腰痛と時を同じくして手足の関節が痛む場合、腰痛と手足の関節の痛みに関連があったり、同じ原因で起きているという可能性が考えられます。体の中で離れた部位が同じ原因で痛むということがあるのでしょうか。それを考えるためには、まず体の構造がどのようになっているのかを知る必要があります。

関節はどのような構造になっているか

手足の関節が痛い場合に、関節のどの部分が痛くなっているのかを考えるのと、どうして痛くなっているのかの原因を考えることが大事です。
関節は骨、軟骨、関節周囲の靭帯、筋肉などからできています。そのため、痛みが生じているのが骨であるのか、軟骨であるのか、関節のすぐ近くの靭帯か、あるいは筋肉であるのか区別して考えるとよいです。
次に、一般的に関節が痛くなる原因は、打撲やねんざなどの外傷、荷重による軟骨の変性、使いすぎ、細菌などの感染、痛風などの結晶による異物反応などがあります。荷重による関節の痛みは、重力の関係で立った姿勢で地面に近い関節がかかりやすいです。
代表的なのは膝関節です。使いすぎで痛めやすい関節は肩や肘、手首などです。細菌の感染は関節近くの傷口からのこともありますし、遠く離れた場所から血液の流れに乗ってくることもあります。痛風などの結晶による異物反応は、関節液に溶け込んでいる物質が冷えて結晶として析出して起こるため、冷えやすい足先で起こることが多いです。
このように、関節のあたりが痛い場合に、関節のあたりの具体的にどこに痛みが生じているのか、原因が何かを考えるのが、病気の種類や治療にあたって大事になります。

腰痛と手足の関節の痛みが一緒に存在する場合に考えること

腰痛と手足の関節の痛みが一緒に存在する場合、まず、胸痛の原因で起きていることが考えられます。手足の関節と腰の関節は離れた場所にあるので、一般的に同じ原因で起きていると考えるのは難しいかもしれません。むしろ、違う原因で起きている可能性のほうが高いことも考えられます。
腰痛で一般的に頻度が高いのははっきりした原因がわからず自然に治っていく「非特異的腰痛」や急に強い痛みが来て動けなくなる「急性腰痛症」(一般的にはぎっくり腰といわれています)ですし、手足の関節で多いのは、軟骨がすり減っておこる変形性膝関節症、痛風などで足先などにおこる結晶性関節炎、指先の関節で使いすぎが原因とされる変形性関節症の一種でヘバーデン結節などが多いです。このそれぞれ頻度が高い違う病気が別々の関節で起こることは十分可能性があることです。
例えば、腰が急性腰痛症(いわゆるぎっくり腰)で、指先が変形性関節症である「ヘバーデン結節」である場合や、腰がはっきりした原因がなく自然に治っていく「非特異的腰痛」で、足の痛みが痛風などでおこる結晶性関節炎である場合などがそうです。

一方、離れた関節で同じ原因で痛みが出ることがあります。腰の関節に痛みを起こしやすい原因と、手足の関節に痛みを起こしやすい原因を考えて、その中から共通の原因を考えることになります。
腰痛を起こしやすいのは先に挙げた、はっきりした原因がわからず自然に治っていく「非特異的腰痛」、急に強い痛みが来て動けなくなる「急性腰痛症」のほかに、軟骨がすり減っておこる変形性関節症の背骨の場合である「変形性脊椎症」、背骨と背骨の間にある軟骨が近くにある神経を圧迫する「腰椎椎間板ヘルニア」、骨粗しょう症が背景にあって急な圧力や衝撃でおこる「圧迫骨折」、癌などの悪性腫瘍が背骨に転移しておこる腫瘍による痛み、リウマチなどの膠原病が原因で起こる痛み、お腹の内臓が原因で痛みを腰に感じる場合、体の他の部位から細菌が侵入し血液の通り道を通って関節に到達して起こる感染性関節炎などがあります。

手足の関節が痛くなるものとしては、先に挙げた指先の関節で使いすぎが原因とされる変形性の一種であるヘバーデン結節やブシャール結節、親指の付け根で変形性関節症がおこる母指CM関節症、リウマチなどの膠原病が原因で起こる場合、痛風などが原因で起こる結晶性関節炎、細菌などが関節に侵入しておこる感染性関節炎などがあります。
腰痛と、手足の関節がおこりやすくなるものの種類をそれぞれ確認してきましたが、両方に共通して含まれていたものがあります。それらは、使いすぎによって骨と骨の間の軟骨がすり減っておこる変形性関節症(背骨の場合は変形性脊椎症、手の場合はヘバーデン結節、ブシャール結節、母指CM関節症と呼ばれます)、リウマチなどの膠原病が原因で起こる場合、細菌などが関節に侵入しておこる感染性関節炎などです。

変形性関節症で、手足と腰の両方関節痛が起こる場合について考えてみます。いずれも使いすぎることによって起こるため、加齢に伴って発生しやすくなります。人間は手をとても良く使うため、変形性関節症は手に起こりやすいです。一方、人間は立つことによって腰に負担がかかっていて、立位の間は腰が上半身を支える役目があり、脊椎の下の方にある腰椎は変形性関節症が起こりやすいです。同時期に存在することはよくありますが、同時に発生するというよりは、どちらかが先に発生して、その後もう一方が発生することが多いと思います。どちらが先になるかは人によって異なります。影響を与えるのはどれぐらいよく手を使ったか、腰を使ったかで、体重、姿勢、職業、スポーツ、趣味などです。この場合、関節は痛いですが、関節が熱をもつことはまれです。

次にリウマチなどの膠原病で起こる場合を考えてみます。
リウマチなどの膠原病は自己免疫疾患といわれる病気の一種です。自己免疫疾患というのは、免疫という普段外敵を認識して体から排除しようとする仕組みがうまく働かず、自分の組織を外敵と認識して攻撃してしまうことで起こります。外敵と認識する自分の組織は自己免疫疾患の種類により異なります。例えば一般的にリウマチとよばれる「関節リウマチ」の場合は、関節の中の滑膜といわれる組織を攻撃してしまい、関節が破壊されていくとされます。この場合は、基本的には全身同時におこるため、同時期に手足の関節と腰の関節がリウマチなどの膠原病で関節炎をおこし、手足の痛みと腰痛を起こすことが考えられます。この場合、関節は痛く、熱を持ち、はれて、押すと痛いです。

最後に細菌などが関節に侵入しておこる感染性関節炎について考えます。細菌が体に侵入しやすいのは、皮膚や、肺、消化管、腎臓などです。これらの場所から血液の通り道を介して関節に細菌が侵入します。そのため、比較的同時期に体の離れた場所で感染性関節炎が起こることはあり得ることではありますが、頻度は低いと思います。この場合は関節がとても痛く、赤くはれて熱感があり押すと痛く、全身の発熱も伴うことがあります。

まとめ

手足の関節と腰痛が伴う場合、それぞれ頻度の高い痛みの原因が別々に起こることはよくあることです。
そして、同じ原因でおこることもあり、変形性関節症、リウマチなどの膠原病、細菌などによる感染性関節炎などが考えられます。
病院に受診する場合は整形外科で、どこの関節がいつから痛いかということを伝えるとよいです。
病院では、関節を触診したり、レントゲン写真や血液検査などをして原因を特定し、診断が決まるとそれに合わせた治療が行われることになります。

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腰痛メディア編集部
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