個人差はあるものの、女性であれば腰や下腹部の痛みはよく経験する症状ですよね。しかし、なかには日常生活に支障をきたすほどのつよい痛みを「体質だからしょうがない」「我慢できるから大丈夫」と放置している人も多いのではないでしょうか。また、痛みが気になってはいるものの「この痛みは病院に行った方がいいの?」「どんな病気の可能性があるんだろう?」と、病院に行くことを迷っている人も多いと思います。そこで今回は、腰痛と下腹部痛がみられる女性特有の病気と、病院に行ったほうがいい症状などを紹介していきます。

腰と下腹部が痛む!考えられる疾患は?

腰痛と下腹部痛が同時に起こっている場合は、腸の疾患、尿路系の疾患、婦人科系の疾患などが考えられます。腰痛と下腹部痛のほか、不正出血やはげしい生理痛などがみられる場合は、婦人科系の疾患である可能性が高まります。ここでは、婦人科系の疾患を症状別に解説していきます。

生理中ではないのに腰や下腹部に痛みがある場合

生理中ではないのに腰や下腹部に痛みがある場合は、子宮や卵巣のがんが疑われることがあります。「がん」というとびっくりするかもしれませんが、これらの症状はがんのときにだけ起こるものではありません。また、症状のあらわれ方には個人差があり、自覚症状だけで判断はできませんので、参考としてご覧ください。

子宮頸(けい)がん
子宮頸がんは、子宮の入り口である頸部とよばれる部分に発生する悪性腫瘍です。がんのなかでは珍しく、若い世代にも多くみられるのが特徴です。遺伝などはほとんど関係なく、性交渉により感染するヒトパピローマウイルスが大きな原因とされています。そのため、性交経験のあるすべての女性にリスクがあります。
症状
初期には自覚症状はほとんどありません。がんが進行して子宮の周りの臓器にがん細胞が浸潤していくと、以下のような症状があらわれてくることがあります。
・下腹部痛、腰痛
・不正出血
・性交時の出血
・おりものの増加
・血尿、血便
子宮体がん
子宮体がんは、子宮内膜にできる悪性腫瘍です。ウイルスが原因となる子宮頸がんとは異なり、エストロゲンという女性ホルモンの刺激が原因で起こることが多いとされています。子宮体がんは40代後半から60代の女性に多く、糖尿病や高血圧、血のつながった人に乳がんや大腸がんの人がいることなどが、発症のリスクを高めることがわかっています。
症状
子宮体がんの場合は、約90%で不正出血がみられます。そのほか、以下のような症状があらわれることがあります。
・下腹部痛、腰痛
・性交痛
・排尿痛
・排尿時の違和感

卵巣腫瘍
卵巣腫瘍は90%が良性とされており、悪性腫瘍である卵巣がんは 10%程度です。血のつながっている人に卵巣がんの人がいることや、排卵の回数が多いことが発症のしやすさに関係しているとされています。そのため、出産経験がない人や閉経がおそい人はリスクが高くなることがわかっています。
症状
初期には症状がみられないことが多く、症状を自覚するころには進行している場合がほとんどです。以下のような症状がみられることがあります。
・腰痛、下腹部痛
・不正出血
・頻尿
・便秘
・おなかの張り
・食欲の低下

生理時にはげしい痛みがある場合

生理時にはげしい痛みをともなう病気として有名なのは「子宮内膜症」「子宮筋腫」「子宮腺筋症」の3つの疾患です。これらの疾患は、はげしい生理痛のほか、経血量が多くなるなど生理時の症状が強くなることが特徴です。経血量が増加することにより貧血になりやすく、また、不妊の原因になるということも共通しています。エストロゲンという女性ホルモンの影響を受けており、女性ホルモンの分泌がさかんな20代から30代で症状が出やすく、年齢をかさねて女性ホルモンの分泌が減少すると症状がおさまる傾向があります。これらの疾患について解説していきます。

子宮内膜症
子宮内膜症は、子宮内膜や子宮内膜に似ている組織が、子宮ではなく卵巣や腹膜など本来あるべきではない場所で発生する疾患です。子宮ではない場所で発生した子宮内膜も、本来の子宮内膜と同じように生理周期によって増殖と出血をくり返します。子宮の場合は出口があるので、はがれ落ちた子宮内膜や血液は外部に排出されますが、ほかの臓器では排出できません。そのため、おなかの中で血液がたまったり、周辺の臓器とくっついたりすることによって、体にさまざまな影響をもたらします。
症状
子宮内膜症がある人の90%以上で、はげしい生理痛や経血の増加など生理中の変化がみられます。そのほか、以下のような症状がみられることがあります。
・腰痛、下腹部痛
・排便痛
・性交痛
・吐き気、嘔吐

子宮筋腫
子宮筋腫は、子宮の筋肉組織に由来する良性の腫瘍です。原因ははっきりしませんが、女性ホルモンの影響で筋腫が大きくなることがわかっています。
症状
筋腫の大きさやできる場所によって症状は異なりますが、子宮の内側にできた場合は症状が強く、生理時の出血量も増加する傾向があります。逆に、子宮の外側にできた場合は、症状がでにくいとされています。生理時にあらわれる症状のほか、以下のような症状がみられることがあります。
・腰痛、下腹部痛
・不正出血
・下腹部のふくらみ
・頻尿
・便秘

子宮腺筋症
子宮腺筋症は、子宮の内側にできるはずの子宮内膜が、子宮の筋層内で増殖する病気です。「子宮内膜が本来あるべきではない場所に発生する」という点は子宮内膜症と似ていますが、発生する場所の違いから子宮内膜症とはわけて扱われています。原因ははっきしませんが、妊娠など何らかの原因により子宮内膜が筋肉の中にもぐり込むと考えられており、出産経験がある人に多いとされています。
症状
生理痛がとくにはげしく、生理が終わってもしばらく続くことがあります。そのほか、以下のような症状があらわれます。
・腰痛、下腹部痛
・経血量の増加
・不正出血
・下腹部のふくらみ
発熱をともなう場合
腰痛や下腹部痛のほか、発熱がみられる場合は、炎症を起こしている可能性があります。
急性子宮内膜炎
急性子宮内膜炎は、子宮に炎症が起こった状態です。通常であれば、子宮内膜は生理のたびにはがれ落ちるので炎症を起こすことはほとんどありません。しかし、何らかの原因で大腸菌などの細菌が子宮に侵入すると、炎症が起こることがあります。
症状
細菌の種類によって異なりますが、おもな症状は以下の通りです。生理中であるかどうかに関係なく、はげしい痛みが起こります。
・はげしい下腹部痛、腰痛
・おりものの増加
・不正出血
すぐに病院に行くべき?注意すべき症状は?
とくに異常がなくても、生理中はおなかや腰の痛みを感じることがあります。そのため、多少の痛みであれば我慢してしまっている人も多いのではないでしょうか。しかし、次の場合は注意が必要です。

・日常生活に支障をきたすほどのつよい痛みがある
・生理がくるごとにだんだん痛みが強くなる
・生理中ではないのに腰や下腹部が痛む
・不正出血がみられる

これらの症状がみられる場合は、なにか病気が隠れている可能性があります。とくに、がんでは症状に気づいたときには進行してしまっていることも多く、早急な治療が必要です。がん以外の病気であっても、子宮や卵巣の病気はそのまま放っておくと不妊などの原因となることもあるため、病院での処置が必要となることが多いです。体の変化に気がついたときや、少しでも不安なことがあるときは、一度病院を受診してみると安心できますよ。
まとめ
腰痛や腹痛は単独ではよくみられる症状であり、病院へ行く必要がない場合が多いです。しかし、腰痛と腹痛が同時に起こった場合は、なにか病気が隠れているサインかもしれません。また、症状が軽減せず痛みが強い場合や、上記のような症状がみられる場合も注意が必要です。原因がわからないまま、痛みや不安を抱えて過ごすのはつらいですよね。気になる症状があるときは、早めに病院を受診してみることをおすすめします。

【参考】
日本産科婦人科学会 http://www.jsog.or.jp/
日本婦人科腫瘍学会 https://jsgo.or.jp/index.html
国立がん研究センター https://ganjoho.jp/public/index.html
MEDLEY https://medley.life/

著者情報

腰痛メディア編集部
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