MENU
メニュー

手足のしびれは、主に脊髄の病気や坐骨神経痛などにより発生するといわれています。
手足のしびれは脊髄や末梢神経が傷つくことにより起こる現象です。

手がしびれるといった場合には、脳血管疾患や糖尿病性の神経障害など内科的疾患によるもの、足だけがしびれる場合には、閉塞性動脈硬化症などが挙げられます。

しかし、腰痛と手足のしびれが一緒に出現する病気としては脊髄・脊椎が原因による疾患が考えられます。実際にどのような病気があるのかを紹介します。

腰痛と手足のしびれはなぜ起こるの?

「腰が痛いのに手足がしびれるの?」と疑問に思う方が多いのではないでしょうか?
確かにただ腰が痛いだけでは手足がしびれるといった症状が出ることはほとんどありません。しかし、腰痛が起こる原因として一番考えられるのが、脊髄や脊椎の病気です。

脊髄は脳から連続して繋がっており、中枢神経と呼ばれている部分です。この中枢神経が何らかの原因で圧迫されたり、傷ついたりすることにより神経障害つまり手足のしびれが出現します。脊髄のどの部分が障害されているかによって、それぞれ症状の部位が異なります。

整形外科などを受診した際に症状を伝えるだけでだいたいどの部分が障害されているのかが分かるのはこのためです。

腰痛と手足のしびれを引き起こす病気とは

腰部脊柱管狭窄症

加齢や労働・背骨の病気などにより腰部脊柱管狭窄症を発症しやすいといわれています。

脊柱管は背骨、椎間板、関節、黄色靭帯(おうしょくじんたい)などで囲まれた脊髄神経が通る空洞のことを指します。年齢を重ねるにつれ、背骨の変形や椎間板の膨張、黄色靭帯の肥厚などが原因で、神経の通る脊柱管が狭窄し、それにより神経が圧迫されてしまいます。神経の血流が低下することで脊柱管狭窄症を発症します。

脊柱管狭窄症になると長時間の歩行は難しくなります。これは脊柱管狭窄症の特徴的な症状で間欠性跛行(かんけつせいはこう)といいます。腰痛はそれほど強くはありませんが、間欠性跛行により長い時間の歩行は難しいです。基本的に安静にしていると症状はそこまで気になることはありません。

しかし、進行すると足の力が低下、肛門周囲の火照りや尿の出が悪くなったり、尿漏れすることもあります。

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアの原因は、姿勢の悪さ・同一姿勢での動作・喫煙などにより発症しやすいとされています。

椎間板は、繊維輪(せんいりん)と髄核(ずいかく)からでき、背骨を繋ぐクッションのような働きをしています。髄核の一部が突出し、神経を圧迫することにより症状が出現します。椎間板は年齢を重ねることにより変形・断裂を引き起こします。このため、椎間板ヘルニアが発症します。

症状には、急性型と慢性型の2つに分類されます。急性型は、重いものを急に持ち上げた時急に首を動かした時に起こりやすく、くしゃみで発症する場合もあります。痛みが激しく歩くことも出来ない場合もありますが、痛みは徐々に軽減します。

しかし、痛みが治まったからとそのままにしておくと、椎間板から髄核がさらに押し出され、さらに神経を圧迫します。神経が圧迫された状態が持続し、慢性型に移行していくのです。

急性型も慢性型も腰痛もほか、左右どちらかのふとももから膝、足の指先にかけて激しいしびれや痛みが起こります。腰椎椎間板ヘルニアの場合、背中を丸めた時や前かがみになった時などに神経が圧迫され、痛みやしびれが強まるのが特徴です。

後縦靭帯骨化症

後縦靭帯骨化症は難病に指定されている病気です。具体的には、椎体骨の後縁を上下に連結し、背骨を縦に走っている後縦靭帯が骨に変化します。

その結果、脊柱管が狭くなり、脊髄や脊髄から分岐する神経根が圧迫されることにより、感覚障害(手足のしびれ)や運動障害などを引き起こす病気です。頸椎から腰椎まで骨に変化してしまう部分によって症状や呼び方が少し異なります。

原因は特定されていませんが、複数の要因により発症すると考えられています。関係しているものとしては、遺伝子的素因・性ホルモンの異常・カルシウムやビタミンDの代謝異常・糖尿病・肥満傾向・老化現象・全身的な骨化傾向・骨化部位における局所的なストレス・骨化部位の椎間板脱出など様々な要因が挙げられています。

脊髄腫瘍

脊髄内に発症した腫瘍やクモ膜・硬膜・神経鞘(神経を保護する膜)、さらに脊柱管内の軟部組織や椎体に発症した腫瘍により、脊髄や神経根が圧迫される病気を脊髄腫瘍と呼びます。
脊髄腫瘍はいくつかの種類に分かれています。

硬膜外腫瘍

硬膜の外側にできて硬膜の外から脊髄を圧迫するもの。

硬膜外腫瘍の中で最も多いのが転移性腫瘍(悪性)といわれています。これは、体内の他の場所の腫瘍からの転移により起こるものです。脊髄を破壊しながら増大することで、脊髄を圧迫します。背中の強い痛みで原発より先に硬膜外腫瘍が発見されることも多々あります。

硬膜内髄外腫瘍

硬膜の内側で脊髄と硬膜の間に腫瘍ができ脊髄を圧迫するもの。

硬膜内髄外腫瘍で多いのは、神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)と髄膜腫(ずいまくしゅ)です。神経鞘腫は脊髄から出た神経根から発症することで脊髄を圧迫します。

また、髄膜腫は硬膜から発症し、腫瘍の増大とともに脊髄を圧迫します。どちらも良性の腫瘍であるためゆっくりと大きくなります。

髄内腫瘍

脊髄の中から発症するもの。

上衣腫(じょういしゅ)と星細胞腫(せいさいぼうしゅ)の2つが大きな割合を占めています。総称して神経膠腫(しんけいこうしゅ)と呼ばれます。神経膠腫は脊髄組織を形成する神経膠細胞から発生します。脊髄の内側より発症し、周囲の脊髄組織にも浸潤するため腫瘍と脊髄の境界線が不明瞭です。ほとんどが良性ですが中には悪性も場合もあり、悪性の場合は治療できず、予後不良です。

脊髄腫瘍は主に良性のものが多く、緩やかに症状が進行します。最初に手足の感覚異常やしびれなどが出現し、徐々にそれが強くなり局所的な痛みが出るようになります。腫瘍の増大とともに痛みから麻痺に変わり、さらに進行すると神経を圧迫し排泄機能にも異常をきたします。

悪性の場合は、急激な腰痛や背部痛で気づくことが多く、手足のしびれや痛みを伴います。

腰のしびれ

腰のしびれについても知っておきましょう。

腰痛は数日間、安静にすれば、回復する傾向にあります。しかし、「神経」や「ウイルスや癌」が原因の疾患では、安静にしているだけでは治らず、手術を選択することもあります。

症状を理解し、自分にあった治療法を選択することが大切です。

筋肉や靭帯を痛めた腰痛

属に言う「ぎっくり腰」です。腰に急激な負荷が掛かったときに筋肉や靭帯が損傷し、強い痛みを感じます。年齢を問わず発症し、重いものを持ち上げた時や腰に疲労がたまっていたことなどが原因です。

「ぎっくり腰」を発症した当初は、自力では動けないほどですが、時間の経過と共に回復し、数日も経てば回復します。

しかし、数日たっても痛みが回復しない場合は、「腰椎分離症」や「腰椎圧迫骨折」など、骨に異常がある可能性もあります。痛みが続くようであれば、専門医の診断を受けるようにしましょう。

神経が原因の腰痛

腰の神経が原因である代表的な疾患は「腰痛椎間板ヘルニア」「腰椎狭窄症」などが挙げられます。前述したように、「腰痛椎間板ヘルニア」や「腰痛狭窄症」は、「足のしびれ」を感じることもあります。

「腰痛椎間板ヘルニア」や「腰椎狭窄症」は、安静にしていても治らない場合があるので、はやめに専門医の診断を受けた方がいいでしょう。

癌やウイルスなどの病気

「化膿性脊椎炎」や「脊椎カリエス」など、腰の骨がウイルスに感染し、腰痛を発症することもあります。また腰の骨や神経に「癌」が発症し、腰痛の原因となる場合もあるのです。

ウイルス感染や癌の発症では、安静にしていても痛みを感じたり、熱が出たりするなど、腰痛以外の症状があります。

治療は薬物療法などを行い、経過を観察します。成果が出なかった場合は、病巣に侵された部分を取り除く手術が行われるでしょう。早期に治療をすることが大切で、早めに専門医の診断を受けることで完治が期待できます。

まとめ

腰痛と手足のしびれは意外にも怖い病気が隠れていることが多いです。だいたいの人は手足の違和感を感じてから病院やクリニックにいくことが多いと思いますが、腰痛もバカにはできない立派な病気です。気が付いた時には一度受診し検査をしてもらうことで早期発見に繋がるかもしれません。

<参考文献>
・病気がみえる 運動器・整形外科 メディックメディア
・脊椎脊髄ハンドブック 三輪書店
・整形外科疾患ビジュアルブック 学研メディカル秀潤社
・これならわかる!整形外科の看護ケア ナツメ社

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

痛みや体の不調で悩むあなたへ、役立つ情報をお届け。

自分の体の状況(病態)を正しく理解し、セルフマネジメントできるようになることが私たちの目的です。

記事のご意見・ご感想お待ちしております。

この著者の他の記事を見る
wholebodyeducator