側弯症とは脊柱が左右に弯曲した状態を言い、背骨自体のねじれを伴う場合があります。側弯症の特徴としては、肩を直線で結ぶと斜めになる(左右の高さが違う)、腰骨や骨盤の高さが左右で異なる(スカートが回ってしまうことが多い)、胸郭が変形している、肋骨や腰部の左右非対称に隆起している(前屈みになった体勢になり、後ろから背中を見ると分かりやすい)などがあります。側弯症がある場合、重心のバランスが崩れるため腰痛に加え痺れや下肢痛も出現します。さらに、胸郭が変形することにより肺の換気量が減り、呼吸機能の低下や心機能の低下をきたすことさえあります。今回は側弯症と腰痛の関係についてお伝えしていきます。

側弯症の原因と年齢による発生頻度の違い

●側弯症の原因
とくに明らかな疾患がない側弯症を特発性側弯症といいます。側弯症の80~85%と大半を占めます。また、脊柱の先天的な変形によるものを先天性側弯症、脳性麻痺や筋ジストロフィーのように神経や筋肉の異常によるものを症候性側弯症といいます。神経線維腫によるものやマルファン症候群のように結合組織系の疾患によるもの、感染症ややけどによるケロイドによるものなど、側弯症の原因は多様にあります。

●年齢による発生頻度の違い
3歳以下で発症する側弯症は、検診などで見つかります。多くは原因不明で男児に多く、本人の訴えがはっきりしないため、自然に見つけることは難しいです。4~9歳で発症する場合は進行しやすいですが、歩いたりしゃがんだりと子供の活動が活発になるため発見されやすくなります。また、10歳以降の発症では、女子が男子の約8倍多く、進行性で重症になる可能性もあります。この年齢になると自覚症状を伝えることができるので、腰痛や下肢の痺れをよく訴える場合は受診するようにしましょう。

側弯症の重症度による治療方法は

●経過観察による保存的治療
側弯の角度が25度以下の初期の段階では定期的に受診します。定期的にレントゲン撮影することで、前回との比較を正確にできるため側弯の進行を早期に発見することができ、治療計画や次のステップを検討したり、方向性を決めることができます。

●装具装着による保存的治療
弯曲の角度が40度前後まで進行している場合は、装具を用いて体の外部からの弯曲の抑制を行います。現在、一般的に使用されているものは、アンダーアーム型という、脇の下から体幹にかけて装着するプラスチックの装具です。装具の装着時間と側弯の進行を抑制する効果は比例しています。そのため、就寝時以外は着用することが基本とされていますが、患者の年齢やライフスタイルを考慮し、医師と相談した上で装着時間を決めます。また、短い頻度での定期的な受診が必要であり、装具を装着した初期の段階ではフィッテイングや側弯の進行が抑制できているかを確認するため3カ月毎に受診します。暑い時期であると装具の装着が不快に感じることが多いですが、装具と体の間にタオルを挟んだり通気性の良い衣服を選ぶなどの工夫が必要になります。また、衣類もタイトなものは装具の装着が分かりやすくなるため、ゆったりとしたものを選ぶと良いです。寒い時期であると重ね着がしづらいことがありますが、肌気は温熱効果のあるものを着用し、ワンサイズ大きめニットなど伸縮性の高い衣服を選ぶのも良いかもしれません。

●手術治療
装具治療でも側弯が進行した場合には手術での治療が必要です。背中側からアプローチする後方矯正固定術と、腹側からアプローチする前方矯正固定術があります。脊椎にインプラントと呼ばれるねじやフック、ワイヤーを挿入した後、これらをロッドと呼ばれる棒状の金具で固定し、弯曲した脊柱を適切な形へと矯正します。インプラントを設置した箇所に自家骨を設置し骨癒合を図ります。弯曲は軽度になりますが、脊椎をインプラントやロッドで固定するため、脊柱の可動性が多少失われますが、日常生活には支障がない程度です。また、金具を挿入するため感染兆候に注意が必要であったり、磁気共鳴画像装置(MRI) を撮影するときには必ず申告をするようにしなければなりません。手術後の半年程度は激しい運動は控えて、重たいものを持つことも控えなければ、確実に骨癒合する前に器具と骨がずれ、再手術になる可能性があります。術後に気を付けなければならないことは、手術前の説明時に必ず聞くようにしましょう。

側弯症の早期発見

子供の側弯が気になる場合に自宅でも行うことができる前屈テストがあります。子どもを立たせて両足を肩幅に開き、両手を前方で組んでそのままお辞儀をするように90度前屈させます。このとき、自分のおへそを見るようにすると、分かりやすくなります。側弯症がある場合は肋骨の背部への突出(背中の右側が突出することが多い)、腰部の左右非対称な突出(腰部の突出で発生頻度に左右の優位性はなくどちらの場合もある)、あるいは両方が確認できます。
特発性側弯症は、学校での検診で見つかることが多いです。少数にはなりますが、思春期になっても身長があまり伸びないことが気になり整形外科を受診した際に発見されるケースもあります。適切な治療を受けることができれば、身長もきちんと伸びます。また、小児の場合では家族が見つける場合も多く、特に入浴中に親が気付くことがあります。何かしらの違和感があれば早めに受診させてあげることで重症化することを防ぐことができます。

側弯症の進行はいつまで続くのか

●特発性側弯症
体の成長が止まるまでは少しずつ進行し続ける可能性があります。側弯症の発症が早く、成長する期間が長く残っている方が、進行する可能性が高いといえます。一般的に、骨の成長が止まると進行が遅くなることが多いです。

●先天性側弯症
進行が急速に起こる場合と進行が止まる場合があり、個人差となります。基本的には、弯曲が複数箇所ある場合は進行する可能性が高くなるといえます。

●症候性側弯症
進行が早い場合が多く、体の成長や発育が終わったあとでも進行するため、重症化しやすく、経過観察が重要になります。

●神経線維腫が原因の側弯症
急速に進行する場合が多く、腫瘍が影響しているため、成人してからも腫瘍の増大により
進行します。変形によって背骨内の脊髄が圧迫されることで下肢のまひを起こす可能性があります。

●マルファン症候群による側弯症
マルファン症候群は生まれつき心臓疾患や大血管疾患が合併していることが多く、側弯症の進行と同時に心臓や血管の状態を循環器科で十分に観察し管理する必要があります。

側弯症と腰痛の関係
腰痛は主に体の前後や左右の重心のバランスがくずれて、ある一部分に負荷がかかることで起こることが多いです。疾患がなくても自分の行動の癖や日頃の生活習慣で腰痛を起こしやすくなります。側弯症の場合、体幹の要である背骨自体の前後左右のバランスがくずれているため、どんなに生活習慣を気を付けていても、やはり腰痛を起こす可能性が高いです。腰痛のためカイロプラクティックや鍼灸院に通っている方もいるかもしれませんが、どちらも医療機関ではないため、もし側弯症が原因であれば、それらに通っていても根本的な治療にはなりませんし、重症にならないようにするための予防にもつながりません。まずは、整形外科を受診し、背骨を含む骨格に異常がないことを確認してから通うことをおすすめします。筋肉の凝りや慢性的な疲労による腰痛であれば、カイロプラクティックや鍼灸院で腰の筋肉がほぐれ、血流も良くなるため腰痛の改善につながると考えられます。また、リラクゼーション効果もあるので精神的に楽になるという効果も見込めると思います。湿布やその他の外用薬も、筋肉の凝りに対する痛みを緩和する目的での使用であれば、有効かと思いますが、根本的に治るわけではないため安易に使用し続けるのも気を付けなければなりません。
側弯症があり、腰痛が急にひどくなった場合にも注意が必要です。側弯が急速に進行している可能性があり、新たな治療や予防が必要になるからです。側弯症での背骨の変形は不可逆性であり、呼吸器系や、消化器系、循環器系などのさまざまな臓器に影響を及ぼします。腰痛があるという人は多数いると思いますが、側弯症が原因と分かっている場合の腰痛に関しては必ず早めに整形外科を受診し、診察を受けてから腰痛を緩和するための適切な方法を医師に確認することで、側弯症の進行をできるだけ緩やかにし重症化を防ぐことにもつながります。

【参考文献】
日本側弯症学会 https://www.sokuwan.jp/patient/disease/advance.html

著者情報

腰痛メディア編集部
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