最近何となく腰が痛いな…重いものを持ったせいかな、寝方がよくなかったのかも…
そんな風に考えているあなた、実は大きな病気が隠れている可能性もありますよ。
今回は意外に腰痛の原因として多い、頸椎椎間板ヘルニアについてご紹介します。

頸椎椎間板ヘルニアとは

頸部のところで脊髄を中に納めている骨は頚椎と呼ばれます。頚椎には、頚髄(脊髄)とよばれる神経が通っており、脳から手や肩に向けて送られる信号はこの頚髄(脊髄)を通して届けられます。各頚椎の間には椎間板と呼ばれる組織があり、上下の頚椎を支えるクッションの働きを持っています。ある程度の弾力がありますが、この椎間板の組織がこわれて脊髄や神経根が急激に圧迫されるようことがあります。これが、頚椎椎間板ヘルニアと呼ばれるものです。

頸椎椎間板ヘルニアの原因

椎間板が飛び出してくる原因の一つとして、老化現象による機能の低下が挙げられます。また姿勢不良、激しい運動などによる負担が椎間板にかかることで発症します。非常に可動性が大きい部位であること、腰椎よりも外からの負担に弱いことなどから、重いものを持ったりすることが直接の負担とはなりにくいですが、姿勢や外力の影響を大きく受けると言えます。そのためラグビーなどのコンタクトスポーツ選手にも多く見られます。その他、喫煙や遺伝なども発症に関わると言われています。また最近はパソコンやスマートフォンなどの多用によるクレーンネックが原因ともいわれ、今回の頸椎椎間板ヘルニアを含むいわゆる頚椎症の原因になっていると言われています。

頸椎椎間板ヘルニアになりやすい人

男女比は約3:1で男性に多く、20代から70代まで幅広い年齢層の方が手術を受けており、男女とも働き盛りの30~50代にピークがあるといわれています。
20代で頚椎椎間板ヘルニアになるのは格闘技の選手やラグビーの選手に多く見られ、中年以降の場合、下から上ばかり見ている仕事や、姿勢がよくない方など多いですが、特にこれといった原因がない方も多いです。

頸椎椎間板ヘルニアの症状

頚椎椎間板ヘルニアの症状は非常に多岐にわたります。これら全身の症状は神経の障害によって起こるものです。
分類してみると、大きく分けて二つのものがあります。

一側の肩や手の特定の領域に激しい痛みや放散痛が生じるタイプ

この場合には、最初は首の寝違いとよく似た鈍痛・違和感などの後頚部症状があり、引き続き手や肩への激しい放散痛が生じることが一般的です。この痛みは激烈なものですが、2-3週間でピークを越え、あとには鈍い痛みやしびれが残り、数週間から数ヶ月で軽快するという経過をとることが多くあります。

しびれから運動障害や下肢の障害まで起こすタイプ

両手の「しびれ」がみられたり、両手を使って行う細かい動作が徐々に出来にくくなったり、両足が足先からだんだんとしびれ、歩行がなんとなく不自由になるなどの症状が数日から数週間の経過で急速に進行するものです。重度になると腰痛など下半身の症状も現れてきます。

>頸椎椎間板ヘルニアの初期症状
初期段階では、首もしくは肩などに違和感や鈍痛を覚えるところから始まることが多いです。安静にしていれば消失する程度であり、ここで医師の指示にしたがっていれば1週間から8週間程度で症状は改善に向かいます。
>頸椎椎間板ヘルニアの中期症状
中期の段階では、痛みやしびれなどが生じてきます。鈍痛からはっきりとした痛みに変わり、しびれを併発するなど物理的な障害を感じるようになるのが特徴です。治療期間は初期と同じく1週間から8週間程度ですが、どの程度で治療を止めるかについては人それぞれの状態にもよります。痛み止めなどを服用しつつ、リハビリテーションで治療を行い、安静にする期間を長くして様子を見るといった治療方法がとられることが多いです。
>頸椎椎間板ヘルニアの後期症状
後期に入ると、痛みやしびれの程度が増加し、手術による治療が必要となることが多くあります。首を動かすこともスムーズではなくなり、一刻も早い治療が必要と判断されます。また腰など下半身にも痛みが出てきます。2週間程度の入院を行い、その間に患部の手術および治療を行います。薬物療法とリハビリテーションを組み合わせて行うのが一般的ですが、予後にも配慮しなければならないでしょう。退院後も定期的に病院に通い、様子を見ながら治療を行いますので、治療期間は数ヶ月から1年程度に及ぶこともあります。

椎間板ヘルニアの診断・検査

発症の仕方、痛みの評価に加え、しびれがあるか、力は入るかなど、神経学的な所見を詳しく見ていくことが多いです。
さらにレントゲンなどの画像検査を行いますが、その中ではMRIが特に重要です。MRIは磁力を利用して身体の中を調べる検査で、神経や筋肉などの軟らかい組織を鮮明に写し出すため、ヘルニアの検査には必須と言えます。

頚椎椎間板ヘルニアを治すには

頚椎ヘルニアの治療は大きくわけると「観血的療法」と「保存療法」とに分けられます。
観血的療法とは手術治療のことを指し、保存療法は、それ以外の投薬治療や注射、コルセットなどの装具療法、リハビリなどを指します。保存療法は、ヘルニアによる神経の圧迫を直接取り除くわけではないため、どちらかと言えば痛みなどの症状に対する対処療法となります。激烈な症状や麻痺など重度のヘルニアである場合を除き、まずは保存療法を選択するのが一般的であります。
手術以外の治療で多く行われているのは、注射、薬物療法、装具療法、リハビリなどです。
注射治療は痛みを感じる信号をブロックし、痛みを抑えます。薬物療法は、炎症を抑え、神経の働きを良くすることで症状を緩和していきます。装具療法は頚椎カラ―と呼ばれる固定具を利用して負担を軽減し、リハビリでは運動療法やストレッチ、各種物理療法(電気治療や超音波治療)を用いて筋力や柔軟性を改善して症状の緩和を目指していきます。
状態に応じてそれぞれを組み合わせて治療していきます。一般的には、一側上肢へと放散する痛みのみ場合には、保存的療法や安静により軽快することが多いでしょう。
しかし、麻痺や筋肉の萎縮を伴った場合や、両側の手や足の症状が見られる場合には、症状の進行も早く、出来るだけ早い時期に手術的療法を検討する必要があります。

自分でできる治療とは?

頚椎椎間板ヘルニアは、首周りだけでなく全身に痛みを抱える病気といえます。対策としてはまず、首や肩に負担をかけるような動作や作業を控えるのが良いでしょう。 また、首こりや肩こり、そして全身の凝り改善のためのセルフケアも有効です。姿勢を整える、同じ姿勢を長く続けること、重い物を持つなどの首に負担のかかることを避けるといった生活習慣の見直しも重要です。マッサージやストレッチなどで痛みやしびれが引かない場合は医師と相談のうえ、適切な治療方法の選択が必要です。

頸椎椎間板ヘルニアを予防するには

最後に、頚椎椎間板ヘルニアの予防法について説明します。
椎間板に過度の負担をかけないためには、正しい姿勢を保つことが大事です。理想的な姿勢は、背筋をしっかり伸ばし、あごを引いた状態です。座っているときも動いているときも、背筋が変に曲がらないよう注意しましょう。人間の頭部は非常に重たいため、猫背などの姿勢が崩れた状態は頚椎に大きな負担がかかります。また、強く首を反らすことや、衝撃を与えることを避けるのも重要です。
枕選びも重要なポイントです。枕は寝る姿勢を決めるとても大切な道具ですので、頚椎に負担のかからない、柔らかくて適度な高さの枕を選ぶようにするといいでしょう。
そして、負担を減らすだけでなく、負担に耐え得る身体を作る事も大切といえます。柔軟性を上げたり、筋肉を鍛えたりすることがそれに当たってきます。一人ひとり状態や、置かれている環境は違いますので、自分に合ったヘルニア予防策を講じることが重要と言えます。

いかがでしたでしょうか?ただの腰痛だと思っていても、実は大きな病気が隠れている可能性があります。長期間気になるようであれば、医療機関を早めに受診してみましょう。


参考文献
病気が見える 整形外科・神経
家庭の医学 オールカラー

著者情報

腰痛メディア編集部
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