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野外スポーツの代表とも言えるゴルフ。未だ多くの方がクラブを片手にフィールドをのびのびと歩き回っています。

しかし、そのようなゴルフにおいて、気をつけなければならないのが腰痛です。実は、ゴルフが腰痛の原因となり得る場合があります。その理由と対策について、この記事で解説していきましょう。

ゴルフが腰痛につながる原因とは

なぜ、ゴルフを楽しむことが腰痛を引き起こすのでしょうか。この要因はひとつではなく、実に多岐に渡ります。以下に挙げるようなポイント、読者の皆様も心当たりがないでしょうか。

腰を大きく使うスポーツだから

ゴルフと言えばボールを打つスポーツですが、その際の動作が問題となります。いわゆる「スイング」と呼ばれるようなこの動きは、大きな腰の動きが求められるのです。

基本的なスイングは腰を正面から横へひねるような動作であり、これが大きな負担となります。目に見えて激しい動きには見えなくとも、実は腰にとってはかなりの運動なのです。

さらに、ボールを打つ際の姿勢は、基本的に「前傾」の状態です。この姿勢をプレイ中何度も取ることとなるため、腰には断続的に負荷がかかってしまいます。

日頃の運動不足

そのように腰に負担のかかるゴルフですが、それ自体はただ単なる要因のひとつにすぎません。腰痛の発生は、それ以外のさまざまな状況が合わさることによって発生する可能性が高まります。

たとえば、プレイヤーの日々の運動習慣です。ほとんどの方は仕事に費やす時間の方が多く、なかなか運動に時間を割くことができません。そのため、身体は運動への負荷に長期間置かれていない状態となるのです。そのような状態で身体の一部分、それも身体の重心を支える腰部に負荷がかかればどうなるでしょうか。柔軟性を失った筋肉は急な運動に傷つき、痛みの原因となる可能性があります。

加齢による筋肉の衰え

日頃の運動不足に加齢への衰えが加わると、腰痛発生のリスクはさらに高まります。年齢を重ねると身体のさまざまな機能が低下しますが、関節や筋肉は柔軟性を失い、身体の運動に対して適切に対応しづらくなります。

もともと身体が高く、柔軟体操が苦手な方の場合、この傾向はさらに強まります。普段行っていない運動に対して関節が臨機応変に動作してくれないため、負担もうまく和らげられず、蓄積してしまいがちになるのです。

事前の準備不足

これはゴルフだけに限らずあらゆるスポーツに言えることですが、いきなりプレイに取りかかるというのはとても危険です。身体の筋肉や関節は、急な動きについていけない場合があるのです。

突然の激しい動作に対して過度に緊張した身体は、思いもよらぬ負荷を受けてしまいます。このことが原因による症状の発生は、腰痛に止まらないので決して侮れるものではありません。スポーツインストラクターが事前の準備運動について口うるさく指摘するのはこのためです。だからこそ、ストレッチはとても重要だと言えます。

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腰痛発症のリスクを増す日常生活上のクセ

ゴルフのスイングをするときに腰痛が出る原因は上記の通りですが、そのような原因を招く日常生活上のクセがあるのでご紹介します。

足を組んで座っている

股関節が硬くなったり、仙腸関節の可動域が狭くなったりすると、ゴルフのスイング時に腰痛発症リスクが増しますが、そのリスクを増してしまう日常生活上のクセが足を組んで座ることです。

足を組んで座っていると、片方の臀部に大きな負担がかかり、股関節や仙腸関節を結ぶ筋肉を硬くしてしまいます。その結果、ゴルフのスイングをした際に、腰痛を発症するリスクが増すのです。

猫背になっている

普段から猫背の姿勢になっていると、骨盤が後ろに傾き、仙腸関節の可動域減少を招きます。その結果、腰痛を発症するリスクが高くなります。

あまり歩くことがない

いつも車で通勤していたり、日常的にあまり歩くことがなかったりすると、股関節周りの筋肉が刺激されず、筋力低下や血行不良を招きます。

股関節の筋力低下や血行不良によって、股関節の動きが悪くなることで、ゴルフのスイングをした際に、腰痛が出るリスクを増す結果となります。

ゴルフで腰痛が出る方に多い勘違い

ゴルフのプレイにともなって腰痛が出る方の中には、次のような勘違いをされている方も少なくありません。プレイ中の腰痛にお悩みの方はチェックしてみてください。

回転するから腰痛が出るのではない

ゴルフのスイングにともなって腰痛が出る場合、「スイングをするから腰痛が出る」と勘違いしがちですが、正確には「正しく回転しないから腰痛が出る」のです。

スイングの際に仙腸関節に引っ掛かりがあったり、股関節や肩甲骨の硬さで回転が邪魔されたりすることで、腰痛が出るリスクを増すのです。キレイに体幹が回転していれば、腰痛発症のリスクは低減します。

また、腰の回転を意識しすぎるあまり、身体が開いてしまうと、ボールがスライスする結果となりかねません。

腰はそもそも回転しない

ゴルフに限らず、野球やテニスをはじめ、体幹を回旋させるスポーツをしていると、コーチに「腰の回転で打て」と言われることがあります。

ただ、医学的に見て腰は回転するようにできていません。ではどのようにして体幹を回旋させるかというと、それは股関節を回旋させることによります。

股関節を回旋させることで、上半身全体を回旋させることが可能となるわけです。股関節が硬いと腰痛を招きやすいのは、股関節が回旋していないのに、腰を無理に回そうとするからです。

腰痛防止のためのゴルフ前ストレッチ


ゴルフに起因する腰痛を防ぐための効果的な方法のひとつ。それはストレッチです。事前に各部の筋肉や関節を動かしておくことによって、身体に深刻な負担がかかるのを防ぐことができます。この項目にて、ゴルフ前におすすめのストレッチを紹介していきましょう。

前屈

「前屈」は比較的広く知られたストレッチのひとつです。皆様も子供の頃、体育の授業等で習ったことがあるのではないでしょうか。非常に簡単な運動ですが、決して無視してよいものではありません。

やり方は片膝を前に出し、そこに両手を置いて上半身をまっすぐ保ちながら体重をかけていくというもの。ある程度行ったら、片膝でも同じことを繰り返します。

イスを使ったストレッチ

運動が慣れていないという方には、イスに座りながらできるストレッチを紹介します。準備は簡単で、イスに座った状態で背中をまっすぐ立てるだけ。そこからゆっくり腰を左右にひねります。

ポイントは腰をひねった後すぐ元の姿勢に戻るのではなく、しばらく(おおよそ30秒程度)そのままで維持すること。これによってより効率よく「脊柱起立筋」をほぐすことができるでしょう。

バックエクステンション

トレーニングジムに勤めるトレーナーの多くも実践している、基本的なストレッチのひとつです。背筋や腰の筋肉をほどよく鍛えることができます。

やり方もシンプルで、うつぶせになった状態から両手を頭につけ、そのまま自分でエビぞりになるような感じで背中に力を入れるだけ。あまり力を入れると逆に背中や腰を痛めてしまうので注意しましょう。寝転がった状態で気軽にできるというのが特徴のひとつです。

そのほか、ゴルフを楽しむための腰痛対策

腰痛の原因は実にさまざまであり、ひとつ対策をしていたとしても、それで必ず防げるというものではありません。最大限腰痛を予防したいのであれば、複数の対策を行っておくことをおすすめいたします。

正しいフォームを心がける

ゴルフというのは、そのフォームが何より重要なスポーツです。フォームがよくなければうまくボールを飛ばすことすらできません。そして何より腰をうまく旋回させることができず、歪みや負担を生む原因となります。

よろしくないフォームは、身体にも必要以上の負荷をかけてしまうのです。腰の健康を気遣うのであれば、フォームの改善も目指していきましょう。スコアの上昇にもつながります。

腹筋を鍛える

腰痛発生の原因として考えられるもののひとつに「腹筋の低下」がしばしば挙げられます。運動不足や加齢等によって腹筋の力が低下すると、骨盤等各種の骨をうまく維持しづらくなり、変形による痛みが生じやすくなるのです。

そのため、腹筋力を一定以上維持することが、腰痛対策の観点から見て有効です。先述したバックエクステンションもまた、腹筋を動かして鍛えることができる運動のひとつとされているので、寝る前等の日課にしてみましょう。

運動後はストレッチをおこなう

ゴルフのラウンドを終えたら、シャワーを浴びてすぐに帰るという方もいらっしゃいますが、運動をした後にこそ、ストレッチをおこない、身体をクールダウンさせる必要があります。

運動によって緊張した筋肉をストレッチによって緩め、翌日に疲れを残さないようにすることが重要です。

入浴して疲労回復に努める

ゴルフを終えて家に帰ったら、湯船に浸かって身体を温め、疲労回復に努めることが重要です。そもそも腰痛は突然現れるものではなく、日々の蓄積によって発症するものです。

入浴することで血行が促進され、身体の回復力を高めることが可能となります。また、副交感神経を優位に導くことで、睡眠の質を高めることも期待できます。

仕事中の姿勢にも気をつける

腰痛に陥るまでのプロセスは、場合によっては非常に長期的であったりします。ずっとよくない姿勢を続けていた結果、ある日突然行った慣れない運動が引き金となったりするようなケースもしばしば見られます。

よって、腰痛を防ぎたいのであれば、普段の姿勢にも気をつけましょう。特に仕事中、パソコン等に向かっている時は姿勢が崩れやすい上に、身体への影響も決して小さくありません。前かがみや反り腰の姿勢に長時間陥っていることがないよう、「自分の座り方は今どうなっているか」を定期的にチェックできるようにしましょう。

サポーター等の道具を使う

腰への負担を和らげるためのスポーツ用品として、「サポーター」というものがあります。いわゆる「コルセット」とも呼ばれ、腰にしっかり巻くことでそこにかかる力を制限し、負担がかからないようにするといった道具です。

これを使用することで、腰痛リスクを一時的に減少させることが可能です。しかし、これを使いすぎると逆に本来使われる筋肉の働きまで過度に制限され、逆に腰の健康が悪化することもあるようです。可能であれば毎日の使用は控え、定期的な腹筋トレーニングと組み合わせた方がよいでしょう。

まとめ

腰の筋肉を頻繁に使うゴルフは、腰痛発症にきっかけになる可能性があります。その要因は突発的なものではなく、今までの積み重ねや不注意の結果によるところが多いと言えるでしょう。ゴルフの楽しさばかりに目がいってしまいがちですが、腰の健康にもちゃんと気を配ってあげるようにしてください。

【参考】
OMRON 痛みwith 腰痛改善ストレッチ・ツボ押しなど 自宅で行える5つのおすすめ対策
ベネッセの介護相談室 第3回 中年太り・腰痛予防に腹筋と背筋を鍛えよう
全日本民医連 特集2 なぜ起きる? 腰痛 腹筋を鍛えて予防しよう 2本足歩行から腰痛は始まった
医療法人メディカルフロンティア 腰のサポーター(コルセット)に腰痛改善の効果とは、注意点や正しい選び方などをご紹介
仙腸関節・脊椎脊髄ジャーナル32巻4号

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

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