平成28年度における生活基礎調査において、男女ともに有訴者率上位を示す症状の1つが
「腰痛」です。誰しも一度は、腰痛が原因でつらい思いをしたという経験をされたことがあるのではないでしょうか。腰痛が生じると当たり前の日常生活が送れず、心まで疲弊してしまいかねません。腰痛の原因といってもさまざまですが、腰痛の原因の1つに、脊髄腫瘍の可能性が考えられます。今回、脊髄腫瘍の特徴や治療法、脊髄腫瘍と腰痛との関連性などをご紹介します。原因が分からず、腰痛症状の改善が図れずにお悩みの方は、ぜひ、参考にしてみてください。

脊髄腫瘍とはどのような病気?

脊髄腫瘍とは、脊髄または脳脊髄を保護する膜(軟膜・くも膜・硬膜)から発生する腫瘍をいいます。脊髄を包む硬膜の外側にできて脊髄を圧迫するタイプ①、脊髄と硬膜の間に腫瘍ができて脊髄を圧迫するタイプ②、脊髄の中から発生するタイプ③に分類されます。脊髄腫瘍は原発性(良性・悪性)と転移性に分けられますが、脊髄では良性腫瘍が多いといわれていますが、硬膜外腫瘍で最も多いのは転移性腫瘍(悪性)です。肺がんや乳がん、前立腺がん、消化器がんなどが脊椎へ転移し、背部痛を主訴に病気が見つかるといったケースが多いでしょう。脊髄と聞くとイメージがつきづらく、脊髄腫瘍になったという方も周りで聞いたことがないといった方も多いはず。それもそのはずで、脊髄腫瘍は人口10万人あたり年間2.5人の発症率で、非常に珍しい病気といえるのです。

知っておくべき!脊髄腫瘍による症状

脊髄腫瘍は珍しい病気の1つであるため、どのような症状が生じるのかと不安を感じる方も多いのではないでしょうか。脊髄腫瘍の原因はいまだに解明されていません。しかし、早期に、脊髄腫瘍による症状に気づくことができれば、元の日常生活へ戻ることも可能です。脊髄腫瘍の症状を知り、適切な治療法を受けられるようにしていきましょう。

腫瘍が脊髄を圧迫することにより症状は出ますが、腫瘍がどの部分にできるかにより、症状が異なります。脊髄の外側に腫瘍が生じ、脊髄を圧迫することにより症状が生じるものもあれば、脊髄そのものから発生すれば、脊髄そのものが障害されるでしょう。脊髄腫瘍の多くの良性腫瘍は、症状の進行はゆっくりですが、悪性腫瘍は症状の進行が早いといえます。脊髄に圧迫が加わると、腰痛のほか、神経症状が出ている方が多いため、多くの方がつらい思いを抱えているでしょう。

・頸部の場合
肩や手の痛み、頸部痛、巧緻動作困難感、手足の痺れ、ふらつき
・背部の場合
背部痛、両足の筋力低下、ふらつき、手足の痺れ
・腰部の場合
腰痛、足の痛み、筋力低下、手足の痺れ、ふらつき歩行時の痛み

また、頸部・背部・腰部の脊髄腫瘍でも、トイレで排尿・排便ともに出づらいといった症状が見られる場合もあるため、上記のような症状も思い当たるという方は早期に病院を受診しましょう。腰痛でお悩みの方は、腰部における脊髄腫瘍が認められ、原因となっていることが多いといえます。脊髄腫瘍が原因となり、腰痛が生じている場合、安静にしていても症状が良くならないといったことも見受けられるため、専門医へ相談することをおすすめします。

脊髄腫瘍の治療法

脊髄腫瘍は症状や神経検査、磁気共鳴画像装置(MRI) で診断がつくことがほとんどです。治療法に関しては、薬物治療や放射線治療を行っても、なかなか腫瘍を除去しきれない病気といわれているため、全身麻酔を用いた手術療法が基本です。手術により、脊髄への圧迫を取り除き、腰痛や神経症状の改善を図ることが一番を考えられています。脊髄は、日常生活で必要な動作「手足を動かす」動作を担う神経や温痛覚など感覚を担う神経など大切な神経が多く存在しているため、いかに傷つけずに腫瘍摘出するかが重要といえるでしょう。腫瘍の進行・癒着状況や大きさにより、手術の難易度も異なるため、完全に腫瘍の除去ができない場合もあります。そのように腫瘍が取りきれない場合、残った腫瘍に対して化学療法や放射線治療を行うこともあるでしょう。

術後は、日常生活への復帰を目指し、離床を積極的に進めていきます。問題がなければ、2週間程度で退院可能です。症状の改善や合併症の出現に関しては、個人差があるため、一概にはいえませんが、新たにまひや神経症状が出た場合などは、リハビリしていく必要があるでしょう。

脊髄腫瘍になったからといって、今までの生活習慣が病気を引き起こしたというわけではありません。しかし、自分の生活習慣を見直し、新たな症状や病気の予防もかねて、食生活や運動習慣の改善を図っていくことは大切でしょう。病気との付き合い方、腰痛との付き合い方は人それぞれ、生活リズムや仕事が異なるように、違って当然です。専門医へ相談しながら、自分に負担のない程度に、良い習慣を取り入れていけると良いでしょう。

脊髄腫瘍による腰痛と上手な付き合い方

脊髄腫瘍の特徴や症状、治療法に関して理解できたと思いますが、脊髄腫瘍により引き起こされた腰痛はさまざまな要因が重なることで、さらに腰痛症状が悪化してしまう原因にもなりかねません。
もちろん、腰痛の原因が不明といった場合や原因が思い当たらない場合には、誰しも、漠然とした不安に駆られるといったこともあるでしょう。不安は積み重なれば重なるほど、周りに相談しづらく、一人で抱え込みがちになったり、痛みをより強く感じるようになったりしてしまいがちです。さらに、不安のほか、病気に対する不安や恐怖、不眠、疲労といった症状が重なれば、腰痛どころではなく、それぞれの心を疲弊してしまいかねません。

腰痛と付き合っていく方法として、以下の点を意識してみてください。
・腰痛・他症状が生じた場合、その時の状況(腰痛が生じたタイミング、頻度、痛みの度合い・持続時間など)を振り返り、記録しておく。
・腰痛が生じた場合、一人で抱え込まない。
・腰痛がある場合、専門医へ早期に相談をして適切な治療を受ける。
・腰痛が悪化した場合、放置しない・無理しない。
・毎日、または1週間に数回など、適度な運動を取り入れる。

上記の点は、当たり前のことだと思う方もいると思いますが、腰痛というと誰しも簡単に捉えてしまいます。脊髄腫瘍などの病気が関連していた場合、症状が出たにも関わらず、大丈夫だろうと放置し、症状の悪化が見られ、病院を受診した時には手遅れだったということにもなりかねません。腰痛1つでも、体が示してくれるサインは重要です。自分自身の体が示すサインに耳を傾けるようにし、腰痛症状としっかり向き合い、付き合えるようにしていきましょう。

脊髄腫瘍は珍しい病気といえますが、腫瘍の程度や進行状況によっては、放置すれば、命の危険に関わるものまであります。腰痛1つといっても侮れません。腰痛のほか、神経症状など他症状が見られれば、脊髄腫瘍の可能性は高まるといえるのです。しかし、腰痛が脊髄腫瘍により引き起こされたものであれば、適切な診断や治療法を受けることで、改善は必ず図れます。
このように、病気が腰痛の原因である場合は、病気に対して正しい治療を行うことが腰痛症状改善につながります。今まで、病院を受診したり、鎮痛薬を飲んでも症状の改善が図れなかったりした方でも、腰痛の原因究明、症状改善に向けて、参考にしていただければ幸いです。腰痛の症状改善に向けて、まず、正しい知識を身につけ、行動することこそ、腰痛に対する不安を軽減してくれ、生活における幸福度を上げられるものといえるでしょう。

▶参考文献
国民生活基礎調査|厚生労働省
脊髄腫瘍|東京都立神経病院
脊髄腫瘍|社会福祉法人 恩賜財団 済生会
脊髄腫瘍|脳神経外科疾患情報ページ|Neuroinfo Japan

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

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