

正常な脊柱管は、一般的に二等辺三角形になっているのですが、脊柱管狭窄症の場合は、つぶれた三角形のような形になってしまっています。
このように神経が通っている脊柱管が狭くなり、神経を圧迫してしまうために、間欠性跛行や坐骨神経痛などの症状がでるのです。

腰部脊柱管狭窄症では、「歩行時、立っているときに足の痛みやしびれが出て、自転車に乗っているときやベビーカー、ショッピングカートを押して歩いているときには症状が出ない」、「間欠性跛行だけでなく、坐骨神経痛、足のしびれ、特に足の裏のしびれが出るのも特徴である」と言われています。

足の裏のしびれは、「嫌な感じのしびれ」と表現され、非常に不快感を伴う症状です。

腰部脊柱管狭窄症の原因は、先天性の場合と後天性の場合があります。
先天性の場合は、30~40歳代で症状が現れ始め、重症化しやすいのが特徴です。
後天性の場合は、加齢による変化によるものが原因として挙げられます。
「50歳代以上では変形性脊椎症や腰椎変形すべり症のある方、若い世代では腰椎椎間板ヘルニアのある方で脊椎管の狭い人が多い」と言われています。注3

腰部脊柱管狭窄症の診断と治療

腰部脊椎管狭窄症かどうか調べるためには、CT、MRI、脊髄造影検査を行うことが多いです。
腰部脊椎管狭窄症で起こる間欠性跛行に対する治療としては、馬尾神経の血行を改善する薬と消炎鎮痛剤の内服を行います。

痛みが強い場合は、選択的神経根ブロックを行うと痛みを緩和することができます。

選択的神経根ブロックとは、神経根に直接針を当てて麻酔を注入します。
「1回のブロック注射で2~3日くらい効果が持続するようであれば、週に1回程度繰り返し行うことで症状が改善し、消失していく」と言われています。注4

しかし、内服治療やブロック注射を行っても効果がない場合には、手術という選択肢もあります。

手術を行う場合には、足の裏のしびれがひどくなってからだと、せっかく手術をしても効果が十分にでないことがありますので、ブロック注射を試しても改善しない場合には、早めに脊椎手術専門の医師に相談するとよいでしょう。

間欠性跛行の症状が出た時には何科を受診したらいい?

間欠性跛行の症状が現れる代表的な病気は、閉塞性動脈硬化症と腰部脊椎管狭窄症です。

糖尿病、高血圧症、肥満などの生活習慣病をお持ちの方は、閉塞性動脈硬化症の可能性もありますので、かかりつけの内科医や循環器科医に相談してみるとよいでしょう。

閉塞性動脈硬化症では、血行が悪くなるという特徴がありますので、間欠性跛行以外に手足が冷たい、白っぽくなるなどの傾向があるならば、必ずそれを医師に伝えましょう。

潰瘍や傷が治りにくいなどの症状も血行がよくないサインです。
当てはまる場合は、必ず医師に伝えましょう。

それらがない場合には、整形外科を受診するのが適切です。
問診はもちろん、なるべくCTやMRIなどの詳しい検査をしてもらうと正確な診断を受けることができます。
あまり怖がらずに、しっかりと診断を受け、適切な治療を受けることが症状を早く改善するためには効果的です。

注1)e-ヘルスネット健康用語辞典|厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-080.html
注2)宮田 哲郎(2015)『末梢閉塞性動脈疾患の治療ガイドライン(2015 年改訂版)』日本循環器学会
注3、注4)川上俊文(2011)『図解 腰痛学級 第5版』医学書院

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腰痛メディア編集部
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