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陸上競技は、主に走る競技と跳ぶ競技、投げる競技の3つに分かれます。
全身をうまく使って記録を競うことが目的ですから、腰痛との関連が強い競技もあります。

特に短距離走や走り幅跳び、ハンマー投げ、円盤投げなどは陸上の中で腰痛になりやすい競技と言われています。

今回は陸上競技における動作を説明しながら、腰痛との関連性について説明していきます。

短距離走における腰痛

短距離 腰痛

陸上競技における短距離走というのは、主にハードル走と2つに分けられます。
短距離走は100m、200m、400mに分けられ、ハードル走は100mと400mに分けられています。

短距離走では、早い足の回転率とストライドと呼ばれる着地足の幅の広さが重要ですが、それらを得るために、床からの着地の衝撃をうまく前方への推進力に変えていく必要あります。

まず短距離走における腰痛の原因が走行姿勢の悪さです。
日本人に多いとされているのは、猫背の姿勢で身体を丸めたまま走る姿勢です。

身体が丸めた姿勢では、頭部が前方に傾くため、一見前方に重心を移しやすいように思われますが、骨盤は後方に傾きます。
骨盤が後方に傾いた状態では、足を後ろに引きにくくなり、大きなストライドを出すことは難しくなります。

人の脊柱というのはS字の形を形成していますが、猫背の姿勢ではS字の状態ではなく、身体を丸めてCの字のような状態になります。
本来S字の姿勢であることで、床からの反動をバネのように逃がすことができている脊柱ですが、Cの字では、バネが伸び切った状態ですので、床からの衝撃をまともに受けることになります。
バネのように柔軟に床からの衝撃を吸収し、それを前方の推進力に変えていくには、身体を丸めた走行姿勢では難しいのです。

2つ目に骨盤周囲や腰椎の硬さが腰痛に影響することがあります。

骨盤の上に腰椎が積み重なっていますので、骨盤周囲の筋肉の硬さは、腰の動きに直結しやすいです。
骨盤周囲の筋肉が硬ければ、腰椎が過度に動き、腰部に負担をかけることに繋がります。

特に、太ももの後面にあるハムストリングスは、骨盤の後方についていますので、この筋肉が硬くなると、骨盤を後方に傾けて、腰が丸くなる要因となります。

日頃から骨盤周囲の柔軟性を保つことは腰部痛ケアに重要な項目です。

3つ目に体幹や骨盤周囲筋の筋力不足です。
骨盤周囲の筋肉が腰の動きに作用していることは説明してきました。骨盤周囲の筋肉が固くなるのも問題なのですが、筋力が不足することで骨盤が動揺し、過度に腰に負担がかかってしまうことも考えられます。

床からの衝撃を適切に筋肉で支えることができないと、骨に直接衝撃が行くことになりますから、腰痛になりやすくなります。

床からの衝撃に対して、骨盤が動揺することなく安定して捉えることで上半身全体に力が伝わります。

成長期のような発達が未成熟な方に起きやすい症状で、現在の走行姿勢が安定しているかどうかを客観的に見て貰う機会を得るといいでしょう。

走り幅跳びにおける腰痛の原因

走り幅跳び 腰痛

走り幅跳びという競技は、助走を取り踏切線で跳躍して、砂場に着地した時点の距離を競う競技です。

走り幅跳びの競技で腰椎の原因となりやすいのは、跳躍時点の姿勢と、不良姿勢での着地です。

まず、跳躍して遠くに着地をするには、助走でつけた前方の推進力を維持しながら、前方へ高く跳んで伸び上がり、着地の前では身体を丸めて足を前方に投げ出すことで着地地点を少しでも伸ばすことができます。

跳躍前によくあるのが、身体が十分に起こせていない背中が丸まった姿勢で跳躍することです。
この背中が丸まった状態では、助走でつけた推進力と床を蹴る跳躍力を上方に伸び上がることができず、腰に負担がかかりやすくなってしまいます。
跳躍時には身体を起こして、お腹を前に出すようにして跳躍すると上方へ伸び上がることができますので、高さを出すことができます。

次に着地時の姿勢ですが、基本的に足を前方に投げ出した姿勢で着地し、そのポイントに骨盤を滑り込ませるように着地するのがポイントです。
しかし、足を前方に投げ出した姿勢というのは、骨盤を後方に引っ張りやすく、腰を丸めた姿勢で着地することが多いです。
砂場といえど、この着地の衝撃によって腰痛になるケースがあります。

また、走り幅跳びの初心者の頃は、跳躍時に伸び上がり、空中で腰を丸めながら足を投げ出すという動作が難しく、着地が安定しないことで腰部に負担をかけることが多いです。

自身の跳躍時の状態はどうなのか、空中での姿勢は適切か、安全に着地ができているか、客観的にも確認していくことが大切です。

ハンマー投げと腰痛

ハンマー投げ 腰痛

ハンマー投げは、長さ1.1m程度のワイヤーに7kg程度の砲丸をつけて、前方に投げる競技です。
ハンマー投げは、身体を中心に回転させ、その回転力を利用して前方に投げ出します

まずハンマー投げという競技は、ハンマーの重さに対し、身体を回転させることで遠心力がかかります。
そのため、ハンマーを投げるときには、体に掛かる負荷が300から400kgにもなると言われており、この競技を続けるには、肉体づくりが重要となってきます。

ハンマーを回転させることに対し、身体も回転しながら進みますから、バランスを崩しやすいのも、ハンマー投げでの腰痛の原因となります。

ハンマーを投げる強靭な体作り、安定したフォームづくりがハンマー投げにおける腰痛を防ぐポイントになってきます。

高校生でも競技としてありますが、始めのうちは無理をせずに体作りとハンマー無しでのフォームの確認を徹底しましょう。

フォームで意識することは、ハンマーの回転に対して大きく前かがみになることはなく、身体を起こして回転軸を作ることです。

ハンマーを回転させることに対して、体幹や足元がしっかりしていないと、腰部に負担をかけることになりますので注意しましょう。

腰痛にならない陸上競技でのポイントとは

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まず始めに、初心者の方は適切な体作りをしながら自身が行う競技のフォームをしっかりと確認することです。

体作りに関しては、身体の柔軟性を保つストレッチと、各種競技に合わせた筋力トレーニングが必要ですが、どの競技にも通じるのは体幹トレーニングです。

体幹というのは、脊柱起立筋や多裂筋、腰方形筋などの背筋群と、腹直筋や腹斜筋、腹横筋などの腹筋群の総称です。

体幹はインナーマッスルを鍛えることで、全身の協調性を高め、腰痛の予防になりますので、継続してトレーニングしていくことが大切です。

各種競技における正しいフォームを知ることは、陸上競技におけるスタート地点です。
自身が理想とするフォームを追い求めていくには積み重ねが必要で、理想の形を思い浮かべることができないと、自身の身体を正しく扱うことが難しいでしょう。

イメージと繰り返しの反復練習、適切な筋肉量によって、意識しなくても正しいフォームで競技を行うことができるようになります。
理想を追い求めながら様々な引き出しを作っていくことで、自身のコンディションに合わせて競技を行うことが可能となります。

最後に、ストレッチや体幹の筋力トレーニングなどで、自身の身体の状態をケアし、自身の体と向き合う時間を作ることです。
記録を目指すにあたって、すぐにトレーニングから開始したり、ついオーバーワークになりがちです。

監督ともよく相談し、自身の身体にあった運動メニューやフォームに関して相談していくと良いでしょう。
身体に違和感がある時は、無理をせずに安静にしたり、必要に応じて整形外科を受診し、理学療法士から腰痛体操などの運動療法を学ぶことをおすすめします。

陸上競技は身体作りと洗練したフォーム、精神面の安定、どれも時間をかけて試行錯誤しながら作り上げていくものです。
焦らず、身体のケアにも取り組みながら、腰痛のない競技生活を送れるように心がけましょう。

参考:日本陸上競技連盟https://www.jaaf.or.jp/files/upload/201812/jhs-005.pdf

著者情報

腰痛メディア編集部
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