日々の生活の中で多くの方々が経験したことがあるであろう「腰痛」。痛みの程度や痛み方は人それぞれですが、身近な疾患である分スルーしてしまうことも多いのではないでしょうか?ところが、普通の腰痛と思っていたものでも実は重大な疾患が潜んでいることもあるのです。

腰痛の原因が危険な病気?

腰痛には、画像検査などで診断が可能な「特異性腰痛」や原因を特定することが難しい「非特異性腰痛」などさまざまなものがあります。その中で、はっきりとした原因が分からないため「非特異的腰痛」だと思っていたものが実は意外な疾患が隠れていた……ということはあり得る話です。

特に内臓や脊椎の疾患やがんなど、気付かないうちにそのような重篤な疾患に身体がむしばまれていることも。腰痛が症状として出る疾患は多くのものがありますが、特に消化器系・泌尿器系・婦人科系・循環器系の疾患などが代表的です。

腰痛が予想以上に長引いている方や治療をしても全く改善が見られない方などは腰痛の原因が腰以外の部分にある可能性があるため、可能であれば複数の専門家の意見を聞くようにして下さい。

では腰以外の部分に腰痛の原因がある場合は、どのような腰痛の症状が出るのしょうか?

こんな腰痛がある方は要注意

先程、腰痛に危険な疾患が潜んでいる可能性があると説明しましたが、全ての腰痛に当てはまる訳ではありません。ここでは特に気を付けた方がいい症状を紹介します。

身体を動かした時にのみ起こる痛みは、腰回りの筋肉や靭帯などが原因である場合が多いです。そのため、治療を行うと1ヶ月程で痛みが引いてくることが多いです。しかし、治療を行った上で痛みが悪化したりなかなか治らない場合は筋肉以外の別の原因が潜んでいる可能性もあります。

また、どのような姿勢でも常に腰に痛みを感じたり治療後も徐々に痛みが強くなっていく場合は、脊椎や内蔵に問題がある場合も。それだけでなく、腰痛と共に微熱が続いていたり短いスパンで体重が明らかに減りすぎている場合などは早急に病院を受診するようにしてください。

内臓疾患や癌などの既往歴がある方で腰痛が不自然に続いている方なども、不安に感じた場合はかかりつけ医などに相談しましょう。

腰痛以外にはどんな症状が出る?

重篤な疾患が潜んでいる場合、腰痛だけでなくそれ以外の症状も付随して現れることが多いです。それでは、腰痛以外にどのような症状が現れることが多いのか見ていきましょう。

消化器系の疾患:持続する腹痛、下血、嘔気・嘔吐など
泌尿器系の疾患:血尿、排尿障害など
婦人科系の疾患:下腹部痛、おりものの増加、不正出血など
循環器系の疾患:腰や下腹部の激痛、締め付けられるような背中の痛みなど

腰痛のみで疾患を診断することは難しい場合が多いですが、腰痛とともにこれらの症状が出ている場合は一度医師に相談してみるのもいいかもしれません。特に、循環器系の疾患の場合は命に関わることが多いため早めの判断が重要です。

内臓の疾患が原因の腰痛

腰痛の原因としてさまざまな内臓疾患の可能性がありますが、それぞれの疾患によって腰痛の出方や症状も異なります。

消化器系の疾患

腰痛と消化器系の疾患を結びつけるのは少々難しいかもしれません。しかし、消化器系の疾患の中でも特に胃潰瘍や十二指腸潰瘍の場合に腰痛の症状が出やすいと言われています。

胃潰瘍は潰瘍が背中側にある場合は背中が痛むため、その背中の痛みを腰痛と勘違いすることが多いようです。また、胃の位置の関係上みぞおちから左にかけて痛むことが多いのも特徴の1つです。

十二指腸潰瘍も同様の理由で腰痛の症状が出ることがありますが、この場合は胃潰瘍とは異なりみぞおちから右にかけて痛みが出ます。

その他の疾患としては、胆嚢炎や膵臓炎の場合も腰から背中にかけて痛みが出ることがあります。

泌尿器系の疾患

泌尿器系の疾患の中でも特に、男性に多いとされている尿管結石で腰痛が出ることがあります。激しい痛みが出たり消えたりを繰り返すことが特徴で、発熱と同時に腰から少し上の部分に痛みが出ることが多いと言われています。

その他には、腎結石や腎盂腎炎などの疾患が隠れている場合も。

婦人科系の疾患

女性特有の婦人科系の疾患が、長引く腰痛の原因となっていることがあります。

若い女性に急増している子宮内膜症という疾患は、ひどい月経痛やその他のPMSを引き起こします。PMSの中には腰痛の症状もあり、子宮内膜症の半数以上が腰痛を訴えているという研究結果も出ているのです。その痛みは腰だけでなく、背中や股関節などに広がることも。

その他には子宮筋腫などで同様の症状を訴える方もいます。子宮筋腫の場合は、筋腫が神経を圧迫することで腰痛の症状が現れることがあるようです。

普段から月経痛が重い方や不正出血が続く方などはこれらの疾患が疑われる可能性もあるので、早めに婦人科を受診するようにしてくださいね。

悪性腫瘍(がん)が原因の腰痛

膵臓がんを代表とする内臓系のがんや子宮体がん・子宮頸がんの場合、腰痛の症状を呈することがあります。特に腰痛がある上に先程説明した内蔵疾患の症状や急激に痩せてきたなどの身体の変化が見られた場合は、できるだけ早く病院を受診することをおすすめします。

脊椎や脊髄に腫瘍がある場合も腰痛の症状が多く見られます。「脊髄腫瘍」と総称されるそれらの腫瘍には、その場に初めてできた「原発性腫瘍」と他の箇所から転移してきた「転移性腫瘍」の2種類があります。

脊椎や脊髄のどの部分に腫瘍が出来たかによって、症状が異なるところがポイントです。脊椎の腫瘍は基本的に転移性であることが多いですが、まれに原発性のことも。脊椎腫瘍の場合は、昼夜問わず激しい腰痛が出ると言われています。腫瘍の位置によっては麻痺や排尿障害などを併発することもあります。

一方で脊髄にできた腫瘍は、一般的に良性であることがほとんどです。慢性的な腰痛の他に、下肢に麻痺が出るのが特徴となっています。

まれに、がんが骨に転移したことが原因で腰痛を引き起こしていることもありますが、その場合は要注意です。がんの中でも特に肺がん・乳がん・前立腺がんは骨に転移しやすいと言われているため、それらの既往がある上で腰痛が長引いている方は早めに主治医に相談するようにしましょう。

まとめ

一見関係がないように見えても、腰痛には恐ろしい病気が隠れていることがあります。現代日本において老若男女問わず多くの方が腰痛を訴えていますが、もしかしたら自分が抱えている腰痛はただの腰痛ではないかもしれません。

特に「非特異的腰痛」と呼ばれる原因の分からない腰痛の場合、不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。仮に内蔵の疾患やがんなどの重篤な疾患が腰痛に潜んでいる場合も、早く対処すれば問題がないことも多いです。

そのためにも、腰痛が長引く方や腰痛に違和感を感じた方は1人で抱え込まずにできるだけ早くかかりつけ医に相談するようにしてくださいね。

その腰痛、大丈夫?【危険な腰痛を見分けるサイン】

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

痛みや体の不調で悩むあなたへ、役立つ情報をお届け。

自分の体の状況(病態)を正しく理解し、セルフマネジメントできるようになることが私たちの目的です。

記事のご意見・ご感想お待ちしております。

この著者の他の記事を見る
バナー画像