腰痛は、中年・高齢者だけでなく、20代以下の若い人達にとっても身近である症状の一つです。
しかし、腰痛と言ってもその種類は様々です。
病院に行っても、椎間板ヘルニア、ぎっくり腰、腰部脊椎管狭窄症や他の疾患と診断が明確でなく、長引く腰痛がある場合は、炎症が原因となっている可能性の疾患もあります。

結核菌を含む細菌による背骨の感染による腰痛(感染性脊椎炎)もありますが、その他に手足の腫れ、関節の痛みや長引く腰痛の原因の一つとして難病である強直性脊椎炎(指定難病271)があります。

強直性脊椎炎に見られる腰痛としては、夜間や朝方など、安静にしていると痛みが増々痛くなりますが、運動など体を動かすことにより症状が良くなるという特徴的な事がおよそ三か月以上続きます。痛みは一時消えたり、また良くなったりする事がありますが、徐々に悪化の傾向になります。

強直性脊椎炎とは?

手足の指の痛みや腫れ・指先の関節に痛みや腫れがある・指がこわばったり、動かしにくい手足の小さい関節から発症することが多い関節リウマチとは異なり、脊椎や骨盤の炎症 が主体となる原因不明のリウマチ性疾患です。手足の大きな関節(股、膝、足、肩など)も罹患する場合があります。
脊椎周辺、すなわち腰背部、殿部、項部、時に股関節や膝関節の疼痛、全身のこわばりや倦怠感、発熱などが主な症状で、病状が進むにつれて次第に脊椎や関節の動きが悪くなります。
関節リウマチとの鑑別が重要です。脊椎周辺、すなわち腰背部、殿部、項部、時に股関節や膝関節の疼痛、全身のこわばりや倦怠感、発熱などが主な症状で、病状が進むにつれて次第に脊椎や関節の動きが悪くなります。その他に、眼(ぶどう膜炎、虹彩炎)、皮膚( 乾癬 )、腸管(クローン病、潰瘍性大腸炎)などの疾患を合併することがあります。また循環器の疾患(弁閉鎖不全症、伝道障害等)が合併したり、呼吸器の疾患(肺繊維症等)が合併したりします。

どの位の患者さんがいます?

単純に計算しますと、日本人の強直性脊椎炎は人口の0.02~0.03%と推測され、実際には3万人前後と推察されます。一方2018年に実施された初めての全国疫学調査では患者数は3200人と推定されました。これに連動して、日本の強直性脊椎炎の患者さんは、諸外国に比べて極めて少ないと考えられます。そのため診断が遅れがちとなっています。

この病気は、どのようなひとに、どのようなきっかけで発症するのですか?

男女比は約3:1と男性に多く、ほとんどが40歳以下で発症します。一般的には、男性に比べ女性では発症が遅く、軽症例が多いとされています。分娩、怪我、手術などが発症や悪化の契機になることが知られていますが、統計学的な立証には至っていません。発症や病状経過に影響を及ぼす環境因子として、細菌感染や飲食物や化学物質などが考えられていますが、特定されていません。

この病気の原因はわかっているのですか

残念ながら原因はわかっていません。家族内での発症がより高いというデータは出ていますので、遺伝がある程度関与していることは確かなようです。その他の要因については、まだわかっていません。

この病気にはどのような治療法がありますか

運動療法は治療の基本です。背骨や胸の動きが制限され、動きづらくなって日常生活動作や就労に支障をきたすようになるため、毎日時間を決めて自分自身で体操や運動を積極的に行ってください。ゆっくりとしたストレッチやプールでの歩行も良く、また痛みやこわばりを和らげるため、入浴や温泉も勧められます。強い矯正を行う整体・マッサージは骨折や筋肉・靱帯の損傷の危険性があるので避けるべきです。

この病気の薬物療法は?

ロキソニン等の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は薬物治療の基本です。これにより多くの例で痛みが和らぎます。ただし、胃腸障害や腎障害などの副作用のチェックを怠ってはなりません。
関節リウマチに汎用されている生物学的製剤のなかで、
TNF阻害剤(TNFとはTumor Necrosis Factor:腫瘍壊死因子、最初は腫瘍細胞の壊死を誘導する因子として発見されたが、その後の研究で炎症の悪化や組織の障害などの因子であることが解明され、炎症の場で中心的に働く物質とされている)が強直性脊椎炎にも有効であることが証明されています。日本では、2010年から田辺三菱製薬からインフリキシマブ(レミケード)とアッヴィ合同会社からのアダリムマブ(ヒュミラ)の適応が承認されました。これらの薬剤により7割以上の患者さんに、痛みやこわばりなどの症状の改善がみられ、ADLの著明な改善が見られます。近年IL-17阻害剤も強直性脊椎炎に有効であることが証明され、2018年にマルホ、ノバルティスからセクキヌマブ(コセンティクス)の適応も承認されました。特に若年者で炎症が強く、NSAIDsによる治療にもかかわらず、疼痛やこわばりのために就労や就学に支障をきたしている場合、これら生物学的製剤による治療が勧められます。これらの薬剤は、感染症その他の副作用に対する注意が必要なため、開始にあたっては専門医とよく相談し、事前の全身チェックとともにその使用上の留意点につきよく説明を受け理解した上で受ける治療といえます。

この病気の経過は?

ほとんどが10~20代で発症し、病勢のピークは20~30歳代で、40歳代にはいると次第に沈静化するのが一般的です。激しい疼痛と入れ代わるように脊椎や関節の運動制限、すなわち拘縮や強直が目立つようになります。しかし、高齢になるまで全脊柱が強直する人はおおよそ1/3です。このように、すべての患者が、また、痛みが出たすべての部位が、強直するわけではありません。実年期・老年期に入ると激しい痛みは減り、こわばりと倦怠感などが主体になります。
この病気が直接の死因になることはなく、生命予後は比較的良好です。外国の報告では死因で最も多い原因は心血管系の疾患です。

強直性脊椎炎によくみられる症状を簡単にまとめると・・・。

・手足の指の痛みや腫れ
 指先の関節に痛みや腫れがある
 指がこわばったり、動かしにくい
・背中や首の痛みやこわばりがある
 休息したり睡眠をとった後に症状が悪化する
 動いているほうが楽になる
・腰や尻の痛みやこわばり
 休息したり睡眠をとった後に症状が悪化する
 動いているほうが楽になる
・眼の炎症
 眼の痛みや充血など(ぶどう膜炎、虹彩炎)
・手首・足首やかかと・足裏の痛み
 アキレス腱に痛みがある
 足裏に痛みや腫れがある
・皮膚疾患( 乾癬等 )
・その他
 消化器の疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎等)が合併する
 循環器の疾患(弁閉鎖不全症、伝道障害等)が合併する
・呼吸器の疾患(肺繊維症等)が合併する

もし上の事に少しでも当てはまり、関節の腫れや痛み等があり中々よくならない場合は主治医の先生に話し、専門医の先生に紹介状を書いてもらうのが理想です。

現在、日本の医療保険制度は世界に誇れる国民皆保険制度であります。保険証1枚で平等に医療を受ける事ができます。
しかし病院の施設基準の差があるかもしれませんが、基本的に専門医にかかるのも、また全く専門外の医師にかかるのも全く、保険請求すなわち患者様の負担金は同じです。
もし手足の関節等の痛みがあり中々良くならなければ、早急に専門医受診を勧め、関節リウマチかまた他の疾患等かどうかの判断を仰ぐ素晴らしい医師に出会えるのを切なく思います。

少しでも原因不明の関節の痛みと戦っている患者様のために執筆させて頂きました
YO-TSUDOCTOR様に感謝します。

【参考資料】
日本AS友の会 強直性脊椎炎 療養の手引き
難病情報センター

著者情報

腰痛メディア編集部

こんにちは。 腰痛で悩む多くの方に役立つ情報を毎日お届け。それぞれが違った痛みの場所・違った痛みの度合い・違った原因をお持ちです。 一人一人が自分の腰の状況(病態)を理解し、セルフマネジメントできるようになることが私たちの目標です。記事のご意見・ご感想お待ちしております♬

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