自律神経の乱れにより、腰痛が慢性化している可能性があります。
慢性的な腰痛には、心理的ストレス・肉体的ストレスのどちらからもアプローチが可能。
この記事では「血流」にフォーカスして腰痛のメカニズムを解説するとともに、オススメの改善方法を提案します。

メカニズム編「血行不良が引き起こす腰痛」

自律神経と腰痛の関係

私たちの身体は、中枢神経を司令塔として、脳・こころ・体が互いに影響しあって活動しています。中枢神経は ”痛い!冷たい!” などの情報を聞きつけた際、どのような対応をしようかと対策会議をする場所。この中枢神経の配下にある神経のひとつが「自律神経」です。自律神経は、交感神経と副交感神経からなり、その働きを調節しています。自律神経の乱れは、血行不良を引き起こし、あらゆる部分の筋肉が硬くなります。すると、活動が億劫に感じられ、身体を動かさなくなります。悪循環が生じて、さらに筋肉はこわばってしまうのです。腰痛を引き起こしてしまう理由のひとつです。

腰痛が起きると、多くの場合は病院で痛み止めを処方してもらったり、腰のマッサージに行ったりすることでしょう。腰を単パーツで考えると、このような対策をしたくなります。しかし、この行動は応急処置に過ぎません。腰痛が起きた際はまず、冷えていなかったか、足を良く動かしていたかを思い出しましょう。生活習慣にひそむ問題点に気づくチャンスでもあります。

腰に位置する「腰椎」は、もともとアクティブな関節ではありません。動かない方が良いとされています。股関節が動くことで、しゃがんだり立ち上がったりできているのです。動きの良い股関節などが運動不足となれば、血行不良が起こります。そして動きづらくなれば、本来動くべきではない腰椎が、無理に動くことになり腰痛が起こるのです。股関節をはじめ、膝や足首の関節や腰椎を支えるまわりの筋肉など、全身的な動きが活発になることが腰痛改善へのステップだといえます。

腰椎が無理に動かなくてよい状況をつくることが、腰痛へのアプローチとしては知っておくべきです。各関節が良く動くように身体全体の冷えや緊張への対策をとっていくべきでしょう。具体的にできる対策は、記事後半で触れていきます。

血流の悪化が筋肉を硬くする

自分がプレゼンテーションをする場面や責任のある会議では、良い意味での精神的ストレスがかかり戦闘モードに入っています。つまり、交感神経が優位な状態になっているのです。精神的ストレスのかかる場面や、長時間のパソコン作業などの肉体的ストレスが腰痛を引き起こす理由の例として下記が挙げられます。

・血流が悪化することにより、筋肉が硬くなる
・前傾姿勢になるために呼吸が浅くなる
・こころの動揺や不安によりドキドキして身構える
など。

浅い呼吸が、交感神経を優位にしてしまい、筋肉をこわばらせます。結果、腰痛を慢性化する追い打ちとなってしまうのです。

腰痛は腰が原因とは限らない

ここまでに、自律神経と腰痛の関係、血流の悪化が筋肉を硬くすることについて解説しました。腰痛の原因は、腰そのものではないということをお察しいただけたのではないでしょうか。

血液は、単パーツごとに流れているのではなく、全身を駆け巡る壮大な旅をしています。仮に体中の血管をつなぎ合わせたなら約10万kmにもなるといわれています。毎日、地球を2,5周、駆け巡っていることになります。どこかで停滞すれば、全身に影響が及ぶのは納得せざるを得ません。

自律神経が引き起こしているトラブルの例をまとめます。

・こころの緊張、長時間の同じ姿勢→交感神経が優位に働く
・交感神経の働きにより血管が収縮→全身の血流が悪化
・血行不良→筋肉が硬くなる(戦闘モード)

などが挙げられます。

なお、筋肉が硬い状態は、頑張るべき場面では必要不可欠な状態でもあります。速く逃げることができる、あるいは戦闘モードに入るために備えられた機能の1つ。スポーツでも、筋肉を硬くすることで能力を発揮できるのです。逆に、筋肉が柔らかい状態は眠っている時をイメージしてください。頑張っている時に硬くなった筋肉には、疲労物質がたまっています。役目を終えたら、副交感神経の働きで回復を促します。睡眠・リラックス時に、疲労物質を血流にのせて排出したり、ダメージを受けた細胞の修復をしたりします。副交感神経がしっかりと働くからこそ、疲れからの回復が実現するのです。

腰痛は、腰そのものが原因とは限らず、血行不良や副交感神経の働きが弱っていることが一要因であることを知っておくとよいでしょう。

アプローチ編「全身的なケアで腰痛改善」

副交感神経の働きで腰痛を改善

自律神経は動くか休むかの判断、実行の役割を担います。交感神経、副交感神経のどちらかが働きすぎても問題を引き起こします。この2つは太陽と月のように、バランスが取れていることが大切です。しかし現代人は、いつでも時間に追われてマルチタスク状態になっています。交感神経が優位に、副交感神経の働きが弱るタイプが大多数なのです。“副交感神経の働きを高めること”こそが、現代人にとっての課題といえるでしょう。

・交感神経→血管収縮
・副交感神経→血管拡張

血管の収縮と拡張が、交互にバランス良く働くことでスムーズな血流が維持されます。ちなみに、副交感神経がもっとも優位になるのは睡眠時です。加齢とともに不眠がちになるのは、副交感神経の働きが衰えていくため。疲労回復力が減退するということですね。現代人の場合は、若い世代でも同じようなことが起きているといえるでしょう。

仕事中にできる血流改善

精神的ストレスと肉体的ストレスが、どちらもかかっている時こそ、片方でも軽くする方法を考えたいところです。頑張っている時だからこそ効果が期待できる、身体へのプレゼントには

・パソコン作業中の脇腹のばし、肩甲骨のストレッチ
・可能であれば、外の空気を吸いに行く
・ストレッチや離席が不可能な場合でも腹式呼吸を意識する

などが挙げられます。座った状態でもできるストレッチには、想像以上の効果を実感できるはずです。また、会議やプレゼンテーションの場でも、出番が終わったら、副交感神経を優位にする深い呼吸を意識すると良いでしょう。腹式呼吸を意識すれば、自然と深い呼吸になります。腹式呼吸について、ここでは触れませんが多くの場面で効果が発揮されると言われています。腰痛改善のみならず、全身の回復が促されるのでトータル的な改善が期待されるのです。

血流改善が腰痛への突破口

腰痛を改善するには、腰そのものにフォーカスするよりも、全身的な改善を意識することがポイント。特に動かしたいのは股関節と膝、足首です。

股関節が動くことが大切

股関節の可動域を増やせば腰を曲げる時に、腰椎への負担を軽減できます。

膝の屈伸運動、足首の運動

膝と足首が健やかであることは、腰にとって喜ばしい状態です。腰への負担を減らすために効果が大きい膝や足首の関節を温め、血流を促すことで改善をはかります。

血液はつま先から脳まで駆け巡るので、特に重要な可動域のみならず、できれば上半身の血流を促すことも意識していきましょう。特に肩甲骨は、可動域がもともと広いので、ストレッチ効果は実感しやすい部分です。精神的リラックスと肉体的リラックスを分けて考えず、その時できる方法で身体を動かす意識を持ち続けることが腰痛改善の突破口となります。

まとめ

今回は、自律神経と血流にフォーカスした腰痛改善を考察しました。自律神経の働きを知るだけでも、リスペクトすべきシステムで私たちが活動できていることがわかります。部分的な対策をしても根本的な解決には至りません。一時的に良くなっても、再び痛みを繰り返す経験をしている人が多いことでしょう。

腰痛を根本的に治すのは、自分自身に他なりません。医師や療法士、マッサージ師など専門家の意見やアドバイスを効果的に採り入れていきましょう。自分のできる範囲で、継続できる方法を選択し、行動することが大切なのです。治してもらうという受け身では、同じことを繰り返してしまいます。慢性化した腰痛の改善には、自らの治癒力を信じ、よりよい毎日を過ごしたいという切実な想いが糸口を見出すでしょう。

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

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