MENU
メニュー

日本人の多くは腰痛に悩まされていますが、その腰痛は椎間関節という部分が原因となっている可能性が高いです。そうした腰痛は「腰椎椎間関節症」もしくは「椎間関節性腰痛」と呼ばれますが、腰を反ったり、ひねったりしたときに鋭く痛みます。

今回はそんな腰椎椎間関節症について、診断方法や治療法などを解説します。椎間関節性腰痛を改善するためのストレッチや自分に合った運動療法を実践する方法も紹介するので参考にしてください。

腰椎椎間関節症の特徴を解説

腰椎椎間関節症は、文字通り、腰椎の椎間関節が原因となって起こる腰痛です。重いものを持ち上げたり、スポーツで体を捻ったりしたときに鋭く痛む急性の症状もあれば、慢性化して腰を反ったときに痛みを生じるようになることもあります。

腰椎の間には椎間板と椎間関節がある

脊椎は7個の頚椎、12個の胸椎、5個の腰椎が連結してできていますが、その連結部分には前方に椎間板、後方に左右の椎間関節があります。これらは椎骨のクッションとしての役割を果たしており、椎間関節の近くにある関節包という部分からは滑液という粘液が出て、骨が滑らかに動くように働いています。

人体の動きは関節で起こるため、腰の動きは主に腰椎の椎間関節が由来です。そのため、動作時に起こる腰痛と椎間関節は密接に関係しています。実際、大人が発症する腰痛は、椎間関節に起因していることが多いです。もちろん椎間板の不具合によって起こる腰痛もありますが、その場合でも椎間関節が何らかの仕方で痛みに加担していることがあります。

加齢によって椎間関節が変形することでも起こる

腰椎椎間関節症は、加齢による腰椎の変形によって起こることもあります。腰椎同士のクッション剤となっている椎間板は、加齢とともにボリュームがなくなっていき、そうなると椎間板と一緒に腰椎を支えている椎間関節にかかる負担が大きくなってしまします。椎間関節がぶつかりやすくなるので、何かの拍子で椎間関節症になる可能性が高いです。

椎間関節や椎間板、その他腰椎に関連する部位が変形すると、脊髄(神経)の通り道である脊柱管が狭くなってしまい、「腰部脊柱管狭窄症」を発症することもあります。脊柱管狭窄症は高齢者に多い病気で、症状によっては手術や理学療法を使わないと改善しません。

急性の椎間関節性腰痛は「ぎっくり腰」

急性椎間関節性腰痛は、腰を大きく反らせるなどの動作をしたときに、背中側にある椎間関節がぶつかったり、知覚神経が走っている椎間関節周囲の関節包を挟んだりして、鋭い痛みが生じます。この状態が「ぎっくり腰」と診断されることも多いです。

また立てないほど強い腰の痛みだけでなく、お尻や太ももの側面の痛みを伴うこともあります。なお、痛みが強烈であることは椎間関節性腰痛の特徴です。椎間関節ではなく、椎間板由来の「椎間板症」という腰痛もありますが、こちらは鈍くて重い痛みを感じます。椎間板症が「ぎっくり腰」の原因となる場合もあるものの、その場合は椎間関節も痛みに絡んでいることがあります。

慢性の椎間関節性腰痛の症状は腰や臀部、太ももの痛み

慢性の椎間関節性腰痛では、腰痛に加えて、臀部や太ももの関連痛が生じることがあります。症状がひどくなると、足にしびれを伴うこともあり、こうなると「腰椎椎間板ヘルニア」とあまり見分けがつきません。

腰椎椎間板ヘルニアと椎間関節性腰痛の違いとしては椎間板ヘルニアの方は前屈で主に痛むのに対し、椎間関節症の方が後屈や回旋で痛みが出るということが挙げられます。しかし、慢性の椎間関節症では、前屈で痛みが出る椎間板症を合併していることもあるため、やはり見分けは困難です。

いずれにせよ、足にしびれが出た時点で、生活動作に何らかの支障をきたす可能性が高く、場合によっては手術や理学療法が必要なこともあるので、一度専門家に見てもらうことをおすすめします。なお、腰椎椎間板ヘルニアは原因がはっきりしている「特異的腰痛」であり、MRIなどの検査をすれば、きちんとした診断をもらえます。

診断と治療にはブロック注射が有効

椎間関節症に対しては、MRIやCTなどの検査が行われることもありますが、画像と実際の症状が一致しないこともよくあります。例えば、画像では椎間関節はそこまで変形していないように見えるのに、実際にはかなり強い痛みが生じているというような具合です。

そのため、画像では良い診断ができないこともあります。一方で触診なら医師は椎間関節症であるかがよくわかるようで、背中の椎間関節に当たる部分(背骨の少し外側)を押して痛みを生じるようなら、椎間関節症である可能性が高いと言われています。

治療法ですが、急性椎間関節性腰痛の場合は、「椎間関節ブロック」が有効です。ちなみに椎間関節ブロックをして効果が見られれば、椎間関節症であると判断できるのです。

慢性の場合は、鎮痛剤の服用やリハビリテーションが基本となりますが、症状がひどい場合は「高周波熱凝固法」という治療も効果的です。この方法では椎間関節の周囲で痛みを感じる元凶となっている知覚神経を、熱によって鈍らせます。

また痛みに関わる交感神経を遮断する「腰部交感神経ブロック」という方法もあります。これは血管を収縮させる働きのある交感神経を抑制し、血流を改善することによって、椎間関節周りの筋肉の緊張を解くという方法です。血行不良が腰痛の直接的な原因となっていることも多いので、この方法は有意義だと言えます。

椎間関節性腰痛になりやすい人

椎間関節性腰痛は、椎間関節症とも呼ばれて年齢に関係なく起こります。

身体を反らす動作や左右にひねる動作の多い人がなりやすく、若い人ではスポーツをする人、中でもバスケットボール・サッカー・野球・ゴルフ・弓道・投てきやマリンスポーツなどのスポーツをする人は一般人と比べて約6倍以上かかりやすいといわれています。

比較的軽度の運動量でも、同じ姿勢を長時間取らなくてはならないような仕事や動きをする人もなりやすいといえます。

反り腰の人も要注意です。反り腰とは床に仰向けに寝て、腰と床の間に握りこぶしが入るくらいの隙間が出来る人です。膝を立てても腰の隙間が出来る人もいますね。そういう人は椎間関節に負荷がかかっている状態が持続しやすいので椎間関節を痛めやすいといえます。

椎間関節性腰痛の予防方法

椎間関節性腰痛の予防は、脊椎関節への負荷を減らすために、脊椎を伸展する動作の繰り返しをやめることや回旋動作を減らすことです。

また、身体を横から見たときに、正しい姿勢であれば背骨はS字カーブを描いています。このS字カーブを生理的湾曲といいますが、高齢になるにつれて生理的湾曲を保つことが難しくなっていくので、姿勢を保つ筋肉を鍛えて普段からの姿勢に気をつけましょう。

仕事上で同じ姿勢を取る場合には、休憩を入れて関節の硬直を防ぐことをお薦めします。
1時間に1回くらいは、席を立ったり、姿勢をほどいてストレッチをしましょう。

ぎっくり腰は気を抜いている時など、体幹のフィードフォワード機能がうまく作動しない時に起こるのではないかとも考えられています。急に動くのではなく、動くのだと意識してから立ち上がったり、身体をひねったりしましょう。また、脊柱の安定化には腹横筋や多裂筋というインナーマッスルを鍛えておくことも大切なことです。

効果的なトレーニングで筋力をつけていきましょう。

腰椎椎間関節症を改善するためのストレッチを紹介

椎間関節が原因の腰痛の特徴は、腰を反らせたり、ひねったりすると痛む一方で、前屈みになると症状が和らぐということです。腰椎椎間関節症になったら、この特徴を活かして腰痛を改善・予防する工夫をしましょう。

腰を曲げる動作が痛みを和らげてくれる

後屈で痛み、前屈でましになるという椎間関節性腰痛の性質を踏まえると、第一に考えられる対処法は、少し前屈みになって生活するということです。「姿勢を良くしないといけない」「腰が曲がるのはかっこわるい」というような考えから、背筋をピッと伸ばして生活されている方も多いでしょうが、腰椎椎間関節症の場合は少々腰が曲がり気味の方が、痛みが和らぎます。そのため、意識してやや腰を曲げ気味で生活してみましょう。

またストレッチも腰痛の予防・改善におすすめの方法ですが、上記と同様の理由から、椎間関節症の方は腰を曲げたり、丸めたりするストレッチを取り入れるのが有意義です。椅子に座って、足首を持つように前屈したり、仰向けで両膝を抱えたりすると、椎間関節由来の腰痛はましになります。

「腰痛ドクターアプリ」の運動療法も効果的

慢性的な椎間関節性腰痛にお悩みの方は、「腰痛ドクターアプリ」というサービスを使ってみてください。このサービスでは、オンライン上で専門的な腰痛の病態評価を受けられます。本当に椎間関節性腰痛であるのか、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症ではないのかというようなことが調べられるため、腰痛を根本から解消したい方にはおすすめです。

さらに「腰痛ドクターアプリ」では、それぞれの腰痛を改善するのに適した運動療法の動画も提供されるので、椎間関節性腰痛を改善するためのより良いストレッチや運動方法を知ることもできます。

ストレッチと運動で椎間関節性腰痛を改善しよう!

慢性的な椎間関節性腰痛には、前屈すると痛みが和らぐという特徴があるので、腰を曲げたり、背中を丸めたりする動作・ストレッチが有効です。これは気軽に実践できる方法であるため、ぜひ今日からお試しください。また根本的に腰痛を解消したい方には、専門的な病態評価が受けられ、さらには自分に合った運動療法も教えてもらえる「腰痛ドクターアプリ」がおすすめです。

参考URL
アレックス脊椎クリニック(2021), 「椎間関節性腰痛
整形外科 おおたきクリニック, 「腰椎椎間関節を原因とする腰痛
つかはらペインクリニック, 『腰痛・肩こり・背中の痛みの原因、「椎間関節症」に関するQ&A
大野ペインクリニック, 「腰椎椎間関節症
旭川ペインクリニック病院, 「腰・下肢の痛みについて
真田整形外科リハビリ科, 「腰椎椎間関節症

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

痛みや体の不調で悩むあなたへ、役立つ情報をお届け。

自分の体の状況(病態)を正しく理解し、セルフマネジメントできるようになることが私たちの目的です。

記事のご意見・ご感想お待ちしております。

この著者の他の記事を見る
wholebodyeducator