育児を始めてからの腰痛に悩まされている方は「育児中は仕方ない」と、我慢し続けていませんか?新生児を抱える新米ママも、もう何年も腰痛に悩まされているベテランママも少しの工夫や心がけで腰痛が改善するかもしれません。この記事では子育てが原因で発生する腰痛と、その改善策について紹介していきたいと思います。

子育ての腰痛を原因別に解説

 まずは、どうして子育て中に腰痛が発生してしまうのか、そのメカニズムから紐解いていきましょう。
1) 出産時の骨盤の歪みや体重増加からの腰痛
出産時には女性ホルモンのバランスが大きく変わり、産道を赤ちゃんが通りやすくするために、生理的に骨盤が広がります。また10か月という比較的短期な妊娠期間に8~12㎏の体重増加があることで腰に大きく負担をかけてしまします。その二つの影響で脊椎の自然な湾曲に無理な力が加わり、ずれが生じることで腰痛が発生しやすくなります。育児が原因の腰痛は、実は妊娠期間中から始まっていたのですね。

2) 長時間の抱き上げで発生する腰痛
産後まもなく訪れるのが3時間おきの授乳と、ぐずりに対する抱っこです。一日中抱っこしないと落ち着かない赤ちゃんもいますので、抱っこ紐を装着したまま家事をしているなんて話もよく聞きます。しかも赤ちゃんは日に日に大きくなり、3カ月検診の時には平均して出生時体重の2倍の重量になっているのです。抱っこがいかに腰に負担をかけてしまうか想像がつきますね。歩ける年齢になっても、体調不良などで長時間するということは日常茶飯事です。

3) 重心の低い生活で腰に負担をかける腰痛
当たり前ですが、子供と言えば大人よりも身長がかなり低いです。そのため子供用のイスや本棚も低い作りになっています。育児書なんかでよく「子供の目線に合わせて接しましょう」と書いてありますが、重心の低い生活をすることは腰に負担をかけてしまします。もちろん子供の目線に合わせて関わることは育児には必須な要素です。視線の下げ方に工夫が必要ですね。

4) 体動の制限や姿勢の癖で発生する腰痛
育児中は授乳などで一定時間同じ姿勢にいなければならないことがあります。赤ちゃんを抱えたまま同じ姿勢でいることは、普段は体重がかからない場所にも負担をかけてしまっています。添い寝しているときも隣で寝ている赤ちゃんを踏んでしまわないかと無意識に寝返りを制限していたりもします。それもまた腰痛の原因になってしまいます。

腰に負担をかける育児グッズを紹介

まずできる対策は、日常的に使用している育児グッズを見直すことです。思いもよらないグッズが、腰痛の救世主になるかもしれません。

1) 抱っこ紐よりベビーカー
何かと便利な抱っこ紐ですが、使用しすぎると腰痛に直結します。抱っこ紐は構造上、両肩と腰の3点で子供の体重を支えています。そのため、ダイレクトに腰にも負担がかかってしまうが所以です。使用が全く禁止というわけではありませんが、腰痛のひどいときには腰に負担の少ないベビーカーを使用してみてはいかがでしょうか。また、どうしても両手を開けて抱っこしたいときには「腰痛対策」をうたっている抱っこ紐もありますのでリサーチしてみてください。

2) ベビーベッドを使用する
      自宅は「敷布団派だ」という方も一定数いることでしょう。もちろん転落事故の予防など敷布団にもメリットはあります。しかし腰痛のある方は床でおむつ交換や、あやしをすることで腰に負担がかかってしまう場合もあります。ベビーベッドを使用すると、無理のない姿勢でケアすることが可能です。ボディーメカニクスの原理だと、作業台の高さは「自身の腰の高さ」と同程度が最適だとされています。

3) 電動バウンサーを使用する
 抱っこが大好きな赤ちゃんをまるで抱っこしているかのうように、ユラユラ揺らしてくれるのが電動バウンサーです。抱っこする時間が減ることで腰への負担が減ります。腰痛の方におススメできる育児グッズです。

授乳中に内服していい薬とは

 授乳中の耐えられない腰痛に、薬を使用してもよいのか迷っている人は多いのではないでしょうか。特に授乳期間は内服薬を使用することに非常に敏感になる時期ですよね。この記事でも安全に使用できる薬について説明していきますが、実際に使用する際には必ず薬剤師のいる薬局か、病院で使用上の注意説明を受けるようにしましょう。

1) 漢方薬
漢方薬は生薬(自然に存在するもの)から作られた薬であるということは有名です。しかし、誤解しやすいのが「漢方薬なら安全」と思い込むことです。漢方薬でも妊娠中・授乳中には禁忌とされているものもありますし、飲み合わせが良くないものもあります。漢方薬を希望する方は、病院に受診したうえで、漢方を希望する旨を医師に伝えてください。
2) 西洋薬
鎮痛薬として有名な「ロキソプロフェン(ロキソニン)」「アセトアミノフェン(カロナール)」「イブプロフェン(ブルフェン)」などは授乳中の使用が可能です。市販のものでは主成分のほかにも添加物が混ぜてある場合もありますので、必ず薬剤師のいる薬局で相談しながら購入するようにしましょう。
3) 外用薬
外用薬(湿布など)は内服薬のように全身性のものではなく、局所的に使用するものなので母乳への影響は出にくく使用へのハードルが下がります。鎮痛効果が期待できますので内服には抵抗があるという方は、外用薬から使用してみてください。

薬を使わず症状を改善させるには

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 薬の安全性が確立されていたとしても、どうしても育児中に薬を使用するのは抵抗があるという方も一定数いると思います。薬を使わない場合の対処方法についてもまとめていきましょう。

1) ストレッチ
無理のない、ストレッチは血行を良くし、筋肉をほぐす効果があります。「腰痛体操」や「腰痛ストレッチ」など腰痛改善に特化したストレッチもありますので、ぜひトライしてみてください。ストレッチや運動の途中で疼痛が増強する場合にはすみやかに中止しましょう。

2) 腰痛ベルト・コルセット
出産で骨盤が歪んでいる方は骨盤ベルトを使用することが多いと思いますが、そのベルト自体が症状に合っていない可能性があります。産後からしばらくたった腰痛は骨盤ベルトでは対処できていない可能性もあります。腰痛ベルトやコルセットには、大小さまざまなサイズのものがあります。市販のもので済まさず、整形外科など受診して自身の症状に合った腰痛ベルト・コルセットを装着してみてください。

3) 抱っこや寝姿勢の癖を治す
抱っこをするとき、左右どちらかの腕に長時間赤ちゃんを抱き続けていることはありませんか?多くの場合で利き腕に抱っこしてしまう癖がある人がほとんどです。片方の腕に抱っこする癖がある人は体の片側にだけ長時間加重されることで脊椎や骨盤のゆがみ、筋疲労の差が生じ、ひいては腰痛につながります。ついつい片方の腕で抱っこしてしまう癖のある方は意識的に腕を変えながら抱っこするようにしましょう。
また、睡眠時に体動・寝返りが制限されてしまう、左右どちらかに偏った向きで寝ていることが多いという方は、広めの敷布団を用意したり、添い寝を中止したりすることも腰痛改善につながるので検討しましょう。

4) 入浴
 育児に追われる毎日では、シャワー浴で済ませてしまうことが多いのではないでしょうか。しっかり入浴することで血行が良くなり、腰痛の改善につながることもあります。お気に入りの入浴剤を入れると、リラックス効果も期待できますね。

まとめ

この記事を読んだ方が腰痛の改善に積極的になっていてくだされば、幸いです。腰痛という「痛みのストレス」から解放されれば、育児に対する心のゆとりも増え、良好な母子関係と、明るい家庭が待っていることでしょう。

著 加藤 光寶『運動器 成人看護学』[系統看護学講座 ]出版社 医学書院, 発行年 2014
著 坂井建雄 / 岡田隆夫『解剖整理学』[系統看護学講座 ]医学書院, 発行年2014
著 メディックメディア『産科』[病気がみえる]出版社 メディックメディア, 発行年2018
URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07699.html(厚生労働省 腰痛テキスト)

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腰痛メディア編集部

こんにちは。 腰痛で悩む多くの方に役立つ情報を毎日お届け。それぞれが違った痛みの場所・違った痛みの度合い・違った原因をお持ちです。 一人一人が自分の腰の状況(病態)を理解し、セルフマネジメントできるようになることが私たちの目標です。記事のご意見・ご感想お待ちしております♬

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