腰痛の原因は腰そのものだけではありません。実は首にある場合があります。首と腰は背骨でつながっているため各々の状態が強く影響し合うからです。実は腰痛の原因が首にあったということはよくあることです。この記事では、腰痛の原因となる首の疾患『頸椎ヘルニア』についてご紹介します。

腰痛の原因にも頸椎ヘルニアはどんな病気?

首の骨である頚椎(けいつい)は、頭蓋骨からお尻までいくつもの骨がつながった背骨のうちの首の部分です。頚椎は7つの椎体(ついたい)と呼ばれる骨で構成されており、その間を支えるクッションとして椎間板(ついかんばん)というゲル状の組織が存在します。頸椎ヘルニアは、正式名称を『頸椎椎間板ヘルニア』といい、椎体の間の椎間板は外に飛び出してしまった疾患です。椎体の中心には、脊髄とよばれる神経組織が通っており、脳から全身に送られる信号は、この脊髄を通って届けられます。椎間板が飛び出て脊髄の神経を圧迫してしまうことで、さまざまな症状が出現します。腰痛もその一つです。頸部において脊髄が圧迫されることにより腰痛が発生するというメカニズムについてはまだ明らかにされていませんが、頸部ヘルニアの手術を受けた後、術前に悩まされていた腰痛まで改善したケースが比較的多くみられるというデータがあります。
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頸椎ヘルニアの原因と症状は?

頸椎の間の椎間板が飛び出してしまうことで起こる頸椎ヘルニアは、なぜなってしまうのでしょうか。その原因と、主な症状についてご紹介します。

頸椎ヘルニアの原因は?

頸椎ヘルニアの原因は主に3つで、性別や年齢に関係なく起こる病気です。
・加齢による骨・椎間板の変化
・姿勢の不良による長期間の負担の蓄積;ストレートネック、スワンネックなどの
変形
・外傷や急激な運動による負荷の蓄積
これらの原因の背景として、そもそもの首の構造上椎間板に負担がかかりやすいことがあげられます。具体的には、首の上には7キロ前後の重い頭があり、日常生活における頭の動き(視線の動きも含め)は、主に頚椎が動くことによって行われています。しかし腰椎のように周りを他の骨や筋肉で囲われているわけではないので、外からの負担に弱く、姿勢や外圧の影響を大きく受けてしまいます。

頸椎ヘルニアの症状にはどんなものがあるの?

頸椎ヘルニアの代表的な症状を時系列にご紹介します。腰痛は後期にかけて現れますが、上肢をかばおうと腰の筋肉が硬直し、早い段階から腰痛が生じる場合もあります。
1.首・肩部症状:肩こり、首痛、背中の痛み、前胸部痛
安静にしていれば消失する程度の症状です。この段階で受診し、医師の指示にしたがっていれば1週間から8週間程度で改善に向かいます。
2.上肢症状:上肢の痛み、だるさ、手のしびれ、手のむくみ、握力低下
3.頭部、顔面症状:頭痛、目の奧の痛み、眼性疲労、眼充血、耳鳴り、めまい、ふらつき
痛み止め服用、リハビリテーション治療や安静にするといった方法がとられます。
4.下半身症状:腰痛、脚のつっぱり、歩行障害、尿コントロール障害、尿失禁
この段階になると首を動かすこともスムーズではなくなり、一刻も早い治療が必要と判断され、 手術が検討されます。

長引く腰痛で頸椎ヘルニアかもしれないと思ったら?

頸椎ヘルニアかもしれないと思ったらどんな行動をすべきなのでしょうか?受診のタイミング、受診までの生活の注意点をご紹介します。

整形外科の専門医に診てもらう

まずは、整形外科の専門医を受診しましょう。初期の段階でも自己判断で経過を見るのではなく、医師の評価してもらうのが重要です。診断にはレントゲン以外に、MRIでの画像診断が必要になります。MRIは神経や筋肉などの軟らかい組織を鮮明に写し出すため、ヘルニアの検査の中で特に重要です。他にも必要に応じてCT検査や、造影剤を注射する検査などが行われ診断されます。MRIができない施設では診断ができないので、検査設備が整った施設を受診しましょう。かかりつけの整形外科がある場合は、設備が整ったところに紹介してもらえるか聞いてみましょう。

初回の受診に必要な情報を準備する

初回の受診の際には以下の内容をまとめ、医師に伝えましょう。症状の詳細は治療方針を決める上でも非常に大切な情報になります。
・発症の仕方(いつから、きっかけはあるか、他の病気はないか)
・痛みの内容(どこが痛いか、いつ痛いか、どんな格好で痛いか)、シビレがあるか、力は入るか、動かしづらさはあるか
・普段の生活や仕事内容にどんな影響がでているか

受診せずに放っておくとどうなる?

自然に軽快する場合もあります。但しそれには通常数カ月を要し、軽快せずに悪化していく場合もあります。症状の原因がわからないまま、首や腰の痛み、痺れととも過ごすのは多大なストレスになることでしょう。早い段階で医師に評価してもらうことで適切な時期に治療を受けられるようにするのが望ましいです。

頸椎ヘルニアの治療方法とは?

頸椎ヘルニアの治療方法には、手術治療などの観血的療法と、ブロック注射や投薬治療・コルセットなどの器具療法を含めた保存療法があります。各治療法の概要をご紹介します。

保存療法

まず頚椎カラ―と呼ばれる固定具を利用して首の負担を軽減する方法があります。症状が急激に進む急性期に安静目的で使われることが多いです。リハビリは運動療法やストレッチ、電気治療や超音波治療を用いて症状の緩和を目指します。投薬治療としては、神経痛に効く痛み止めのほか、血行を良くする薬が使われます。神経ブロック注射は首や鎖骨の近くの、神経が集まっているところに注射し、痛みを感じる信号をブロックして抑えます。但し脊髄が圧迫されている場合は、神経ブロック療法の効果が少ないため手術による治療が選択されます。

手術

手術が必要だと判断されるのは、社会生活、日常生活が送れない状態のときです。患者さんの生活動作レベルや求める生活によっても変わります。あるいは、椎間板の変形が進行していくのが明らかな場合、または脊髄に傷がついている場合は症状が軽くても手術を検討します。早期の手術の採否についてはまだ議論されている状態ですが、現状では3カ月程度保存的に加療し、症状の改善が見られない場合に手術を考えるのが一般的です。手術にはいくつか種類がありますが、術式の選択はその方のヘルニアの大きさや症状の程度によります。医師とよく話し合いましょう。

頸椎ヘルニアの予防方法はある?

頚椎ヘルニアはある程度は予防可能であり、推奨されている方法もあります。まず姿勢を改善することが第一です。具体的には、首の後屈や中腰、うつむいたまま長時間過ごすことは控え、休憩をはさみましょう。デスクワークでは水平より約10度下の視線が良いと言われています。また、強く首を反らす、衝撃を与えることを避けるのも重要です。さらに、負担を減らすだけでなく、負荷に負けない身体作りも大切です。柔軟性を上げるためのストレッチやマッサージ、さらに首・肩・背中の筋肉を鍛えてみましょう。これらはヘルニアの悪化予防としても勧められる方法です。日ごろから自分に合った予防策を実践していきましょう。
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まとめ:なかなか治らない腰痛は頸椎ヘルニアが原因の場合も。早めに専門医に受診し適切な治療をしましょう!

腰痛の原因は腰だけではなく、背骨でつながっている首に問題がある場合にも起こることがわかりました。頸椎ヘルニアが治まると腰痛も治る方も多くみられます。腰痛がなかなか良くならない、原因がわからないと悩んでいる方は、首の検査も受けることをおすすめします。腰痛があると、日常生活でできないことが増えてしまい気持ちも沈みますよね。頸椎ヘルニアは原因がわかればよくなる病気です。決して自己判断で放っておかずに専門医に相談しましょう。どうか諦めず、腰痛のない生活を送れますように。

著者情報

腰痛メディア編集部
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