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歩いていると足にしびれが出て歩きにくくなったり、何だか足に力が入らない気がして階段を降りるのが不安になったりしていませんか?少し休んだり、膝に手をついて腰を曲げていたりすると楽になってまた歩けるようになりますが、この状態を「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」といいます。

歩いては休み、また歩きだしてもまた休むようになるのが特徴です。
腰痛のように動けないわけではありませんが、こういう症状があると、旅行やショッピングも楽しめなくなりますよね。
そこで、この記事では「間欠性跛行」が起こる原因と、治療法について解説していきます。

間欠性跛行を起こす原因とは?

間欠性跛行を起こす原因には、血管性と神経性の2種類の疾患があげられます。
血管性の疾患は閉塞(閉塞)性動脈硬化症(末梢動脈疾患)という疾患によるものです。
神経性の疾患としては、加齢などにより背骨が変形し背骨が神経を圧迫されて痛みが生じる腰椎脊柱管狭窄症が挙げられます。

閉塞性動脈硬化症

まず血管性の疾患である閉塞性動脈硬化症について解説していきます。
閉塞性動脈硬化症は主に手足、下肢の血管が動脈硬化によって詰まったり細くなったりして起こる血流障害で、手先や足先に血液がいかなくなって起こる病気です。普通、歩く時には脚の筋肉は安静時の10~20倍の血液を必要とするのですが、動脈硬化などで血流が悪くなると筋肉に血液と酸素が行き渡らず、筋肉が酸素不足になってしまい痛みが起きます。
初期の症状としては痺れたりするだけですが、症状が進んでくると少し歩いただけでふくらはぎが痛くなります。この場合の間欠性跛行は、ふくらはぎやお尻、太ももが締め付けられるように痛くなります。10分ほど休むと痛みがなくなったり、軽くなったりしてまた歩けるようになります。「一定の距離以上歩いた時になりやすい、毎回同じように症状が現れる」のが特徴的です。
この疾患は血管内の病変が元となりますので腰痛とは直接関係がありませんが、同じ間欠性跛行の原因となる腰椎脊柱管狭窄症との鑑別をする必要があります。糖尿病や脂質異常症、高血圧症、慢性腎不全などの生活習慣病や喫煙などが発症に関わっているので、この症状が現れると早期に治療が必要です。

腰椎脊柱管狭窄症

次に神経性の原因疾患である腰椎脊柱管狭窄症について説明します。
この疾患は高齢者に多いため、高齢化が進んだ現代では、増加傾向にあります。
加齢による変化で、椎間板、椎間関節、じん帯が変性することによって背骨の中の脊柱管と言われる部位が狭くなります。その状態で立ったり腰を反らしたりすると神経の後ろにある黄色靭帯という靭帯がたわんで、より神経を圧迫します。歩行や立位によって圧迫が強くなり馬尾神経の血流障害を起こすことが原因と言われています。つまり神経の通る空間が狭くなることによって、痛みやしびれなどの神経症状が表れるのが腰椎脊柱管狭窄症なのです。

腰椎脊柱管狭窄症の症状は、足のしびれや痛みです。また上体や腰を反らした時に生じる腰痛があります。
初期には腰のだるさや、時折ピリッとくる腰痛を感じる程度ですが、だんだんと足の痛みやしびれがひどくなります。神経の圧迫が強くなることでお尻、太もも、ふくらはぎやすね、足の裏にまで痛みが広がりジンジンとした痺れが続くようになります。
歩いていると足のしびれが強くなってきて、歩けなくなるのです。間欠性跛行をそのままにしておくと、足先に力が入りにくくなったり(脱力)、足を反らすことが出来なくなったり(下垂足)、お尻の周りがしびれたりするようになってきます。また足の裏にじりじりとした痛みを感じることもあります。足のしびれが強くなると足元が不安になるので、階段を降りる時に怖さを感じることもあるでしょう。

脊柱管の狭窄がひどくなってくると、排尿や排便のトラブルが生じる場合もあります。

間欠性跛行の治療にはどういうものがあるの?

血管性疾患の場合

血管性の疾患である閉塞性動脈硬化症が疑われる場合には、必ず専門医を受診して下さい。
血液をサラサラにする薬や生活習慣病の薬物療法や運動療法などで経過を見ますが、悪化してくると血管内治療や血流をよくするための血管の手術やバイパス手術を行う場合があります。

神経性疾患の場合

神経性疾患の腰椎脊柱管狭窄症は、脊柱管の狭窄がどの神経を圧迫するかによって「神経根型」「馬尾型」「混合型」の3つのタイプに分かれます。

「神経根型」は比較的症状が軽く、投薬治療で改善することがあります。神経根とは、脊髄の末端にある馬尾と呼ばれる神経から左右へと別れていく神経の根元のことをいいます。神神経性疾患の場合、神経根の片側に痛みやしびれが起こります。治療は保存療法を行う場合がほとんどで、神経への血流を改善したり炎症を抑えたりする内服薬が良く使われます。

「馬尾型」は、多数の神経が集まって馬の尾のように見えることから「馬尾神経」と呼ばれる神経が圧迫を受けて痛みやしびれが起こります。馬尾神経は大きな神経なのでそれだけ広範囲に症状が及び、両足に症状が出ます。間欠性跛行やさまざまな神経症状が表れ、特徴的なのは足の裏にしびれや異物感足の裏の皮膚が厚くなったような感覚があることです。このような症状は馬尾神経を圧迫して起こるために「馬尾症候群」と呼ばれます。また、お尻の回りに違和感があり排尿排便のトラブルが起こるのも馬尾型の特徴です。このような症状は日常生活にも影響を及ぼしてしまうため、馬尾型の症状がある場合には早急に医師の診察を受け改善に努めましょう。
馬尾型の治療でも、神経への血流を改善する薬を投与される場合がほとんどです。また神経障害性の痛みを緩和する薬を投与されることも多いようです。ですがめまいやふらつきなどの副作用もあるため、医師の指示をしっかり守って服用する必要があります。
馬尾型の場合、神経の圧迫が長期間になるとそれだけ回復しにくいため、約3割程度が手術を選択されています。

「混合型」は神経の圧迫が神経根と馬尾神経の両方に起こるタイプです。症状はほぼ馬尾型と同じです。両足の痛みとしびれ、間欠性跛行、お尻のほてりと排便排尿などのトラブルがあります。また足裏の異常感覚などの知覚異常が起こるケースも多いようです。
この場合でもまずは保存的に投薬治療が行われます。薬で思うような効果が得られなければ、やはり手術を検討することになります。
混合型の場合、馬尾型よりも重症化していることが多いため、手術を選択されるケースが多いようです。
どの治療を選択するにしても、医師とのコミュニケーションをしっかりとることが大切です。検査や診断においても自分の症状をきちんと把握し、どのような症状があるのかをはっきりと伝えましょう。積極的なコミュニケーションと正しい診断がより良い治療へつながります。

まとめ

間欠性跛行は決して見逃せない障害の1つです。長く歩けない、休み休み歩くしかない、足のしびれや痛みが治らないなどの症状で、旅行やショッピングを楽しめなくなることもあります。
治療にあたっては、腰痛の状態とともに間欠性跛行の状態をきちんと把握し、生活習慣病がある場合は特に自分の症状を医師へ正しく伝えることが重要です。
また、腰痛の原因でもある腰椎脊柱管狭窄症の場合には、3つのタイプを正確に診断してもらうことで治療方針が決まります。
より楽しい人生を送るためにも、正しい診断のもとで自分に合った治療を選びましょう。

参考文献
循環器病情報サービス
〔89〕足の血管病 閉塞性動脈硬化症
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/blood/pamph89.html#s1

厚生労働省e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-080.html

大丈夫!何とかなります脊柱管狭窄症 主婦の友社 大堀康夫監修

著者情報

腰痛メディア編集部
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