国民病とも呼ばれるほど、腰痛を抱えて生活している人は多く、私も他人事ではありませんが、みなさんは腰痛とどのくらいのおつきあいですか?
今回は、もし今、腰痛だけではなく、手や足などの他の関節も痛いという方にぜひ読んでいただきたい話題になります。

関節について知っておこう

関節と聞いて何を連想されますか?
関節とは全身至るところにある、骨と骨のつなぎ目で、これが私たちの多様な動きを実現可能にします。関節は骨と骨が直接くっつけないので、靭帯というゴムのような伸縮性のある筋のような部分で結ばれています。お料理をされる方ならお肉を扱うときに見ていると思います。靭帯は筋肉の一部で、これが包み込むように骨通しを結び付けて関節包(かんせつほう)をつくります。関節包にはやわらかな骨の軟骨や動きをスムーズにするための液体を作り出す滑膜という組織があり、関節を守っています。

関節の痛みとは?腰も手足も一緒に痛い?

さて、関節の痛みはどうして起こるのでしょう?
転んだなどのけがや急に起こるものもあれば、時間をかけてゆっくり起こるものもあります。関節になんらかの炎症が起こると痛みが生じます。または、炎症ではないけれども過剰に使い過ぎたり加齢の変化によっても起こります。
痛みが起きる部位は、前項の1.関節を知ろうでお話した、関節を構成している全ての組織が含まれます。骨、靭帯(筋肉)、関節包をつくる組織、このどこかに炎症が起きることで痛みがでます。ただし骨や軟骨自体では痛みはでないのですが、骨を包む膜やまわりにある神経に影響がでると痛みとなって自覚されます。
痛みの種類ですが、急に起こる場合や痛み始めから一か月以内の経過であれば急性と呼び、ゆっくり起こるもの、痛みが持続する期間が3カ月以上だと慢性と呼ばれます。
今回は急性ではなく、長引いている痛みについてお話しますね。
また、関節の痛みは程度にもよりますが、動かすと痛いという症状が主体のタイプと骨折や骨粗しょう症などによる動かさなくても痛いという痛みもあります。
みなさんの痛み方はいかがですか?

考えられる病気とは?

もし、突然に腰痛と他の関節痛が同時に起こったら、インフルエンザや風邪など、全身に感染症が起きた可能性がありますし、この場合、発熱もみられることが一般的です。
では、本題の、長引く腰痛とあわせて手足の関節の痛みがある場合に想定される病気についてお話します。医学用語では「慢性腰痛と多関節痛」と言い換えることができます。
頻度としても可能性としても高い病名を、大まかな概念で仕分けすると以下が考えられます。()内が主な病気の診断名になります。

1) ロコモティブシンドローム関連疾患(変形性関節症、骨粗鬆症、頚椎症)
2) 更年期障害
3) リウマチ性疾患(関節リウマチ、線維筋痛症、リウマチ性多発筋痛症、脊椎関節炎)
4) 膠原病(シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス)

聞いたこともない病名もあるかと思いますし、この他、がんの骨転移や心因性の痛みという場合も可能性としては否定できません。
子どもの場合は、リウマチ性疾患に含まれる、若年性特発性関節炎の頻度が高いです。
ここからは、大人の頻度の高い疾患についてもう少しだけ、詳しくお話していきます。

ロコモティブシンドローム関連疾患

まず、ロコモティブシンドロームという概念ですが、運動器と呼ばれる体の動きをつくる骨や関節は、老い(加齢)によって体は個人差はあっても必ず誰しも衰えがでてきます。移動の機能が低下する状態を意味します。この関連疾患は、上に述べた以外にも複数ありますが、なかでも診断された患者さんが一番多いのが変形性関節症といわれています。腰痛に関連する変形性腰椎症では40歳以上で3000万人以上との報告もあります。骨粗鬆症は聞いたことがある方も多いと思いますが、骨の密度が下がっていく状態による病気の概念で、これも変形性関節症にも関わります。
この疾患の発症は軟骨が摩耗していくことによりますが加齢と同様これを止めることはできませんので最終的には手術治療もありますが、リハビリや日常からのコントロールが長い運動機能を維持して生きていく上で必要な治療になります。

更年期障害

これは特に女性では比較的身近な話題ですよね。1)骨粗鬆症とも関連しますが、閉経に伴いエストロゲンというホルモンの著しい低下もしくはホルモンの変化からいろいろな症状がでてくるため、中には腰痛や手足の関節が痛いという方も含まれます。痛みの管理はもちろん、ホルモン補充や骨粗鬆症の治療を併用することで症状を和らげることができる場合があります。

リウマチ性疾患

リウマチ性疾患は全身炎症性疾患ともいわれ、自己免疫が関わって発症します。普段は味方である自分を敵と勘違いを起こして抗体という武器をつくり戦いの状態に発展します。これにより様々な体内での炎症を含めた反応により全身に症状がもたらされます。特に多いのが線維筋痛症(せんいきんつうしょう)で、40代以上の女性に多い傾向があります。3カ月以上続く関節痛やこわばるような全身の痛みが主な症状です。原因もあまりわかっておりません。
次に多いのが関節リウマチで、70万人以上の患者さんがいると報告されています。関節内の滑膜という組織が異常に増殖することで関節痛を起こし、最終的には自分の軟骨や骨を破壊してしまう病気です。進行する病気ですが、早期に薬物治療を受けることで経過をゆるやかにしたり、症状を軽くできる場合があります。

膠原病(こうげんびょう)

聞きなれないこの疾患の概念も、前項3)リウマチ性疾患と重なる部分もあるのですが、とりわけタンパク質である全身のコラーゲンに炎症がだらだら起こる病気の総称になっています。主にはコラーゲンである神経や血管、皮膚にも炎症が起こる病気を総まとめにした名前です。自己免疫が関わる点、関節や筋肉にも関係することもあり、リウマチ性疾患も、膠原病に分類されていることもあります。関節リウマチの患者さんにシェーグレン症候群の症状もあわせて起こるという場合も珍しくないのです。特に頻度が高いものがシェーグレン症候群ですが、主には関節痛と関節炎が複数の関節に起こります。とりわけ女性に起こる率が高く、50代にピークがあります。膠原病の多くは、根治は今のところ望めず、病気が悪化しないように薬や日常生活を見直してコントロールしていくという治療になります。

受診するならどこに?

これをお読みになり、自分はもしかしたらと思われている方、次に悩むのはどの科にかかったらよいのかという点ではないでしょうか。
先ほど列挙した疾患を診る専門科はそれぞれ分かれています。
ロコモティブシンドローム関連は整形外科、リウマチ性疾患や膠原病については、リウマチ科、別名膠原病内科または一般内科というように。ただ、クリニックや病院によっても診療科の呼名は異なりますし、リウマチ専門外来を開設しているところもあります。あらかじめ、受診される前にホームページを確認したり、電話でリウマチ専門医、膠原病専門医の診察が受けられるのか、予約もできるかを含めて問い合わせられるのが手間はかかりますが最善の受診方法かと思います。
また、コロナウイルス流行中は病院にかかるのも心配でという声もありますので診断までには至らぬとも、オンライン医療相談でご自身の方向性を医師に相談するという方法もあるでしょう。ただし、診察や検査には、やはり受診が必要不可欠です。

まとめ

腰痛が長引いていて、手足の関節も痛いという方には、ぜひ知っていただきたい情報を今回はとりあげました。後半は病気のことなので少々読みにくい内容だったかもしれません。
急性に起こった腰痛は、時間の経過とともに治まるものが多いのが事実です。
けれども一か月以上続く腰痛、同時に他の関節も痛む場合には、一度は専門科の診察を受けられることをお勧めします。関節痛と一言でいってもその成り立ちは複雑で、隠れている病気も様々です。ですから診察や検査を受けることが、診断につながる第一歩になります。受診というきっかけが、ロコモティブシンドロームのように早期発見から予防につながる場合もありますし、他の疾患であった場合にもこれからのみなさんの生活に大きく関わる可能性を秘めています。

出典
日本整形外科学会
腰痛ガイドライン
難病情報センター 
日本リウマチ財団リウマチ情報センター

著者情報

腰痛メディア編集部
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