はじめに
学校の授業でも取り入れられることの多いスポーツ、バドミントン。学生時代に経験した人も多いと思いますが、比較的簡単にプレーできるスポーツなので大人になってからでも遊びとして、またスポーツ活動として取り組んでいる人も少なくありません。バドミントンはジャンプしたり、ラケットを大きく振ったりと腰に負担のかかりやすいスポーツで、バドミントンをプレーしたことが原因で腰痛になってしまう人も多いです。
今回はバドミントンで腰痛になってしまう原因と、その予防、解決策を紹介したいと思います。

バドミントンで腰痛になる原因は「ラケット」と「高さ」

バドミントンはラケットを利き手で持ってプレーするスポーツで、左右非対称の運動が繰り返されます。利き手側の肩を中心に筋肉がつきやすく、非利き手側とアンバランスになりやすいです。そのためバドミントンで腰痛を訴える選手の中には右だけ、または左だけと片側のみの腰痛を訴えることも少なくありません。
さらにバドミントンはラケットを頭上を超えて高くふりがざす「オーバーヘッド・スポーツ」の一つで、これもまた全身に強い捻りの動作を起こすため腰への負担となりやすいです。

バドミントンでなりやすい腰痛を医学的に解明

バドミントンは上記のように腰に負担のかかりやすいスポーツなので、柔軟性、筋力、回復力が伴っていないと、その負担が直接腰の関節や筋肉にかかり負傷します。柔軟性や筋力が足りていないと、腰の関節炎や靭帯損傷、腰椎ヘルニア、腰椎すべり症などになるリスクがあります。また、過度の筋力トレーニングや、アンバランスな筋力トレーニングで十分な筋疲労回復ができていないと、筋膜性腰痛を引き起こすリスクとなります。

バドミントンで腰痛の原因となりやすい筋肉

一生懸命筋力トレーニングやストレッチをしているつもりでも、その方法が間違っているとパフォーマンスの低下につながったり、腰痛の原因になることもあります。バドミントンでアンバランスになりやすい筋肉や、柔軟性が必要とされる筋肉に着目してみましょう。

ー腹筋と背筋
バドミントンはスピーディなプレーの中で瞬発力が必要とされるスポーツです。またジャンプして打つなど空中でのプレーも多いです。そのためバランスのとれた腹筋と背筋は、瞬間的な動作や、不安定なポジションで体を安定させるために必要不可欠です。腹筋と背筋のどちらかが強すぎてどちらかが弱いなどアンバランスな状態になっていると、パフォーマンスの低下につながるだけでなく動作が過負荷になった瞬間、その負担が筋や関節を負傷させて腰痛の原因となります。

ー姿勢の評価を用いた腹筋と背筋のバランスチェック
体の表層にあるアルターマッスルに部類される腹筋は腹直筋と呼ばれるお腹前面の筋肉と、内腹斜筋、外腹斜筋と呼ばれるお腹の両サイドの筋によって構成されています。また、腰背面はいくつかの細かな筋で成り立つ脊柱起立筋によって支えられています。
腹筋が強すぎると姿勢は丸まりやすくなり、背筋が強すぎると姿勢は反り腰になりやすくなります。
腹筋と背筋のバランスをチェックするには姿勢を評価する方法で確認できます。。壁に背中を向けて自然に立った姿勢で、壁と腰の間に手を当ててみましょう。壁と腰の間には手が自分の手がちょうど入るくらいの隙間がある姿勢が理想的です。壁と腰の間に手が入らない場合は腹筋が強すぎて腰が丸まっている状態です。また、壁と腰の間に手を入れても余裕がある人は、背筋が強すぎて反り腰になっています。

ーー腹筋と背筋のトレーニング方法
腹筋を鍛える場合は、腹直筋、内腹斜筋、外腹斜筋などのアウターマッスルをバランスよく鍛えるようにしましょう。運動負荷はどのトレーニングでも自分が少しきついと思う程度で、翌日に筋肉痛が残らない程度の回数がベストです。自分の体の状態に合わせて、毎日少しずつ回数を増やしていきましょう。

1 腹筋をトレーニングする方法

・両ひざを立てた状態で仰向けで寝ます。
・両手は頭の後ろで組みます。
・頭を床からゆっくりと上げて、ゆっくりと下げます。

2 内腹斜筋、外腹斜筋をトレーニングする方法
・腹筋を鍛えるときの姿勢と同様の姿勢をとります。
・右肘が左ひざに付くように、体を捻りながら起こします。
・ゆっくりと仰向けに戻ります。
・次は左肘が右ひざに付くように、体を捻りながら起こします。
・ゆっくりと仰向けに戻ります。

3 背筋をトレーニングする方法
・うつ伏せで寝た状態で、両手は頭の後ろで組みます。
・上体をゆっくりと上げて、ゆっくりと下げます。

バドミントンで柔軟性が必要な筋肉
バドミントンは瞬発的な動きが多く、ステップ動作のクッションの役割を果たすひざ関節周囲の筋肉の柔軟性は非常に大切です。下半身の中でも特に筋肉の質量の多い大腿四頭筋とハムストリングスに着目してみましょう。

ー大腿四頭筋とハムストリングス
骨盤の位置は、上側が主に腹筋と背筋によって支えられており、下側は主に大腿四頭筋とハムストリングスによって支えられています。これら以外の細かい筋によっても骨盤の位置は複雑に支えられていますが、これらの筋肉は体全体の中でも質量が大きく牽引力も強いため、骨の位置や姿勢に大きく影響します。

ーー大腿四頭筋とハムストリングスのバランスについて
太ももの前にある大腿四頭筋は体の中でも一番大きな筋肉になります。大腿直筋、内側広筋、外側広筋、中間広筋の4つの筋肉で構成されていて、骨盤を前方に傾けて、腰をそらせる働きがあります。
また、ハムストリングスは太ももの後ろ側にある筋肉で、内側ハムストリングスと外側ハムストリングスから構成されています。ハムストリングスにより骨盤は後ろへ傾きます。
大腿四頭筋とハムストリングスの柔軟性が十分に保たれていることで、下半身がクッションの働きをして腰にかかる負担を軽減してくれます。

ーー大腿四頭筋とハムストリングスのストレッチ方法
大腿四頭筋とハムストリングスはどちらも発達しやすい筋肉で、硬くなりやすい筋肉とも言えます。柔軟性を維持するためにはトレーニングだけでなく、継続的なストレッチが効果的です。

1 大腿四頭筋のストレッチ方法
・片ひざを曲げた状態でうつ伏せで寝ます。
・片ひざを曲げたまま、上体を起こしていきます。
・ひざを曲げている足の太ももの前面がストレッチされていることを意識しながら、ゆっくりと10秒間深呼吸します。
・ゆっくりとひざを伸ばし、反対側の足も同じようにひざを曲げて上体を起こし、ストレッチします。

2 ハムストリングスのストレッチ方法
・足を前に振り出した状態で、床に座ります。
・足首を上に向けた状態で、上体を前屈していきます。
・太ももの後ろがストレッチされているのを意識しながら、ゆっくりと10秒深呼吸していきます。
・上体をゆっくりと元の位置に戻します。
・次は両足を開いて、右足のつま先に向けて上体を前屈していきます。
・上体をしっかりと前屈した状態で、ゆっくりと10秒数えながら深呼吸します。
・ゆっくりと体を元の位置に戻します。
・同じように左側のつま先に向けて上体を前屈していきます。
・上体をしっかりと前屈した状態で、ゆっくりと10秒数えながら深呼吸します。
・ゆっくりと体を元の位置に戻します。

おわりに

バドミントンを含むスポーツ競技でなる腰痛は、早めの対処が大切です。腰痛を筋肉痛と勘違いしてしまい、トレーニングを続けることで腰痛を悪化させてしまう可能性もあるからです。腰周囲に鋭い痛みを感じる場合や、腰以外の痛みや痺れも伴う場合は特に注意が必要です。
筋力トレーニングやストレッチで腰痛予防を心がけ、強い痛みがある場合は早めに専門家に相談するといいでしょう。

【参考文献】
バドミントン腰痛の原因と解消方法を大公開!
https://himawari-seikotsuin.com/blog/0039.html

バドミントンで腰痛が発症しやすい原因とは
https://magazine.spotas.jp/magazine/badminton/practice/2543/

著者情報

森 亜実

保有資格

理学療法士、ケアマネージャー

経歴

理学療法士として7年、老人保健施設を併設した回復期病院で子供からお年寄りまで幅広い年齢層の方に関わってきました。

腰痛で来院される患者様も多く、腰痛の予防と痛みのセルフコントロールは今後の大きな課題だと感じています。

健康で明るい生活を維持できるように、読者の皆様に少しでも役立つ記事を発信できるよう努めていきます!

この著者の他の記事を見る