はじめに

「腰痛には腰まわりのマッサージやストレッチが最も重要である」と思われている方は多いのではないでしょうか。

確かに腰痛に対して腰まわりの筋肉は非常に重要ですが、それと同じくらい重要な筋肉が他の部位にも存在します。

今回は腰痛に関わるさまざまな筋肉について詳しく解説します。

腰痛のほとんどは原因不明である

腰痛というのは原因が明らかである特異的腰痛と原因がはっきりしていない非特異的腰痛の2種類に分けることができます。

意外と思うかもしれないですが、特異的腰痛と非特異的腰痛の割合に関しては特異的腰痛の方が少なく20%程度となっています。

つまり残り80%の腰痛に関しては、レントゲンなどで理由が特定できず原因がはっきりしていません。

多くの腰痛は筋肉が原因である可能性が高い

上記で解説したように、ほとんどの腰痛はレントゲン上では問題はありません。

ここでは注意しなければいけない点は、筋肉自体はレントゲン上には投影されないことです。実際に腰痛を感じる場合の多くは筋肉に痛みを感じています。

つまり非特異的腰痛の原因で筋肉が原因である可能性は数多く存在するのです。
腰は身体の中心に位置しており、身体全体を支える役割があります。
さまざまな動きに対して重要な部分となっているため、その分負担にかかりやすくなり腰痛を生じてしまいます。

「腰痛=腰の筋肉」と思われている人が多くいると思います。
確かに腰痛の場合は腰の筋肉を柔らかくすることが重要です。しかし、腰痛は腰の筋肉だけではなく下記のようにさまざまな筋肉が関わってきます。

・お尻の筋肉
・股関節の筋肉
・お腹・腰の筋肉

今回はこれらの筋肉について詳しく解説します。

<お尻の筋肉>
まずは腰痛に関わるお尻の筋肉について解説します。

お尻の筋肉が衰えると、お尻以外の部分の不調を引き起こす場合があり、その代表的な症状として腰痛が起こります。

腰のマッサージやストレッチで腰痛が良くならない場合は、お尻の筋肉が原因となっている場合があるのです。

代表的なお尻の筋肉は下記の3つです。

―大殿筋
大殿筋は骨盤の後ろ側についていて、お尻の丸みを形作っている筋肉です。
「下半身のアウターマッスル」といわれています。

大殿筋の起始・停止は下記のとおりです。
なお、筋肉はこの起始・停止の両端を収縮します。この際、動きが小さい方が起始、収縮するときに動きが大きい方が停止(付着) といわれています。

・起始:骨盤の背中側
停止:大腿骨後面(殿筋粗面)、腸脛靭帯

大殿筋は骨盤の背中側全体から大腿骨と呼ばれる太ももの骨の後ろ側と腸脛靭帯と呼ばれる靭帯に停止します。

―中殿筋
中殿筋は歩いたりする際の軸足側を安定させる役割があります。この中殿筋が弱いと歩いたり動作を行ったりする際に左右へのグラグラが強くなってしまいその結果、腰に負担がかかり腰痛を生じてしまいます。

中殿筋の起始・停止は下記のとおりです。

・起始:骨盤の外側面
・停止:大腿骨の外側(大転子)

―梨状筋
梨状筋はお尻の奥に付いている筋肉で、股関節を安定させたり、外にねじったりする働きがあります。この梨状筋は「下半身のインナーマッスル」の役割があり、股関節を安定させるために非常に重要な筋肉です。

梨状筋の起始・停止は下記のとおりです。

・起始:仙骨の内側
・停止:大腿骨の外側(大転子)

仙骨は背骨の下に位置する大きな三角形の骨です。仙骨は上半身を支えるとともに、上半身と下半身をつなぐ役割をしており、腰痛に非常に関与が強い筋肉です。

<股関節の筋肉>
次は腰痛との関わりが強い股関節の筋肉について解説します。股関節の筋肉の多くは骨盤などに付着する筋肉も多く存在します。

そのため、股関節の筋肉が硬くなってしまうと腰痛を生じてしまうケースも多くみられます。ここでは腰痛に関与する股関節の筋肉を2つ解説します。

・腸腰筋
・ハムストリングス

―腸腰筋
腸腰筋は大腰筋・腸骨筋・小腰筋の合わせた筋肉の総称です。この腸腰筋は腰の骨・大腿骨・骨盤から大腿骨の内側に走る筋肉です。

筋肉の走りから分かるように身体の中心部に存在しており、身体を支えるためには必要な深部の筋肉です。

座っている時間が長い人はこの筋肉が硬くなりやすくなり、筋肉が弱い場合は腰の骨を支えることができなくなった結果、腰の負担が大きくなり腰痛を生じてしまいます。

腸腰筋の起始・停止は下記のとおりです。

・起始:腰の骨(腰椎)、骨盤の内側(腸骨窩)
・停止:大腿骨の内側(小転子)

腸腰筋が原因の腰痛は、反り腰の人や腰を反らすと腰痛を生じる場合に多くみられます。

―ハムストリングス
ハムストリングスは半膜様筋・半腱様筋・大腿二頭筋の筋肉の総称です。このハムストリングスは太ももの後ろを走行しており、骨盤と脛の裏を繋いでいる筋肉です。

ハムストリングスは骨盤から太ももの裏を走行するため硬くなると腰への影響も強くなってしまい、その結果腰痛を生じてしまいます。

ハムストリングスの起始・停止は下記のとおりです。

・起始:坐骨、大腿骨の後ろ
・停止:ふくらはぎの内側(脛骨)と外側(腓骨)の上

ハムストリングスは膝関節の筋肉として有名な筋肉ですが、それだけではなく股関節にも多く関与する筋肉です。

<お腹・腰の筋肉>
腰痛に関わる筋肉で次に解説するのはお腹・腰の筋肉です。
腰痛の症状に対して腰回りの筋肉が原因であることは多くみられます。

お腹・腰には数多くの筋肉が付いていますが、その中で今回は下記の筋肉について解説します。

・腹横筋
・多裂筋

―腹横筋
腹横筋はお腹の一番奥に存在する筋肉で腹部のインナーマッスルとよばれています。

腹横筋は身体をひねったりお腹を凹ませたりする役割があり、体幹を安定させる役割があります。 そのため逆に腹横筋の働きが弱いと、体幹が安定せず腰への負担も強くなるため、腰痛を生じさせる原因にもなります。

腹横筋の起始・停止は下記のとおりです。

・起始:肋骨・骨盤・背中側の筋膜
・停止:お腹の真ん中の白線

このように腹横筋はコルセットのように腹部から背部までを覆うように付着しており、体幹の安定性には非常に重要な筋肉です。

―多裂筋
多裂筋は背骨についている小さな筋肉ですが、腰回りの部分だけ大きく太い形状をしています。この多裂筋もインナーマッスルとして重要な役割があるのです。

背骨は1つ1つの骨が積み重なっています。
多裂筋を中心とした筋肉や靭帯で安定性を補強しているため、多裂筋は腰の安定性には欠かせない筋肉です。

多裂筋の起始・停止は下記のとおりです。

・起始:仙骨(上後腸骨棘)、腰骨の横側(腰椎の乳頭突起)
・停止:起始より上の腰骨(椎骨棘突起)

腰の筋肉でこの多裂筋が硬くなってしまっている場合が多く、多裂筋が柔らかくなるだけで腰痛が大きく軽減する場合も多く存在します。

さいごに

今回は腰痛に関わるさまざまな筋肉について解説しました。腰痛の症状から考えると腰まわりの筋肉が関与するのはもちろんですが、それ以外にも今回解説したようにお尻の筋肉や股関節の筋肉が腰痛に関与する場合も多くみられます。

腰痛だから腰のマッサージやストレッチを行うだけでなく、周りの部分に対してもアプローチすることにより腰痛を軽減できる可能性があります。

https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0021/G0000533/0001 : 『腰痛診療ガイドライン2012』
https://diamond.jp/articles/-/206861 : DIAMOND online
https://kotsuban-labo.jp/care-top/mansei/ : 骨盤LABO
https://anatomy-yoga.com/psoasmajor-muscle-group/ : 世界一ゆる~く学ぶ解剖学教室

著者情報

腰痛メディア編集部
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