慢性的な腰痛原因のひとつともされている「冷え」。冷えることで腰痛が悪化するのは、実は珍しいことではありません。慢性腰痛症を自覚している多くの方が冷えによる腰痛の悪化を自覚しているのです。そのおもな原因が「血流障害」です。血流が乏しくなることで腰痛が増強したり、出現したりします。

冷えると腰痛は悪化するの?その原因を知ろう

慢性的な腰痛の場合は温めることで症状が緩和することが多いのです。その場合、逆に言えば冷やすことで症状が悪化するとも言えます。温めて症状が緩和し、冷えることで腰痛が悪化するのならば、「血流障害」が腰痛症状に関与していると考えられます。

冷えるとどうして血流が悪くなるの?

冷える=寒冷刺激。寒冷刺激は痛み刺激と似たような刺激と、とらえられます。自律神経である交感神経の活動を活発にします。交感神経が刺激されると、人体の血流に対する反応として「血圧が上がる」、「脈が速くなる」、「血管が収縮する」などが見られます。血管が収縮し、体表面からの距離が生ずることで体熱の放散を防ぎ、体の中枢温低下を防ごうとするのが、冷えに対しての一般的な反応です。

冷えによる血流障害が腰痛に与える影響

冷えたからといって、誰しもが腰痛になるわけではありません。もともと腰痛や腰部の重さやだるさなどの自覚症状があり、そこに血流障害が加わることで、腰痛が出現したり、悪化したりします。血流障害が生じると、筋肉が緊張してこわばることで、体動時に違和感や痛みを感じやすくなります。また、筋肉を酷使し産生された疲労物質である乳酸が滞りやすくなり、これも重さやだるさや腰痛の原因です。こうして、筋肉がさらに凝り固まり、緊張が高くなることで、さらなる腰痛悪化につながる悪循環に陥ります。

温めること=「温罨法(おんあんぽう)」。上手に利用し腰痛緩和を目指す

多くの腰痛は温めることで血流を改善し、筋肉の緊張が緩み腰痛は緩和します。筋性疲労物質である乳酸も流れることで疲労感も軽減します。この温めることを「温罨法」といい、患部の安静や安楽のためばかりではなく、心地よさによってリラクゼーション効果も得られ、ストレスを軽減する効果も期待できます。適切な方法で行うことで腰痛軽減につながります。

温罨法とは

温罨法とは身体の一部に温度刺激(今回は温熱刺激)を加え、血管・循環器系・筋系・神経軽に作用させ鎮痛や消炎を図る治療法です。安静や安楽、リラクゼーション目的で手軽に実施できますが、症例を見誤ると症状を悪化させ、有害事象を引き起こす可能性があります。

温罨法による代表的な有害事象は低温やけどです。一般的に、健康な肌である場合、直接肌に触れる温度は42度以下とされています。43度以上で低温やけどの可能性が高くなり、45度以上で肌の痛覚が刺激されます。直接貼用して温める場合には、42度を超えないように気をつけましょう。

温めてはいけない腰痛があることも忘れずに!

多くの慢性腰痛は、温めることで血流が改善し、腰痛が緩和しますが、温めることがかえって腰痛を増強させかねない場合もあるので、注意が必要です。突然腰痛が出現した、急に腰痛が悪化したなど、劇的に症状が変化した場合には要注意。急性の炎症が起きていることによる腰痛である可能性が高いため、この場合には温めることは逆効果です。外観上、腫れている、赤みを帯びている場合にも避けた方がよいでしょう。化膿性脊椎炎などの感染が原因となっている場合にも、温めるのは禁忌です。

温罨法の相対的禁忌

前述したとおり、腰痛の状態そのものでも温めることが禁忌の症例もありますが、腰痛には関係がなくても、全身状態によっては温罨法を施行するにあたって、病状を悪化させてしまうことがあります。基本的には、急性期炎症症状がある場合は、温罨法を行うことで症状が悪化します。また、消化管の炎症や出血症状がある場合にも、病状を悪化させることがあるので避けた方がよいでしょう。血圧が高い場合にも注意が必要です。

腰痛以外の基礎疾患を有していて、炎症反応が強い場合や、循環動態の異常がある場合には、担当の医師に温罨法の実施について一度相談してみることをおすすめします。

自宅で温罨法を実施する場合

自宅で手軽に行える罨法で、患部に直接貼用できるものの代表に「カイロ」があります。そのほかに温めたタオルをビニール袋に入れて使用する「手作り温シップ」もよいでしょう。湯たんぽや貼付剤としての温シップなども有効です。前述したとおり42度以下で用いるのが原則ですが、快適な温度は人によって異なります。自分で実際に使用してみて、快適な温度で使用をするとよいでしょう。

日常生活で行える血流改善

温罨法以外でも、日々の生活のなかで血流を改善できるような生活を送ることも大切です。日ごろから意識して取り入れ、腰痛の悪化防止に努めましょう。日常生活において、自然な流れで取り入れられて、負担がかからないようなものを継続し、習慣化するとよいでしょう。

入浴は湯船につかる

最近では、時短や節約のために入浴はシャワーのみで過ごす方も多いようです。腰痛があり、とくに慢性化している場合には、毎日湯船につかり、入浴することで血行が促進します。この血行促進効果は、入浴による副交感神経が優位になった状態です。副交感神経が優位になることで、血管が拡張し、血行が促進します。また、血流が改善することで筋肉の疲労物質が運搬され、代謝が活性化し、痛みを和らげます。

また、しっかりと肩までつかった場合、体へかかる浮力は、およそ1/10ほどといわれています。普段上半身の体重を一身に受けている腰部もその負担が軽減され、筋肉自体のコリやハリも改善されます。副交感神経が優位になることで、リラックス効果も期待できます。

湯の温度は38度~40度とし、この温度は一番リラックス効果が高いとされています。これは副交感神経が優位になる状態ともいえます。反対に高すぎると、温熱刺激による交感神経が優位な状態になりますので、これまでの述べた効果は得られにくいのです。湯の温度により一時的に熱さは感じますが、熱さにより血管収縮刺激につながりますので、湯冷めしやすくなり、かえって腰痛を増強することになりかねません。

着衣による保温と腰痛体操やストレッチでの血行促進をはかる

着衣による血流維持をはかりながら、腰痛体操やストレッチをすることで腰部の血行促進をはかります。腰痛体操やストレッチで、筋力低下を防ぎ、凝り固まった筋肉を伸ばし・ほぐすことで血流改善へとつなげます。腰痛体操やストレッチ、ウォーキングや水泳などは比較的腰への負担が少なく、血行促進効果が高い運動です。毎日少しずつ、腰部のコリや違和感を覚えたときに行うことをおすすめします。

まとめ

いかがでしたか?一見腰痛と関係ないと思われがちな「冷え」ですが、冷えこそが腰痛の主要原因でもあるのです。季節や暖房・冷房器具の設定温度によってはどうしても冷感刺激から逃れなれない場合もあるとおもいます。工夫点を取り入れながらうまく腰痛悪化を防げるように過ごしたいですね。

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腰痛メディア編集部
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