お尻や足に痛みやしびれがある場合「もしかして坐骨神経痛かな?」と思われる人もいるかもしれません。
「坐骨神経痛」という病気と誤解している人も多くいますが、これは病名ではありません。坐骨神経痛は症状を表す言葉で、例えば頭痛や腰痛と同じく、痛みを表す言葉です。

私たちの体の腰から、お尻、足先にかけて「坐骨神経」と呼ばれる神経が通っています。お尻や太もも、足などに痛みやしびれがあることを坐骨神経痛と呼びます。その主な原因は「腰椎椎間板ヘルニア」や「腰部脊柱管狭窄症」です。

お尻や太もも、足に痛みやしびれがあれば、整形外科で詳しい検査を受け、診断が確定することにより有効な治療法が見つかります。

ここでは「坐骨神経痛かな」と思ったときに整形外科で受ける「問診・視診・触診・打診とは」「6種類の神経学的検査」「画像検査ではっきりと」の3つを解説します。

問診・視診・触診・打診とは

整形外科に行き、診察室に入ると「何を聞かれるのかな」「何をされるのかな」とドキドキすることでしょう。

まず問診といって「どのように痛いか」などと、口頭で、もしくは診察室に入る前の問診票で聞かれます。その後医師が患者さんの歩き方や皮膚に異常がないかをチェックし、骨をさわったり、脊柱などをたたいたりして痛みのチェックをします。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

問診とは

診察の最初に、医師から問診を受けます。「どこがどのように痛むか」「いつから痛むか」「そのきっかけは」「痛みが強くなることはあるか」などと質問されるでしょう。診察前の待ち時間に問診票によってこのような質問をする病院もあります。

この問診にスムーズに答えられるように、病院に行く前からメモに書くなどして自分の頭の中で情報を整理してから行きましょう。

また、生活の環境や習慣、仕事内容や運動歴も質問されます。医師が患者さんの普段の姿勢や、体の使い方を知ることが診断の助けになるからです。

視診・触診・打診とは

問診の次には「視診」「触診」「打診」などが行われます。

視診とは患者さんの姿勢や歩き方、かかと立ちできるか、つま先立ちできるかなどを観察することです。また、痛みのある背中や腰の皮膚に異常がないかも調べます。

背骨や骨盤をさわり、背骨のカーブや腰椎の状態などを確認するのが触診です。この触診によってすべり症などが発見されることもあります。また、足の動脈に触れて血流障害がないか確かめます。

打診は脊柱などを軽くたたき、反応をみる診察方法です。痛みの部位や、どのように痛むかを確認します。

6種類の神経学的検査

坐骨神経とは、腰からお尻を通り、つま先まで伸びる神経です。その神経が圧迫や刺激を受けることにより痛みなどの症状が出ます。痛みの原因は腰にあったとしても、坐骨神経が伸びている範囲が広いので、症状はお尻や太ももから足先まで広範囲に及びます。

神経学的検査は、どの部位の神経が圧迫されているかを調べるものです。まず患者さんに立ってもらい、腰を前、後ろ、左右に倒してもらいます。動かせる範囲や、どの方向に動かすと痛みが出るのかをチェックします。

ここでは「ラセーグテスト」「FNSテスト」「ケンプテスト」「反射検査」「徒手筋力検査」「知覚検査」の6種類の検査を紹介していきます。

ラセーグテスト

このテストでわかるのは腰椎椎間板ヘルニアの疑わしい部位です。

患者さんは仰向けに寝て、膝はまっすぐにします。医師が片足ずつかかと持って、どこまで持ち上げると痛みが出るか調べます。

健康な場合は70度以上上げても痛みはありません。しかし腰椎椎間板ヘルニアなどがあると、お尻からももの後ろ側、そして足先に痛みを感じます。

FNSテスト

このテストでも腰椎椎間板ヘルニアの疑わしい部位がわかります。

患者さんはうつぶせに寝て足を伸ばします。医師が、お尻を押さえながら膝を90度に曲げた状態でももを上に引き上げていきます。太ももの前面や外側に痛みを感じたら陽性です。

ケンプテスト

神経根の圧迫が椎間板内部にあるか外部にあるかを確認するのがこのテストです。

患者さんは立つか座る姿勢です。医師が患者さんの背後に立ち、片手を患者さんの腰、片手を患者さんの肩に置きます。上半身を伸ばしたまま体幹を廻旋させながら、右後ろや左後ろにわずかに伸ばします。

伸ばしたときに、曲げた方向の同じ側に痛みやしびれがあれば椎間板の圧迫が外側にあり、曲げた側の反対側に痛みやしびれが出た場合は圧迫が内側にあると考えられます。

反射検査

神経に異常があると反射が弱くなったり、反射しなかったりすることがあります。反射を検査することにより神経が正常に動いているかどうかがわかります。

腰椎から出ている神経が正常かどうかは膝の腱の反射で調べることが可能です。仙椎からの神経はアキレス腱の反射でチェックします。

反射が弱い、または反射がみられない場合は、腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアの可能性があります。

徒手筋力検査

これは筋力を調べることで、その筋肉を支配している神経が正常かどうかをみる検査です。

医師が患者さんの太ももや足首などに力を加え、患者さんにも力を入れてもらいます。どのくらい抵抗する力があるかをチェックすることで筋力がわかります。調べる場所は、太もも前側の筋力や足の親指を曲げる筋力、足首を反らす筋力です。

知覚検査

神経が圧迫されていると、感覚が鈍りがちです。先端のとがったモノや柔らかいもので足の皮膚をさわり、感覚に異常があるかどうかを調べます。

画像検査ではっきりと

実は腰痛の多くは、画像によって原因が診断できません。

しかし、坐骨神経痛の主な原因の「腰椎椎間板ヘルニア」や「腰部脊柱管狭窄症」は、画像診断できる腰痛の部類に入ります。

画像検査の種類としては「X線検査」「CT検査」「MRI検査」「脊髄造影検査」などがあります。

X線検査

体にX線を当て、骨の状態を画像にうつします。この検査はもっとも費用が安く、少ない被ばく量ですみます。腰椎の変形や、脊椎の炎症、腫瘍などがわかるのがX線検査です。しかし、椎間板や神経、筋肉などは明確にうつらないため、腰椎椎間板ヘルニアの診断には向いていません。

CT検査

この検査では、体を水平に輪切りにした状態の断面図を見ることができます。たくさんの断面を一度に撮影可能です。X線では見られなかった方向から骨や筋肉、軟骨などの状態がわかり、脊柱管の広さなどもわかります。

また、血管が原因の腰痛である大動脈解離や大動脈瘤などは、CT検査ですぐに発見できます。

MRI検査

この検査は「核磁気共鳴映像法」といって、磁気を体に当てて体の断面を画像にうつします。放射線は使用していません。

CT検査よりも画像が鮮明で、骨の状態はもちろん軟部組織まで詳しく見ることができます。脊椎疾患、関節疾患、筋肉内疾患、腫瘍性疾患などはレントゲンではわかりませんが、MRIではよくわかります。

この検査は腰椎椎間板ヘルニアや、腰部脊柱管狭窄症の診断をするときに有用です。しかしその一方で、MRI検査で異常が見つかったとしても自覚症状のない人もいます。そのため、MRI検査だけで判断せず、総合的に見ていくことが重要です。

脊髄造影検査

脊髄造影検査は腰椎の間から脊柱管に造影剤を注入し、その後CT検査を行い、脊柱管内の様子を詳細に見ることができる検査です。

おもに手術を予定している患者さんに、手術を正確に行うための術前検査として行います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。「坐骨神経痛かな?」と思っても、病院に行くとなればどのような検査をされるのかわからないと不安です。

この記事では、整形外科での診察と検査の内容を詳しく解説しましたので、これを読んでいただくと事前にシミュレーションでき、安心して病院に行けるのではないでしょうか。

◆参考資料
腰痛疾患の臨床徴候と診断手技
腰椎椎間板ヘルニアのための 診察・検査

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

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