脊髄腫瘍と聞くと、耳慣れない言葉に恐怖を感じる方がいるかもしれません。実は、腰痛の種類や程度によっては、脊髄腫瘍が疑われ、受診をしていただいたほうがいい場合があります。脊髄腫瘍の症状や受診について、治療法までを詳しく解説していきます。

こんな症状ありませんか?

起き上がれないほど激しい痛み、痛みが長引き快方に向かわない、腰痛以外に足の痛み・しびれ感・脱力感、又は手や肩の痛み・しびれ感・脱力感が出る場合などには特別な病気の可能性があるので注意が必要です。通常の経過をみてよい腰痛の場合、一般的に経過は良好で、1~2週間で痛みは和らぐのが普通です。そのため冒頭のような気になる症状がある方は専門医の受診をおすすめします。

脊髄腫瘍とは?

受診が必要な腰痛の原因の一つに脊髄腫瘍があります。背骨は、首からお尻まで、いくつもの骨(椎体)がつながって成り立っており体を支える重要な機能があります。椎体の中には脊髄と呼ばれる部分があり、脳からの指令や、末梢からの刺激はここを通って伝達されます。脊髄は血液を作るところとしても重要な役割を果たしています。
脊髄腫瘍は、脊髄に腫瘍ができる病気です。発生する頻度は10万人あたり1~2人で、脳腫瘍の1/5~1/10程度と比較的珍しい病気です。主症状は腫瘍の種類に関わらず通常は脊髄圧迫症状です。多くは四肢の神経痛や筋力低下、しびれがみられます。発生部位により頸部、背部、腰部といった症状が微妙に異なります。頚部の脊髄腫瘍では、肩や手の痛み、ぎこちなさ、しびれが出ることが多いです。 背部の脊髄腫瘍では、背中の痛み、両足の筋力低下、しびれが出ることが多いです。 腰部の脊髄腫瘍では、足の痛み、筋力低下、しびれが出ることが多いです。中には、急激に発病して手足が急に動かなる、尿や便の失禁,呼吸障害など重篤な症状を示すこともあります。
脊髄腫瘍は腫瘍と脊髄および硬膜(脊髄を包んでいる膜)との位置関係から、硬膜外腫瘍、硬膜内髄外腫瘍、髄内腫瘍に分類されます。腫瘍には、転移性、原発性、良性、治療に難渋するものなど様々な性格がありますが、硬膜外腫瘍の多くは転移性で、硬膜内腫瘍は殆どが良性腫瘍です。硬膜内髄内腫瘍は稀ですが、治療に難渋するものが少なくありません。又、原発性脊椎腫瘍は若い方からお年寄りの方までの幅広い年齢層にみられますが、頻度は高くありません。

出典:脳神経外科疾患情報ページ
URL:https://square.umin.ac.jp/neuroinf/medical/405.html

脊髄腫瘍の原因とは?

脊髄腫瘍の原因は不明ですが、多くは子孫に遺伝する病気ではない、ということはわかっています。

受診から治療までの流れは?

気になる症状で受診してから、診断、治療に至るまでどのような経過なのでしょうか?診断に必要な検査や適切な診療科なども解説します。

整形外科や脳神経外科で診察と画像診断を受ける
脊髄腫瘍はレントゲンでは発見できませんので、レントゲンが正常でMRIで脊髄腫瘍が認められれば診断は確定します。腫瘍の種類や広がりを確かめるために、脊髄造影検査、各種核医学検査、PETなども追加されます。そのため、気になる症状がある場合は、検査設備の整った整形外科か脳神経外科への受診が適しています。かかりつけ医に紹介状を書いてもらってから受診するのもよいでしょう。

受診の際に必要な情報とは?
自覚症状を医師に明確に伝えましょう。治療が必要になった場合、治療の効果をみる上でとても重要な情報になります。自分の手元にもメモとして残しておきましょう。以下を参考に整理してみてください。
・発症の仕方(いつから、きっかけはあるか、他の病気はないか)
・痛みの部位(どこが痛いか、どんな格好で痛いか)、シビレがあるか、力は入るか、動かしづらさはあるか、皮膚感覚の鈍さはあるか
・普段の生活や仕事内容にどんな影響がでているか

脊髄腫瘍の治療方法とは?

脊髄腫瘍と聞くと、とても難しい病気に聞こえ、治療できるか不安になりますよね。いくつかある脊髄腫瘍の治療方法をご紹介していきます。

手術
手術的に腫瘍を摘出するのが一番良い方法であると考えられる場合には手術治療を行います。日本では年間1,000件程度の手術が行われています。脊髄腫瘍の手術は、骨の深部まで小さい神経を取り扱うため、整形外科ではほとんど行われておらず、脳神経外科で行われます。
手術は全身麻酔を用いて行われます。手術前の神経の圧迫の程度や、腫瘍の種類によっても回復に個人差はありますが、8-9割の患者さんは手術後2週間くらいで体調が回復します。があります。術後にリハビリが必要な方もいます。
手術の補助的治療として、腫瘍につながる栄養血管を閉塞させ、腫瘍が大きくなるのを防ぐ処置を行うことがあります.しかし、この方法により腫瘍を永久に縮小・消失させることは難しいです。
手術で摘出された腫瘍の組織を詳しく調べる病理診断により、腫瘍の確定診断,良性か悪性かの判断が得られ,今後の治療の指針が立てられます。特に良性の腫瘍では全ての腫瘍を摘出することにより治癒が期待されます。腫瘍を完全に摘出することができなくても、周辺組織への圧迫を軽減することにより症状の軽快が期待できます。しかしながら、腫瘍の広がりや浸潤が進んでいる状態だと、脊髄への障害が不可逆的になっている場合もあります。
腫瘍がより深部にある髄内腫瘍の場合は、神経に浸潤し腫瘍が取り切ることが困難です。脊髄の負担が大きくなり術後にからだの麻痺を残してしまう可能性があるためです。薬物治療や放射線治療など、追加の治療が必要になることがあります。

放射線療法
脊髄腫瘍に対しては放射線治療が有効な場合もあります.しかし、脊髄腫瘍の特性上、腫瘍以外の組織にも放射線が照射されやすく,後に放射線壊死や別の悪性腫瘍の発生した例が報告されています.このため、放射線治療は手術的に摘出困難な部位や悪性だった場合に対してのみ補助的に行われることがあります.

化学療法
手術で取り切れなかった腫瘍に対して抗がん剤を用いた化学療法が行われることがあります。腫瘍の悪性度が高い場合や、残存腫瘍が多い場合に行われます。手術した医師の判断、病理診断、術後の画像診断の経過もあわせて決められます。

受診せずに放っておくとどうなる?

腫瘍細胞は、正常細胞よりも増加スピードが速いものが多いので、放置すると腫瘍が増大し症状も悪化していきます。脊髄圧迫症状により両足の筋力低下がおこると転びやすくなったり、手の力が入りにくくなったりします。転んだり物を落としたりして怪我をする機会が増えることが考えられます。放置せずに、おかしいと感じる場合はすぐに受診しましょう。

脊髄腫瘍の腰痛は、腫瘍による圧迫や骨破壊でおこる。日毎に悪化する腰痛は専門医を受診しましょう。

改善がみられない腰痛に加えて、痺れや感覚の鈍さ、四肢の脱力感などを感じる場合は、脊髄腫瘍のような病気が潜んでいる可能性があります。自分は大丈夫、と放置することは、病気の悪化を助長してしまいます。たかが腰痛、とは思わずに、そのほかの症状や痛みが続く期間・範囲なども気にかけ、受信行動を起こしましょう。受診の際は、MRI検査ができるような整形外科や脳神経外科を選びましょう。かかりつけ医に相談した場合はそのような病院に紹介してくれる筈です。おかしいなと思う腰痛が続く場合はすぐに受診しましょう。

著者情報

腰痛メディア編集部
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