「もう何カ月も腰が痛い。この痛みをどうにかしたい」「腰の痛みが長引いて病院に行っているけれど一向によくならない」そのような慢性的な腰の痛みを抱えている人も多いことでしょう。

この記事では「急性痛と慢性痛の違い」を説明し、さらに痛みについての理解を促し、最後に「慢性痛を解消するための3つのコツ」をお伝えします。

慢性痛でお困りの人はぜひこの記事を読んで、痛みへの理解を深めてください。長引く痛みを自分で治すぞ!という強い気持ちをもって、治していきましょう。

急性痛と慢性痛の違い

急性痛と慢性痛は発生のしくみも有効な治療方法も異なります。簡単に説明すると、何らかの原因があり生じるのが急性痛です。たとえば怪我、やけど、胃潰瘍などがあります。

慢性痛は、最初に何らかの原因により痛みがおき、その治癒にかかる妥当な時間をこえて数カ月にわたって持続する痛みです。つまり、原因が無くなった後も痛みが続くことを指します。

急性痛とは

急性痛は、はっきりとした原因があり、その病気や怪我の症状の一つとして痛みが生じます。痛みは一種の警告のような役割で、その痛みをおこしている原因を見つけて治療すれば、痛みは治まります。

たとえば骨折して痛いのならば、骨折を治療すれば痛みはなくなりますね。つまり、急性痛は、痛みの原因を突き止めそれを取り除くことが「治療」となります。

慢性痛とは

急性痛に対して慢性痛は、痛みの原因がなくなっても、痛みが継続していることを指しますので、痛みそのものが病気となります。

慢性痛の例としては帯状疱疹後神経痛、脳卒中後の痛みなどがあります。慢性腰痛もその中の1つです。

腰痛が慢性化する原因は主に3つあります。1つ目は痛みや、痛みの不安から体を動かさないことにより、筋肉が使われず硬直し、かえって痛みを長引かせることです。2つ目は痛みの信号を受ける中枢神経が興奮したままになり、痛み以外の刺激を誤って痛みとして脳に伝え、それが慢性的な痛みとなることです。3つ目はストレスなどの要因で痛みが長引くことです。

「痛み」とは何か

そもそも痛みとは何でしょうか。痛みは本来何か不都合なことがおこっていると知らせてくれるサインです。どのように感知されるかというと、外部からの刺激をセンサーが受け取り、電気的な信号に変換します。その信号が神経を通り、脊髄に送られ、そこで化学物質に変換され脳へ届き、脳が「痛み」と認識するのです。

他にも何らかの原因によって神経が障害されたり、神経周りの炎症やストレスから、痛みを感じたりする場合もあります。

痛みの程度は軽いものから、動けないほどひどいもの、すぐおさまるもの、長く続くものとさまざまです。

痛みの要因は3つある

なぜ痛みが発生するかの要因は3つあります。1つが、けがなどによる侵害受容性疼痛で、1つが帯状疱疹後神経痛などの神経の損傷が原因の神経障害性の痛み、そしてもう1つが不安やストレスからくる痛みです。

これら3つの要因をはっきり区別することは難しく、重複していることもよくあります。

痛みは学習されるもの

「痛みは学習されるもの」と聞くとほとんどの人は驚くことでしょう。しかし、子どもがいる人は、その子の初めての注射のときに、針を刺してもきょとんとするだけで泣かなかったという経験はありませんか?初めての注射のときには泣かなかったけれど、その後何回かするうちに泣き始めます。なぜならば、周りの赤ちゃんの反応や、親の反応をみながら「痛み」を学習したからです。

何らかの刺激を受ける感覚というのは人間にもとから備わっています。その刺激を「痛み」として認識するかしないか、認識するのなら、どうとらえるかというのが、人間の成長の過程で学習されるのです。

痛みは主観的なもの

痛みのレベルは機械で計測できません。同じ刺激を与えても、感じる痛みは人によって違います。また、同じ痛みでもどこに意識を向けるかによって、感じる感覚が違います。

たとえば、朝から腰に痛みがあったとしても、友達と楽しい時間を過ごすか、用心して寝て過ごすかだと、寝て過ごしたほうが感じる痛みが強いはずです。寝て過ごした場合、「まだよくならない」と、痛みに集中するからです。

これらのことからでも、痛みは主観的なものだとわかります。

どんなに腰が痛くても、痛みで寝付けないという人でも、一旦寝てしまえば「寝ているあいだは痛くない」という人がほとんどです。しかし、起きると痛みがぶりかえします。これは、起きているときは脳が痛みに意識を向けるからです。

痛みに意識を向けると、その感度があがります。その結果、今までより少しの刺激でも、より大きな刺激だと脳が勘違いしてしまいます。

慢性痛を解消するための3つのコツ

痛みが慢性化すると、痛みに対するネガティブな感情や、思うように動けない自分自身への否定的な気持ちが芽生えてきます。痛みが続くと、動きも抑えがちになりますよね。すると意識がより痛みに注目するようになり、さらに痛みを強く感じます。

このような悪循環を断ち切るためには、気持ちや意識、活動が慢性痛に大いに関係しているということを認識しましょう。

「痛みはどうしようもないものだ」と思うと、無力感を感じ、やる気も出なくなります。しかし、気持ちや意識の持ち方、そして体を動かすことにより、痛みを軽減できます。つまり、痛みはコントロールできないものではなく、自分の気持ちや行動で、ある程度コントロールできるものだと実感すると、痛みに対する付き合い方も変わってくるのではないでしょうか。

コツ1 治してもらうのではなく自分で治す

慢性痛を治そうと思うなら、医師に治してもらうという気持ちではなく、自分で治すんだという気持ちが大切です。慢性痛には生活習慣や意識というのが大きくかかわっています。医師が患者さんの生活習慣や意識まで変えることはできません。変えるのは自分自身なのです。

痛みのしくみを理解することで、痛みに対する認識が変わります。それだけで痛みが軽くなる人もいるのです。

自分の痛みとしっかりと向き合い、生活習慣を見直しましょう。痛みに集中するのではなく、楽しいことや、やりがいのあることを見つけ、そちらに意識を持っていきましょう。

コツ2 痛くても動かす

腰が痛いと、安静にしておこうと動かなくなったり、痛みの不安や恐怖で体を動かさなくなったりする人もいます。しかし動かずにいると、動けなくなり、意識がより痛みに向かうという「痛みの悪循環」に陥ってしまいます。

腰が痛くても動きましょう。少しずつ、自分ができることを増やしていきましょう。

コツ3 「すべきだ」という考えを手放す

痛みをすべて取らなければならないと考えるのはやめましょう。「痛くて全く動けない。もう駄目だ」と考えるのではなく、「これだけできた」と、できたことに目を向けてください。0か100かではなく、20%でも30%でも動けたことに意識を向けましょう。

また、「~すべき」と考えがちな人は、本当にそれが必要なことか今一度考え直してみましょう。責任感や義務感が強いのは素晴らしいことですが、自分の体を追い詰めてまでしなければならないことかどうか、見直してみることをおすすめします。

まとめ

「急性痛と慢性痛の違い」「痛みとは何か」「慢性痛を解消するための3つのコツ」を見てきましたがいかがでしたでしょうか。

痛みは学習されるもので、痛みに意識を向けるとさらに痛くなり、しかも動かなければますます動けなくなります。痛みに集中するのではなく、他の楽しいことに意識を向けて、少々痛くても動かしましょう。

そして、痛みが全部なくならなければならないという考え方を手放してください。慢性痛は長引いてつらいものですが、痛みのしくみを理解して痛みをできるだけコントロールしていきましょう。

著者情報

腰痛メディア編集部
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