椎間関節とは一般的には聞きなれない言葉ですが、腰痛の発生源としては椎間板と同じくらい重要な部位といわれています。特に動き始めの鋭い痛みを伴う腰痛に大きく関係しています。いわゆる「ズキッと痛くて動けなくなるぎっくり腰」です。
椎間関節性腰痛とはどういうものか、どういう人がなりやすいのか、どう対処したらいいのかについて解説していきます。

椎間関節とは何?

 初めて聞く方も多いかもしれません。
「椎間関節」は脊椎の後方の左右にある小さな関節です。椎骨は頸部から腰椎までの24の椎骨と仙骨の椎骨間全てに存在していて、上下に重なり合う椎骨の関節突起同士で構成されます。脊椎全体の協調の取れた大きな動きをする働きを担っていて背骨の滑らかな動きが出来るのはこの椎間関節があるからなのです。
 基本的には、全身にある(肩や膝など)の関節と同じ構造ですが、滑膜に覆われた関節包には痛覚伝達に関与する神経線維や侵害受容器が他の関節の10倍も含まれているため、痛みをとても感じやすい部位です。
そのため、全身の関節の中でも1番痛みに敏感なのです。

椎間関節性腰痛の起こり方

人が立っているとき、椎間関節には全体の15~20%の荷重がかかります。残りの80%は椎間板が担っています。脊椎の伸展(背中を伸ばす)や回旋動作(身体を左右にひねる)を伴う場合にはその割合が増加して椎間関節にかかる負担が増えます。
 また加齢に伴って、椎間板が劣化して扁平化が進行すると、椎間板空が狭くなり椎間板の緩衝能力が低下して椎間関節への負担が増加します。
椎間関節への負荷がいつもかかっている状態になると、絶えず関節内で骨がこすりあう状態になり、痛みが発生します。これが慢性腰痛です。
 椎間関節性腰痛は、腰椎の動きにより関節包やその内部の構造組織が挟み込まれて痛みが起きます。
急性腰痛の一つとされていて、しゃがみこんだ作業などの前かがみの姿勢から起き上がったときや床に落ちたものを取ろうとして腰をかがめて起き上がったとき、また椅子から立ち上がるときなど、背筋を伸ばしたときに腰にズキッと鋭い痛みが起こり動けなくなるような痛みが発生します。

また、加齢に伴う椎間板の劣化により椎間関節が「変形性関節症」を起こした場合にも身体を動かすときに痛みを起こしやすくなります。
 特に体を反らしたときに痛みが起こりやすく、痛みのある側の方向に体を反らしたときに起こります。(例えば、左後方に体を反らすと左の腰が痛みます)
また、背中を反らしたときに起きやすいので、椅子から立ち上がるとき、寝返りを打ったときにも痛みが起こすことがあります。

どんな人がなりやすいの?

 椎間関節性腰痛は、椎間関節症とも呼ばれて年齢に関係なく起こります。
身体を反らす動作や左右にひねる動作の多い人がなりやすく、若い人ではスポーツをする人、中でもバスケットボール・サッカー・野球・ゴルフ・弓道・投てきやマリンスポーツなどのスポーツをする人は一般人と比べて約6倍以上かかりやすいといわれています。
 比較的軽度の運動量でも、同じ姿勢を長時間取らなくてはならないような仕事や動きをする人もなりやすいといえます。
 反り腰の人は要注意です。
反り腰とは床に仰向けに寝て、腰と床の間に握りこぶしが入るくらいの隙間が出来る人です。膝を立てても腰の隙間が出来る人もいますね。
そういう人は椎間関節に負荷がかかっている状態が持続しやすいので椎間関節を痛めやすいといえます。

〈診断〉
椎間関節症の診断には、脊椎の過伸展で椎間関節の負担を増加させて疼痛を誘発するという方法があります。
身体を後に反らし、痛みがあれば、椎間関節症か脊柱管狭窄症となります。椎間関節性腰痛の場合、後に反った状態から左に身体をひねると右側に痛みが表れます。右に身体をひねると左側に痛みが表れます。
また、背骨から2センチ程度外側を指で押して痛む部位が傷めている椎間関節と診断出来ます。
腰痛時には、椎間関節ブロックの治療をして痛みが取れたら、椎間関節性腰痛であるという確定診断にもなります。

〈治療〉
椎間関節性腰痛は、急性腰痛(ぎっくり腰)を起こすことが多いのですが、ぎっくり腰で椎間関節がロックしている場合は、動きを制限しすぎずに硬直化を防ぐ必要があります。

椎間関節のロックとは
椎間関節は急激なひねりや強い圧力がかかり椎間関節が捻挫を起こした状態になると、痛みを回避するために椎間関節がロックされて動かなくなり身動きが取れない状態となります。

この場合痛みは2週間程度で収まりますが、その間動かないでいると椎間関節が硬くなり慢性化してしまうケースもあるので、過剰な安静はせずできるだけ早く生活復帰をすることが望ましいとされています。
ぎっくり腰では、2~3日安静にしたら、椎間関節ブロックといって、痛んだ椎間関節にブロック注射を打ちます。ブロック注射によって痛みが軽減したら、日常生活が出来るようになります。

若い人の場合、急激な腰の痛みを感じたら、極端なケースでは棘突起の部位で骨折が起き、そこから腰椎分離症に発展することもあるので、すぐに医師の診察を受けることをお薦めします。

〈予防〉
椎間関節症の予防は、脊椎関節への負荷を減らすために、脊椎を伸展する動作の繰り返しをやめることや回旋動作を減らすことです。

また、身体を横から見たときに、正しい姿勢であれば背骨はS字カーブを描いています。このS字カーブを生理的湾曲といいますが、高齢になるにつれて生理的湾曲を保つことが難しくなっていくので、姿勢を保つ筋肉を鍛えて普段からの姿勢に気をつけましょう。

仕事上で同じ姿勢を取る場合には、休憩を入れて関節の硬直を防ぐことをお薦めします。
1時間に1回くらいは、席を立ったり、姿勢をほどいてストレッチをしましょう。
 
ぎっくり腰は気を抜いている時など、体幹のフィードフォワード機能がうまく作動しない時に起こるのではないかとも考えられています。急に動くのではなく、動くのだと意識してから立ち上がったり、身体をひねったりしましょう。また、脊柱の安定化には腹横筋や多裂筋というインナーマッスルを鍛えておくことも大切なことです。
効果的なトレーニングで筋力をつけていきましょう。

人の体は、とてもデリケートに出来ていて、絶えず痛みがある部位に痛みが出ないように、筋肉が硬くなって関節が動きにくい状態にしたり、背中が前屈した状態にすることで痛みなく動けるように腰が曲がってきたりするのです。
 年を取って腰が曲がってくるのは、こういう反応から起きてくるのだといえます。

まとめ

 椎間関節性腰痛は、若い人でも起こることの多い急性腰痛の1つです。
特にこの腰痛になりやすい人は、スポーツをしている人、同じ姿勢を長時間保っている人、同じ動作を長時間繰り返す人、反り腰の人に多いということです。
 椎間関節性腰痛は、椎間関節にブロック注射を打つことで痛みの軽減と確定診断となります。慢性化しないように、正しく診断して予防トレーニングやストレッチを行いましょう。そのためには理学療法士などの専門家に指導されると的確なアドバイスを受けることが出来ます。
正しく診断して正しい治療を受ければ、きっと不快な腰痛から解放されるでしょう。

この記事がお役にたてれば幸いです。

〈参考文献〉
図解入門 よくわかる 
腰痛症の原因と治し方  著者中尾浩之 (株式会社秀和システム)2016 9月20日
プロが教える骨と関節のしくみ・はたらきパーフェクト事典 著者 岡田隆

著者情報

腰痛メディア編集部

こんにちは。 腰痛で悩む多くの方に役立つ情報を毎日お届け。それぞれが違った痛みの場所・違った痛みの度合い・違った原因をお持ちです。 一人一人が自分の腰の状況(病態)を理解し、セルフマネジメントできるようになることが私たちの目標です。記事のご意見・ご感想お待ちしております♬

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