「肩こり」は腰痛に次いで現代人が抱えている有訴症状の代表です。

これは厚生労働省の調査でも明らかになっています。肩こりとはいいますが、実際には肩から首筋、背中や肩甲骨(けんこうこつ)の方までに広がる「こり感」であるといえます。肩こりは現代人が抱える有訴症状として、腰痛とともに2代症状といわれています。腰痛も肩こりも慢性化する傾向があり、また、職業的な素因から、日常生活動作が要因になるなど、その原因も現代においてはさまざまです。

肩こりの原因とは

肩こりの要因はいろいろと考えられてはいますが、おもな原因は筋肉疲労による乳酸の蓄積だと考えられています。乳酸がたまると筋肉が凝り固まり、ます。筋肉全体が浮腫んでいる状況になるので、前述した疲労物質の乳酸が、静脈灌流(じょうみゃくかんりゅう)により運搬されにくくなります。また、実際のところ、乳酸以外にも疲労物質としてカリウムやブラジキニンなどの物質がたまります。これらは一部、痛みを発する物質といわれています。肩こりが純粋なこり感だけにとどまらず、慢性化することにより痛みを生ずることになる要因です。

筋性疲労からくる肩こり

一般的な筋性疲労による筋痛であれば(運動後の筋肉痛)であれば、通常2~3日もあれば改善しますが、肩こりや腰痛に関しては同じように数日で改善することが難しいケースも多々あります。つまり、肩こりや腰痛は慢性的に発生することが多々あるのです。

その理由は頭の重さに由来する筋肉疲労です。人間の頭部は一般的に体重の10%程度になるといわれています(個人差はありますがおよそ5~7㎏程度でしょう)。通常であれば頭の重さをしっかり支えられるように体の構造はできているはずですが、運動不足による筋肉の脆弱化や、デスクワークや猫背などにより、頭の重さの負荷が一部に特化してかかっている場合、枕などが合わずに筋性疲労が睡眠により回復せずに、むしろ蓄積する場合などで肩こりは慢性化します。この原因は腰痛にも通じるものがあります。

慢性的な肩こりを実感する人の多くは腰痛を併発している人も多い傾向があります。

ジストニア

肩こりのもう一つの要因として着目されているのが「ジストニア」です。ジストニアとは、医学的には「振戦(しんせん)」と呼ばれる筋肉の不随意運動(ふずいいうんどう)を指します。通常筋肉は、屈筋(くっきん)と伸筋(しんきん)が交互に動くのですが、持続的に緩やかに特定の筋肉だけが収縮する状態が起こることがあり、この不随意運動を「ジストニア」と呼んでいます。

ジストニア症状が起こった結果として肩こりが生じていることもあります。ジストニアの語源としては「異常な緊張」といわれています。たとえばですが、長時間顔を横に向けてテレビやスマホを見ていた後に、正面を向いたときに、首や肩が異常に痛かった、顔を正面に向けるのがつらかったことはないでしょうか。これは脳が一時的に横を向いた姿勢を「正常な位置」と認識し、正面の姿勢を「異常な位置」と認識することによっておこるといわれています。顔の向きを「正常な位置(この場合は横向き)」に戻そうとして、異常な筋肉の収縮がおこり発症する症状です。軽度のジストニアの場合は、見過ごされることも多いのですが、肩こりの全体の20%がジストニアであるとも言われています。ジストニアを併発している人は、多くの場合、ひどい肩こりに悩まされているケースが多いようです。

肩こりの対処法・治療法

筋肉疲労性の肩こりであれば、多くの場合、マッサージで筋肉の疲労物質を除去し、こりをほぐす、姿勢を正すなど、新たに疲労物質を蓄積させないようにすれば、肩こりは改善するはずです。しかしながら、それでも肩こりが改善しない場合は、「ジストニア」が潜在していることも考えるとよいでしょう。本当のジストニアであれば、医学的治療が必要になってくるケースもあります。

筋性疲労からくる肩こりの対処法

筋性疲労からくる肩こりであれば、マッサージ、ストレッチなど、筋肉の疲労物質を運搬、コリを解消、新たな疲労物質の蓄積を防ぐことが大切です。整骨院やマッサージでの治療ももちろん有効ですが、日々自分の生活の中で取り入れ、毎日の疲れを残さないことも重要です。

マッサージは自分ではない人に依頼することが多いとおもいますが、この場合、強くもみすぎないように気を付けます。人によっては強くもむことで、一時的に筋疲労物質が運搬され心地よさを感じることもあるでしょう。しかし、筋肉に強い力を加えると、細かな血管が傷つき、かえって充血しかねない要因にもなります。このような状態をもみかえしと呼んでいます。また、何度も同じような状況を繰り返すと、修復の際に線維組織が増えて、組織が固くなってきます。これも、さらに老廃物の運搬を阻害する要因になりかねません。マッサージは適度な力でおこなうようにしましょう。

デスクワークなどで、姿勢を長時間保持するときには、ストレッチはできれば30分に1回、血流を促す目的で行います。首を気持ちがいい程度に左右に倒すとよいでしょう。両肩を上にあげて、重力に身を任せるイメージで肩の力を抜き、両腕をすとんと落とします。姿勢を崩せるなら、両手を後ろ手にもってきて、グッと伸ばし、真上に挙げて伸びをするのもよいでしょう。合わせて腰をもんだり、そらしたりすると、腰痛予防にもつながります。

ジストニアが要因の肩こりの対処法

ジストニアの場合は、マッサージやストレッチはあまり効果がありません。ジストニアでも筋性疲労も併発していることが多いので、一過性に症状が軽減することはありますが、解消することはありません。ジストニアを併発している場合は、マッサージやストレッチをしても、ほとんどの場合数時間で元に戻ります。この場合は、ジストニアの症状として、その他対処を検討してみる方がよさそうです。

ジストニアの治療は多くの場合「薬物療法」が有効です。ジストニアに効果的な薬としてトリヘキフェニジル(アーテン®)という薬があります。パーキンソン病の治療にも使われている薬ですが、この薬が功を奏することがあるようです。また、その他の薬として筋弛緩薬ダントロレン(ダントリウム®)やバクロフェン(ギャバロン®)なども一定の効果を上げているようです。投薬治療は、肩こりを感じている間使用して、改善してきたら徐々に使用回数を減らす、症状が再燃したらまた内服を初めて行くといったように、症状にあわせて内服量を調整します。継続的に内服している人もいれば、内服が必要なくなるケースもあるようです。

まとめ

いかがでしたか?腰痛と同時に起こることも多々ある「肩こり」。通常の筋性疲労であれば、自分自身の日々の積み重ねで解消できることもあるとおもいますが、医学的介入が必要になるケースもあります。自分の症状を見極めて、慢性的に起こる腰痛とともに改善できると良いですね今回の記事が肩こりにお悩みの方の参考になれば幸いです。

以上

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腰痛メディア編集部
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