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さまざまな要因から引き起こされる腰痛ですが、冷えも腰痛の原因になり得ることをご存じでしょうか?特に「冬になると腰が痛くなる」、「お風呂に入ると腰痛が楽になる」といった症状に身に覚えのある方は、冷えによって腰痛を発症している可能性が十分に考えられます。

そこでこの記事では、冷えと腰痛がどのように関係しているのか、メカニズムなどを解説したうえで、具体的な対処法を3つご紹介します。いずれも今日からすぐに実践できる方法ばかりですので、日頃から腰痛にお悩みの方はぜひ参考にしてください!

腰痛は原因不明が全体の8割!

人によって原因も症状も異なる腰痛ですが、腰痛は「器質的要因による腰痛」と「非特異的腰痛」という2つに分類できます。

腰痛の分類 1:器質的要因による腰痛

まず「器質的要因による腰痛」とは、骨や筋肉に異常があることで引き起こされる腰痛のことを指します。アスリートのように日頃から腰に強い負担がかかっている人が発症しがちで、例えば腰痛の症状として有名な椎間板ヘルニアは、この「器質的要因による腰痛」に該当します。

医療機関を受診すればX線検査などですぐに原因を特定できますが、この「器質的要因による腰痛」にあてはまるケースは、腰痛全体のわずか2割以下に過ぎません。

腰痛の分類 2:非特異的腰痛

もう一つの「非特異的腰痛」とは、医療機関を受診しても原因が特定できない腰痛のことを指します。特に大きなダメージによって腰を痛めたというよりは、日常生活の中で気が付いたら腰が痛むようになったというケースがほとんどです。

腰痛における「非特異的腰痛」は、なんと全体の8割を超えています。もし「体が冷えると腰が痛くなるかも?」という自覚症状がある方は、こちらの「非特異的腰痛」に当てはまる可能性がきわめて高いと言えるでしょう。

「冷え」と「腰痛」の意外な関係。夏場にも要注意!

一見「冷え」と「腰痛」には何の関係もなさそうですが、実は冷えは腰痛を引き起こす原因となり得るのです。ここからは両者の意外な関係性を紐解いていきましょう。

冷えと自律神経の関係

冷えと腰痛の関係性を理解するためには、まずは自律神経の働きを理解しなくてはなりません。自律神経とは、内臓・血管・筋肉などの働きをコントロールし、体内の環境を整える神経のことです。

冬のように外気温が低下することで体が冷えると、体から熱を逃がさないようにと自律神経が活発に働きます。すると筋肉や血管は収縮し、私たちの体は体温をキープすることができるようになるのです。

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冷えによる血行不良が腰痛の原因に

しかし、ここで注目するべきなのが、寒さにより「筋肉や血管が収縮する」ということです。体温を維持するために欠かせない作用ではありますが、筋肉や血管が収縮すると必然的に血行不良を招いてしまいます。

血行不良は慢性的なコリや痛みを引き起こす大きな原因です。特に骨盤周りの筋肉が硬直してしまうと腰周辺の筋肉に大きな負担がかかってしまうので、腰痛にお悩みの方は特に骨盤周りを意識すると良いでしょう。

冷えが原因の腰痛を放っておくと悪化のもとに

冷えが原因で腰痛を発症している場合、暖かくなると腰痛が改善されるというケースも十分に考えられるでしょう。しかし、冷えによる腰痛を放っておくと、痛みをかばうために姿勢が悪化してしまい、そこから体の歪みが生まれて慢性的な腰痛に発展するケースもあります。

姿勢が悪化すると体全体のバランスが乱れるだけでなく、場合によって内臓器官の働きが低下してしまうことも珍しくありません。そのため、「暖かくなったらよくなる」と放っておくのではなく、改善に向けて何かしらの対策を練ることが非常に大切なのです。

また、冷えが原因の腰痛は、必ずしも冬だけに発症するとは限りません。夏場であっても冷房が効いている場所に長時間いると、腰痛を発症してしまう可能性が十分に考えられます。特に女性の方は7割以上が冷え性と言われていますので、夏場でも体を冷やさないよう十分な対策が必要不可欠です。

冷えによる腰痛を改善する6つの方法

冷えによる腰痛を防ぐためには、どのような方法が効果的なのでしょうか?

冷えによる腰痛改善法 1:入浴

冷えによる腰痛を改善する方法として、最も効果を実感しやすいのが「入浴」です。半身浴は特に有名ですが、冷えを改善するにはぬるめのお湯にゆっくりつかることが理想とされています。これにより体の芯からしっかりと温まることができ、筋肉のコリも自然とほぐすことができるのです。

「普段は忙しくてシャワーで済ませることが多い」という方は、まずはお湯につかる日数を意識的に増やしてみましょう。特に冬場においては、シャワーだけでは体が十分に温まらず、逆に冷えを貯め込んでしまう原因となります。

また、「熱いお風呂に入るのが好き」という方も、十分な注意が必要です。熱いお湯は一時的に体の表面を温めることはできますが、お風呂から出ると体温はすぐに下がってしまいます。体が温まった気にはなりますが、長い目で見ると冷えやすい原因にもなってしまいますので、湯温を下げてできるだけ長く入浴することを心がけてください。

冷えによる腰痛改善法 2:衣服

冷えによる腰痛を改善する方法として、「衣服」に注意するのも効果的です。特に体が冷えやすいという方は、下半身を温めることを意識してみてください。

女性の方は、なるべくスカートは避け、パンツスタイルのファションを取り入れるのがおすすめです。「スカートの方が好き」という方は、必ず厚手のタイツやスパッツを併わせて着用するようにしましょう。

足元はブーツなどの保温性に優れたものを選ぶことがポイントです。パンプスやヒールだと足から全身に冷えが伝わってしまうので、冬場にはなるべく避けたほうが良いでしょう。足が冷えてしまうと、冷えた血液が腰を通って心臓に戻ることになるので、必然的に腰周辺も冷えて負担も大きくなってしまいます。

また、お腹周りには腹巻を着用するのがおすすめです。お腹周りを温めるだけで体温も下がりにくくなり、冷え性改善に抜群の効果をもたらしてくれます。「腹巻はなんとなくダサい」といったイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、近年はファッション性の高い腹巻や夏場でも使用できる薄手の腹巻なども出ていますので、おしゃれに敏感な方にもおすすめです。

冷えによる腰痛改善法 3:食事

冷えによる腰痛を改善する方法として、最後にご紹介するのが「食事」です。体が冷えやすい方は冷たい飲み物は避け、なるべく体を温める食材を意識して摂ることが大切です。

体を温める食材としては、肉類なら鶏肉、魚類ならイワシ、エビ、カツオ、野菜ならカブ、カボチャ、白ネギ、ニラ、カブ、ショウガ、ニンニクなどが挙げられます。サラダなどは体温を下げる可能性もありますので、できる限り火を通して、温かくして食べるのが良いでしょう。

飲み物も、糖分の多い清涼飲料水やコーヒーなどは避け、紅茶やジャスミン茶、ココナッツミルクなどをホットにして飲むと効果的です。

冷えによる腰痛改善法 4:ストレッチ

じっとしているとさらに血流が悪くなり、より腰痛がひどくなります。それを防ぐために、筋肉を動かして血流をよくし、冷えを改善しましょう。

ストレッチはいつでもどこでもできます。じっとしてこわばった筋肉を動かすことで血流もよくなるでしょう。座ってできるストレッチ、立ってするストレッチを紹介します。

座ってするストレッチ

オフィスの椅子に座ったままできるストレッチです。
椅子に浅く腰掛けて右足を床と平行に伸ばします。つま先をまっすぐにして10秒キープ。次につま先を上に向けかかとを押し出し、そのまま10秒キープ。左足も同じことをします。

立ってするストレッチ

自宅など、身体を動かせる状況にあるのでしたら、立ってストレッチをしてみましょう。ずっと同じ姿勢を取るのは腰によくありません。それを防ぐためにも定期的に立ち、ストレッチをしてみませんか。

腕振り

立った状態で腕を前後に大きく振ります。前後で1回と数えて30回腕をふりましょう。

脇のストレッチ

立った状態で右手を真上にあげます。そのまま左側に傾けましょう。右側のわき腹が気持ちよく伸びます。20秒間キープ。反対側も同じことをし、これを数回繰り返します。

太もものストレッチ

立ったまま右足のかかとをお尻につけるように膝を曲げます。右手で右の足首を持ちましょう。そのまま15秒キープ。太ももの前の筋肉が伸びるのを感じます。反対側も同じことをしましょう。両足が終わったら次は太ももの後ろ側の筋肉を伸ばすために前屈します。

冷えによる腰痛改善法 5:ふくらはぎを鍛える

冷えを改善するためには「ふくらはぎ」がキーポイント。ふくらはぎは第二の心臓と呼ばれているほど、血液循環に関係のある場所です。心臓はポンプのように作用して、全身に血液を送っています。しかし、下半身は重力の関係もあり、心臓だけでは負担がとても大きくなります。そこで、ふくらはぎの筋肉の収縮がポンプの役割をし、下半身の血液を心臓に戻すお手伝いをしているのです。

ふくらはぎの筋肉量が少なかったり、動かさなかったりすると、そのポンプの役割がうまく果たせません。つまり、血流が悪くなります。血流をよくするためにはふくらはぎに筋肉をつけたり、運動したり、マッサージしたりするのがおすすめです。

筋トレ

簡単にできるふくらはぎの筋トレに、「つま先立ち運動」というのがあります。立った状態でつま先立ちになり、かかとを床ぎりぎりまで降ろしますが、床にかかとはつけません。またかかとを上げ、つま先立ちになります。これの繰り返しです。

運動

ふくらはぎの運動はウォーキングが手軽でしょう。激しい運動ではないので取り入れやすいかと思います。またウォーキングをすることによりリフレッシュし、ストレス軽減にもつながるでしょう。

マッサージ

ふくらはぎのマッサージも全身の血流をよくするために有効です。血液を心臓に戻そうとイメージしながら行いましょう。足首から膝に向かって血液を押し上げるようにマッサージしてください。体が温まっているときに行うのがおすすめですので、湯船の中やお風呂上りにマッサージしましょう。

冷えによる腰痛改善法 6:漢方

もしあなたが、夏でも手足が冷たい、布団に入っても手足が冷たくて眠れない、たくさん着込んでも寒い、などの症状があれば冷え体質なのかもしれません。冷え体質を放っておくと、腰痛のみならず、頭痛や肩こり、肌荒れ、生理不順、膀胱炎、腎炎などの原因にもなります。冷え体質を改善するために漢方を取り入れるのはいかがでしょうか。

漢方には西洋医学にはない「気血水(きけつすい)」という診断方法があります。気と血と水がバランスよく調和がとれていることが大切ですが、不調を感じる方は、そのバランスが崩れているということです。

冷え症の方も、もちろん何らかのバランスが崩れて冷え体質になっていて、そのバランスの崩れは大きく分けて2つのタイプがあります。1つが、熱が不足しているタイプ、もう1つが熱量は足りているけれど、「気血水」のどれかが滞っていて循環がうまくいっていないタイプです。

それぞれのタイプによって、飲むとよい漢方薬の種類が違います。漢方薬を取り扱う病院や薬局に行けば、あなたの体質を診断してくれるでしょう。そこまでしなくても、という方はインターネットでも診断できるサイトがあります。そのようなサイトを利用すると手軽に自分の体質を診断できますね。

ここでは体質別に、冷え対策のために飲むとよい漢方薬の代表的なものを紹介します。

熱が不足して冷えている方

熱が不足している原因が、熱を作る力が足りない気虚体質の方は八味地黄丸(はちみじおうがん)を飲むとよいでしょう。

熱を作り出す薪が不足していて、身体の熱が少ないタイプ・血虚体質の方は当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)がおすすめです。

循環がうまくいかず冷えている方

ストレスなどで「気」のめぐりが悪くなっているタイプ・気滞体質の方は半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)を飲んでみてください。

血の巡りが悪くなっていると局所的に冷えやすく、末端や下半身が特に冷たく感じます。このような瘀血体質の方は桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)を飲んで血の巡りをよくしましょう。

水の巡りが悪くなっていると体に余分な水がたまり、その水で体が冷える水滞体質の方には牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)が代表的な漢方薬です。

冷えがつらく、そのせいで腰痛もひどくなるという方は、漢方を取り入れて、本気で体質改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。

冷えを改善して腰痛のない日常を手に入れよう!

「慢性的な腰痛で毎日が退屈」という方も多いかもしれませんが、冷えを改善すればそうした厄介な腰痛が解消される可能性も十分に考えられます。特に冬場になると腰が痛むという場合には、今回ご紹介した方法で腰痛が改善する可能性が高いと言えますので、ぜひご自身の生活スタイルに取り入れてみてください。

腰痛がない暮らしが手に入れば、腰だけでなく気持ちも楽になります。毎日のちょっとした工夫で腰痛は十分に改善できますので、ぜひ冷えを改善し、腰痛のない幸せな毎日を手に入れましょう!

◆参考資料
http://www.hisamitsu.info/jikabari/contents/article/taisaku004.html
http://www.hisamitsu.info/jikabari/contents/article/taisaku003_03.html
https://kirin-seikotsu.com/symptom/coldness
https://kirin-seikotsu.com/symptom/coldnesshttps://fukuyama-seikotsu.com/%E5%86%B7%E3%81%88%E3%81%A7%E3%82%82%E8%85%B0%E7%97%9B%E3%81%AF%E8%B5%B7%E3%81%93%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%EF%BC%81%E5%8E%9F%E5%9B%A0%E8%A7%A3%E8%AA%AC/

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腰痛メディア編集部
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