腰痛と保存療法

急性腰痛、慢性腰痛、どちらにしても腰は日常生活で日々酷使する場所です。体を動かす際のかなめともいえる部分、腰に痛み=腰痛を抱えているのは、体を動かすたびに痛みと戦わなければいけない状態であるとも言えます。そんな状態がとてもつらい。何とかしてほしいという思いで病院受診に至る方がほとんどでしょう。神経障害や馬尾神経の障害など、早急に手術をしなければならないケースを除いては、多くの場合最初に選択される治療法は「保存療法」といわれる手術をしないで治療を行う方法です。

腰痛の保存療法には数多くの種類があります。その中で何を選択するかは、その方の病状によって大きく異なります。また、日常生活において、どれだけの治療を行いながら生活ができるのかなどを考えたうえで、治療法を選択し、進めていくことになります。時には適切な効果が得られなかったり、患者さんの生活上の都合により治療継続が困難になったりします。そうなると再び治療方針や進め方などを再検討しながら治療は進められます。

投薬治療

どの患者さんでも、たいてい内服薬による治療は行われます。まずはなによりも現在ある「腰痛」を改善してほしいと誰もが考えたうえで受診するでしょう。そのためには少なくとも「鎮痛薬」は処方されることがほとんどです。急性期を脱し、急性の腰痛が軽減されれば、鎮痛薬の処方は終了となる場合や、頓服使用に切り替えられることがあります。患者さんの希望や症状により、座薬や外用薬なども併用します。

腰痛の原因によっては、骨粗鬆症治療薬、ビタミン剤、ステロイド薬や抗リウマチ薬などを用いることもあります。感染性の炎症が原因となっているケースでは、抗生物質を使用することもあります。

安静

急性期の腰痛などで患部の炎症が激しく、安静が必要なケースでは患部の安静を指示されます。安静というと、ベッドで静かに寝ていることと誤解をする方も多いのですが、実際には「患部の安静」である意味合いで使用されるケースが多く、腰に負担がかからないような日常生活を送るよう心掛けることが重要です。もちろん、急性期の腰痛が激しく、痛みによって動けない場合には無理をする必要はありません。

一方で、安静や鎮痛剤を使用することで腰痛の軽減が認められ、動けるようならば無理をしない範囲で少しずつでも動く方が腰痛の改善につながっているというデータもあるため、過度な安静とならないようにしていくことが重要です。

神経ブロック

激しい腰痛があり、うまくいけば劇的に腰痛を改善させられる、最大の保存療法といってもよいのがこの「神経ブロック」です。腰痛の原因となっている神経に対し、局所麻酔薬やステロイドによる抗炎症作用を狙った注射です。患者さんの状態にもよりますが、効果が実感できるようであれば、数回で症状は改善するケースが多く見られます。劇的な改善がある患者さんは、一回で腰痛がぴたりとなくなったという声も聞かれます。

腰椎ベルト、腰椎コルセット

コルセットやベルトは、固定により腰部の安静を図ることに加え、腰部を支持することで筋肉や体幹の支持性をサポートし、腰痛を軽減させることが目的です。ベルトやコルセットによる支持力が上がることによって、着用者は負担が軽くなり、腰痛が軽減しますが、逆に過度の安静により筋肉が衰え、かえって腰痛の増強を招くことがあります。医師の指示のもと適切な使用方法や期間を守り、正しく使用することを心がけてください。

リハビリ

医療界では運動療法といわれている分野です。腰痛がある場合のリハビリは、その腰痛の原因となっている腰部の筋肉や、脊椎を支える筋肉を強化し、椎間関節の動きを向上させるために行います。筋力が低下すると、そのぶん腰にかかる負担も増大します。筋トレを行い、筋肉を強化することで、腰痛が起こりにくい状態にしていくことが目的です。腹筋や背筋、おしりや下肢の筋肉を強化することが大きな目的で行われますので、急性期の腰痛がある場合には難しく、ある程度症状が落ち着いてから行われる治療法です。

自宅で行えるストレッチや腰痛体操もある

リハビリは病院で行うだけのものではありません。自宅で手軽に行う腰痛体操やストレッチもリハビリのひとつです。外来で通院する場合には多くても週に1回から2回で行うケースが多いのですが、自宅で行う場合は、毎日好きなだけ行うことができるので、これも実は重要なリハビリのひとつです。

しかし、正しい方法で行わないとかえって腰に負担をかけ腰痛が悪化してしまうこともあります。やり方を忘れてしまったり、疲労がたまっているのに無理に繰り返したりはせず、医師や理学療法士と相談しながら進めるようにしましょう。

マッサージ、電気・温熱療法

腰部の筋肉や、腰部を支える筋肉に対し治療を行うことで、筋肉のコリや収縮を緩め、血行を良くすることで疼痛の緩和を図ります。とくに運動療法前に行うことで治療効果を上げ、運動療法後に行うことで、疲労回復が見込まれます。効果やその実感には個人差がありますが、リラクゼーション効果も期待できます。いずれの場合も、急性期の炎症がある場合には腰痛を増強し、症状を悪化させる可能性があるため、使用は基本的に避けられています。

牽引療法

入院して持続牽引をかける方法もありますが、ここでは外来通院で行う間欠牽引として考えます。牽引は腰痛が発生していると考える場所に対し、牽引を行うことで筋肉の緊張を軽減したり、椎間を開いたり、椎体の関節面や椎間板に対する圧迫を軽減する方法としてとらえられています。実は効果については賛否両論ありますが、牽引療法をしていて、患者さんが心地よく、デメリットが無いようならば、継続して行われることが多いようです。

まとめ

いかがでしたか?腰痛改善のために行われる保存療法、実はこれほど多くの種類があるのはご存じだったでしょうか?手術が必要なケースもありますが、多くの場合、腰痛に対する初期治療は保存療法が選択されます。手術が怖くて自己対処しているうちに症状がどんどん悪化し、本当に手術が必要な状態になってしまうこともしばしばあります。症状が悪化する前に病院受診することで、保存療法での症状改善が見込まれるかもしれません。今回の内容が参考になれば幸いです。

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腰痛メディア編集部
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