ストレートネックを解剖学的に解説

腰痛に悩まされる日々は非常にストレスが溜まります。その腰痛の原因が「首の骨のかたち」に原因があるかもしれません。
スマートフォンをよく見る方、パソコンを良く触る方、料理を仕事にしている方々に質問ですが、ストレートネックという言葉を耳にしたことはありますか。本来、頚椎(首の骨)は自然にカーブしています。しかしこのストレートネックではそのカーブが失われ、まっすぐになっている状態のことを指します。男女比でいうと女性のほうがやや多く、日本人の7割近くがこのストレートネックに悩まされているという統計があります。確定診断には頸部のレントゲン検査が必要であり、長年自分のストレートネックに気が付いていないという方も多くいます。
ストレートネックでは頚椎の異常にとどまらずその周辺の筋肉・血管・神経が引き延ばされたり、不自然な力が加わったりすることで全身にさまざまな症状が出現します。日本人の多くが悩まされている腰痛もそのひとつです。頚椎から腰椎は1本の骨でつながっているので頚椎の不調で腰痛が出現することは何ら不思議なことではないのです。そんな「ストレートネック腰痛」について本記事では詳しく解説していきたいと思います。

ストレートネックには2種類ある

そんなストレートネックには2つのパターンが存在しています。治療のしやすさやなどもそれぞれ違います。共通しているのはそのどちらとも腰痛につながる可能性があるということです。

先天的なストレートネック

非常に稀なケースでありますが、「生まれつきの骨のゆがみ」が原因で先天性のストレートネックの方がいます。高齢者に多く、ストレートネックそのものの治療が難航するタイプの方です。腰痛に対する対症療法が向いています。

後天的なストレートネック

ストレートネックの方のほとんどがこの後天的なタイプです。特に電子機器を良く触る若年層の世代に多く、生活習慣などからストレートネックになってしまっている方です。重症でなければ、もともとの骨に異常はないので、ストレートネックそのものの治療に前向きに取り組めます。ストレートネックが原因で腰痛が発生している場合、根本的な治療につながります。

ストレートネックだとなぜ腰痛が発生するのか

人間の頭部の重さは、平均的な体格の方で体重の約1割程度あるとされています。自然な頚椎のカーブはクッションの役割を果たしたり、頭部の重みが体の重心に向かって降りたりするために必要なものです。ストレートネックの場合だと自然と姿勢は猫背になり、重心がズレ、それを挽回するように背中や肩の筋肉が本来以上に働きます。そして、頚椎から腰椎までは1本の骨でつながっているので、結果的に腰へ不自然な体重がかかるようになることで腰痛が発生してしまいます。

ストレートネックのセルフチェックと原因分析

ストレートネックはレントゲンなどの画像診断で確定されますが自宅でセルフチェックが可能です。壁に背中をつけて立ち「かかと・腰・肩甲骨」を壁につけます。その状態の時に、後頭部が壁から離れてしまっている方は「ストレートネック」の可能性が高いです。
頭を壁につけることができる方はまだ改善の余地がありますが、「頭が壁につかない」、「頭を壁につけようとすると身体が痛む部位がある」という方は重症ストレートネックの可能性があります。
それでは、実際に日常生活を送るうえでどのような行為、姿勢がストレートネックの原因になってしまっているのか解説していきます。下記の項目に当てはまる方はストレートネック腰痛の可能性が「大」です。

生活習慣がストレートネックの原因

①スマートフォンやパソコン作業の見直し
スマートフォンやパソコンを操作する際に、前傾姿勢になる(猫背)ことで、ストレートネックは発症します。これが毎日長時間になると電子機器を操作していない場面でもストレートネックが癖づいてしまい、常に腰部含め全身の至る所に負担をかけてしまっています。
仕事上、スマートフォンやパソコンを使用する機会を減らせないという方もいると思います。そんな方も20分に一回は背筋をのばす、歩行する、ストレッチを取り入れるなどといことが効果的だといわれています。

②寝具の見直し
入眠時に「高い枕じゃないと眠れない」という方も多いですよね。実はこの高すぎる枕は頚椎の自然なカーブを崩してしまうので注意が必要です。枕選びは非常に難しいので、寝具屋で相談しながら購入することをオススメします。

③普段から猫背の方
普段から「姿勢が悪い、猫背」と指摘される方はストレートネックの可能性が高いです。腰痛も発症しやすいので姿勢の改善に挑戦してみましょう。自分で意識的に姿勢を変えることは難しいので他者の協力があると尚、効果的です。

④料理やピアノなどの趣味を持っている方
ここ数年は世の中の状況的にも休日も家庭で過ごす方が多くなっているのではないでしょうか。料理中の前のめりになる姿勢や、ピアノ演奏中の前傾姿勢などもストレートネックの原因とされています。家庭で充実した時間を過ごすことはよいことですが、長時間になる場合は、電子機器操作と同様に20分おきに休憩を取り入れるのがストレートネックや腰痛の悪化防止になります。

効果的な理学療法を実施する

 腰痛の原因がストレートネックだと分かった際にはさまざまな治療方法があります。電気治療器を使用した血行促進や筋肉の緊張緩和はストレートネックに効果があるといわれています。電気治療器の取り扱いは、整形外科でもすべての病院やクリニックで取り扱っているわけではないので、事前にリサーチが必要です。
また、ストレートネックの治療には、姿勢矯正と手技療法も効果的とされています。リハビリテーション外来やクリニックなどで理学療法(リハビリテーション)に挑戦してみてください。手技療法としてのマッサージが受けられたり、姿勢矯正のために正しい姿勢で過ごすコツや、効果的な体操やストレッチなどの指導が受けられたりします。
日常生活で獲得してしまったストレートネックは生活習慣の改善で治していくのが最も自然なことです。長期的な治療になりますが、腰痛改善のためにも根気よく続けていくことが必要です。

腰痛の対応は薬剤を使用するのも効果的

現在腰痛で悩まされている場合には、ストレートネックの治療にこだわり過ぎず、鎮痛薬などを使用しましょう。精神的な苦痛を緩和するためにも疼痛・症状のコントロールをすることが大切です。
身体のどこかに疼痛があるとそこをかばうように身体が無意識に動いてしまいます。つまり、理学療法などを行っても本来の効果が十分に得られない可能性があります。腰痛の根本的な治療は短時間で出来るものではありません。無理をして逆に悪化するという事態にならないようにしましょう。
ストレートネックの治療も、腰痛の治療も整形外科の受診となります。リハビリテーションに力を入れている病院や、腰痛治療に力を入れている病院などさまざまな特徴がありますのでお住いの地域でリサーチしてみてください。

まとめ

本文でも述べたように、ストレートネックは高齢の方では先天的といわれていましたが、現代の若者に発症している場合は、通称「スマホ首」とも呼ばれるように、その多くが生活習慣から発症しているといわれています。
逆にいえば生活習慣を見直すことで、ストレートネックも改善される可能性があるということですね。悩まされている腰痛も根治の可能性がみえてきましたね。この記事を読んでいただけた機会に、ぜひ腰痛改善へ前向きになれれば幸いです。

参考文献
著 加藤 光寶『運動器 成人看護学』[系統看護学講座 ]出版社 医学書院, 発行年 2014
著 坂井建雄 / 岡田隆夫『解剖整理学』[系統看護学講座 ]医学書院, 発行年2014
著 武田宣子『リハビリテーション看護』[統計看護学]出版社 医学書院, 発行年 2015
著 竹谷内康修『頚椎症の名医が教える竹谷内式首トレ5分の体操で首の痛み・肩こり・腕のしびれが消える』出版社 徳間書店, 発行年 2020
日本整形外科学会

著者情報

腰痛メディア編集部
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