腰痛と手足のしびれは脊髄の神経が障害されて生じる代表的な症状です。このような症状は、なんらかの原因で脊髄が圧迫や刺激されて発生するため、脊椎専門の整形外科医による診断や治療が必要です。

ときに重症な症例では足に力が入らなくなり、歩くことが困難になってしまうこともあります。一言に腰痛と言っても、すぐに治るものから、なかなか治らず慢性化するものまで、また器質的な異常のあるものから、精神的なところからくるものまでさまざまです。

そのなかでも手足のしびれという神経の症状もきたし、私たちがよく目にする代表的な疾患があります。椎間板が突出してしまう椎間板ヘルニアと神経の通り道が狭くなる脊柱管狭窄症です。そこで今回は腰痛や手足のしびれなどの症状が出たときにまず考えるべき、これら2つの疾患の基本的知識について解説したいと思います。

腰痛と手足のしびれが生じる原因

手足のしびれは脊髄や末梢の神経が障害されることで生じる症状で、その原因は数多くあります。軽度なものでは肩こりや頚肩腕症候群、肘の腱鞘炎、下肢の筋肉痛など、これらは一時的に症状が出現するもので時間とともに改善する可能性も大きいです。

他には糖尿病やある種のビタミン欠乏症、閉塞性動脈硬化症などでも痺れは生じます。一見、しびれと関係なさそうな病気ですが、栄養不足や血流障害が原因となり、内科的な治療が必要になります。

一方で腰痛を伴うもので整形外科による専門的な診断や治療が必要な疾患には、頚椎症、後縦靱帯骨化症や脊髄腫瘍、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などがあります。この中でも特に多いのが椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症です。

椎間板ヘルニアとは?

脊椎は上から頸椎、胸椎、腰椎に分かれており、それぞれ7、12、5個の小さい骨が重なって構成しています。それぞれの骨の間には椎間板という軟骨が存在しており、クッションの役割を果たしています。

ときにその椎間板の中にある、ゲル状の組織の髄核というものが突出することがあります。このような髄核の突出を椎間板ヘルニアといいます。この椎間板が背骨に突出しているのが腰痛、手足のしびれの原因となる腰椎ヘルニアです。首の骨に生じた場合は頸椎ヘルニア、腰の骨に生じた場合には腰椎ヘルニアと呼ばれ、どこの部位でも見られますが1番多いのは腰椎ヘルニアです。

椎間板突出の原因の1つに加齢による機能低下があります。骨と骨の間にある椎間板は一定の圧力を受けており、老化が最も早い組織です。そのため、劣化して脆くなると、外膜が破裂して髄核が突出してしまうことがあります。他にはスポーツによる外傷なども原因の1つです。

症状は、激しい腰痛や下肢痛です。突出した椎間板の一部が近くの神経を圧迫し、しびれなどの症状も引き起こします。症状が進行すると、下肢の脱力やつまずきやすいなどの運動障害が出てきます。ヘルニアが飛び出した場所によっても症状は異なり、脊髄が圧迫されているのか、神経根が圧迫されているのか、また部位は首なのか腰なのかによって見分けることが大切です。

椎間板ヘルニアの診断や治療

まずは医師による問診から始まります。症状が出始めた時期、痛みが誘引される要素、合併症などを聞きます。つぎに痛みの部位、時間帯、性状を聞き痛みの評価をします。しびれや力の強さなどの神経学的所見も詳しく調べることも大事です。

検査としてはレントゲン検査も行われますが、確定診断はMRI検査で行われます。MRI検査は磁力を利用して体内を調べ、神経や筋肉などの軟部組織を明らかにするため、ヘルニアの診断には欠かせません。

このときに重要なのは画像上の椎間板が突出しているかどうかではなく、患者さんの症状と部位が一致しているかどうかです。たとえばヘルニアが右側に出ていたとして、右側でなく左側に痛みや痺れを生じていたら、病的意味はなく他の原因を探らなければなりません。しかしながら腰痛の場合、特に非特異的な腰痛の場合では頸椎ヘルニアでも姿勢の悪化や運動不足などにより、腰痛症状が出現することがあるので注意が必要です。

治療としては大きく分けて保存的治療と手術治療があります。通常はまず保存的治療を3カ月ほど試みて、腰痛などの症状が改善しなければ手術を考慮します。

保存的治療としては、頸部の固定、鎮痛薬、神経根ブロック注射などを行い、痛みの緩和を目指します。保存的治療は、神経の圧迫を直接改善するものではなく、どちらかというと腰痛などの症状に対しての治療になります。軽症の場合はこれだけで改善することも少なくありません。

保存的治療で症状が改善しない場合に手術が行われます。この場合、脊椎の専門医により疾患の経過とMRIなどの画像をもとに行うため、症状が改善しないからと言って病院へ行くのをやめてしまうのではなくて、必ず通院を続けましょう。

脊柱管狭窄症とは?

背骨の中には、脳からつながる神経である脊髄が通るトンネルがあり、これを脊柱管と呼びます。長い間体を支えていると、背骨が変形して脊柱管が狭くなります。この脊柱管が狭くなることを脊柱管狭窄症といい、もっとも多いのが腰部の脊柱管が狭くなる腰部脊柱管狭窄症です。

加齢による骨や靭帯の変性が原因で起こることが多く、椎間板ヘルニアよりも50代以降の高齢者に多く見られます。脊柱管が狭くなると、そこを走る神経が圧迫され、腰痛や坐骨神経痛と呼ばれる下肢の神経痛やしびれ、麻痺が起こります。

時には、両下肢のピリピリとした感覚に加えて、鼠径部のほてりや排尿後の尿を出し切れない感覚、便秘などの膀胱や直腸の症状が現れることもあります。典型的な症状としては「間欠性跛行」です。

安静にしているときには、ほとんど症状はありませんが、長時間歩いていると症状が出現し、下肢のしびれとともに腰痛が出現します。ところがしばらく休み、前屈みになったり、腰掛けたりするとたちまち腰痛やしびれが軽減するというのが特徴なので押さえておいてくださいね。

脊柱管狭窄症の診断と治療

単純なレントゲン検査でもある程度の見当はつきますが、より詳細な診断にはMRIやCTによる検査が必要です。MRIでは神経や椎間板などの軟らかく水分を含んだ組織を詳しく見ることができ、CTでは骨の突出による狭窄を確認することができます。

脊柱管狭窄症は、画像検査の結果と症状が一致しないことが多いため、診断には注意が必要です。また、下肢の動脈が詰まって血行が悪くなっている場合にも同様の症状が出ることがあるので、正確な原因を突き止める必要があります。

治療としては椎間板ヘルニアと同様、薬物治療と手術にわかれます。まずは保存的治療を行い、症状が改善せず痛みで歩けないなど、日常生活に支障を来すようであれば手術を検討することもあります。また、排尿障害や排便困難などの症状が急激に進行した際には、緊急で手術を行うこともあります。

日常生活の中でできるアドバイスとしては、立ち仕事をするときは10cmの踏み台に片足を乗せる、歩くときは少し前屈みになるように杖や押し台を使う、などがあります。根本的な治療ではありませんが、治療を継続しながら試してみてください。

結論:腰痛と手足のしびれにお悩みならまずは病院への受診を
今回は腰痛と手足のしびれを生じた際にまず疑うべき疾患について解説しました。椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症はありふれた疾患ではありますが、きちんと治療をしなければ症状の悪化にもつながります。このような症状にお悩みの方は、まずはお近くの整形外科へご相談ください。

【参考文献】
https://www.itoortho.jp/spine/
医療法人 全医会 あいちせぼね病院 頸椎椎間板ヘルニアとは

https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/lumbar_spinal_stenosis.html
公益社団法人 日本整形外科学会 腰部脊柱管狭窄症

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

痛みや体の不調で悩むあなたへ、役立つ情報をお届け。

自分の体の状況(病態)を正しく理解し、セルフマネジメントできるようになることが私たちの目的です。

記事のご意見・ご感想お待ちしております。

この著者の他の記事を見る
バナー画像