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現在全国に2800人の患者が存在するといわれている腰痛。この記事をご覧になっている方の中にも腰痛で苦しまれている方々はたくさんいるかと思います。

気になる腰痛の原因ですが、近年の生活状況の変化に伴い『スマホ肩こり』『スマホ腰痛』と呼ばれるものが増えています。

今回はまさしく現代病ともいえる『スマホ腰痛』についてその原因や対策について解説していきます。

スマホ腰痛の原因

スマホと腰痛0419
まずはなぜスマホをみることによって腰痛がおこるのかについての解説を行っていきます。

スマホをみることによる姿勢の変化

スマホをみることによって腰痛が引き起こされる最も大きな原因が『姿勢の変化』です。
皆様は普段どのような姿勢でスマホをみているでしょうか。

多くの方が首を前方に突き出し、画面をのぞき込むような姿勢をしているのではないでしょうか?

首の骨(頸椎)は通常前方にカーブをしている形状になっており、この形状が頭や重力による過重を分散するような構造になっています。

しかし、スマホを長時間のぞき込むような姿勢になると形状が変化し『ストレートネック』と呼ばれる首の骨のカーブがなくなってしまいます。

このような姿勢が長期化すると背中から腰にかけてのカーブも変化し全体的に前かがみな『猫背』のような姿勢になってしまいます。首と腰は関係ないように思えますが、脊椎という骨が1本の竹のように繋がっているので首の部分に歪みが生じると腰にも影響が出てしまうのです。

猫背は腰にとって非常に負担のかかりやすい姿勢で、以下のようなメカニズムで腰痛を起こしやすい状態になっています。

姿勢の変化(猫背)が腰痛になるメカニズム

スマホと腰痛0419

上記でご説明したようにスマホを長時間みる姿勢を保持することによって背中の形に変化が出ます。

首の部分で説明したように、背骨(脊椎)は全身でS字状のカーブを作ることによって上からの圧力をうまく逃すような構造になっていますが、このS字状の構造が崩れてしまうと腰の骨は上からの過重をもろに受けてしまう状態になってしまいます。

これらの結果、正しい姿勢を保つことのできない腰の骨やその周囲の組織は損傷を起こしやすい状態になっており、また腰の周囲の安定性を高めるための腹筋やインナーマッスルやコアマッスルと呼ばれる筋肉も姿勢により機能しにくくなることで腰痛を引き起こしやすく、また治りにくくする原因になっています。

目の使い方

実は目の使い方には2種類あります。1つは自分自身の体を含めた周囲を広く眺めるようにしてみる周辺視と、もう一つは、本を読んだりパソコンの画面を集中的に見る中心視があります。スマホを見る時の目の使い方は、後者の中心視です。

先程お伝えしたように、頭はとても重く、その頭の前方に両目が付いています。スマホの画面の情報を詳細に見るために、両目のレンズを絞って目的とする情報を得ようとするでしょう。この時、両目を画面に集中させて使うために、頭や体全体を固定しようとする反応が見られます。そういった両目を画面に集中させる姿勢によって、徐々に体が硬くなり、頭や上半身を支え続けている腰に負担がかかって、腰痛が生じると考えられます。

寝ながらスマホをする場合も注意!

寝ながらなら腰への負担は軽いように思うかもしれませんが、実は腰に負担のかかる姿勢があります。うつ伏せになった状態から、上半身だけ持ち上げた姿勢です。短時間であれば問題ないのですが、長い時間その姿勢を続けると、腰への負担が大きくなってしまいます。

その他の原因

スマホをみることによって引き起こされる主な原因は『姿勢』にあることは触れましたが、そのほかにもスマホを長時間みることによって腰痛に悪影響を与えうることは様々あります。

スマホを長時間みることで引き起こされる弊害には下記のようなものがあります。

・肩こり
・睡眠時間が短くなり、生活習慣が崩れる
・長時間スマホをみることにより眼精疲労になる
・集中力の低下による生産性低下

このような習慣の変化は腰痛を改善する、予防するうえで重要な『休息・睡眠の質の低下』『運動不足』といった状態に陥りやすく姿勢の問題と合わせて腰痛に大きく関わってきます。

スマホ腰痛の対策

ここまでスマホをみることによって生じる『スマホ腰痛』の原因とその生活習慣が腰痛以外の健康にも大きく関わることを説明してきました。

ここからはそんな『スマホ腰痛にならないように予防する方法』と歪んでしまった姿勢を少しでもリセットするためのストレッチなどのセルフケアについて紹介していきます。

自分の状態を確認する

まずはご自身の腰痛の程度や姿勢を確認する必要があります。皆様が悩んでいる腰痛の原因が姿勢によるものなのか、わかりやすくするために以下のようなチェックをしていきましょう。

壁を使ったセルフチェック方法

ご自身の姿勢をチェックするうえで最もポピュラーなものが壁を使った姿勢のチェック方法です。

① 壁に背中をつけて立つ
② 「後頭部」「肩甲骨」「お尻」「かかと」を壁につけた状態で立つ

まず、このような姿勢をとるために力がいる、難しい場合はそもそも猫背の傾向があります。
また腰に手を入れてみて手のひら1枚分以上のスペース、握りこぶしが入ってしまうようなスペースがあれば反り腰が疑われます。

上記で紹介したようなチェック方法は主に『姿勢』に注目して行う方法ですが、腰痛の原因は姿勢のほかにも普段の作業内容や生活習慣を含め『心理的・社会的ストレス』が大きな問題になっている場合があります。

そのような状況をチェックするためにアプリなどで公開されているストレスチェックや日常生活の問診票などを受けてみるのもセルフモニタリングを行うよいツールになります。下にスクロールするとアプリのダウンロード画面があるのでぜひインストールしてみてください↓↓↓

スマホをみる頻度、環境を考える

スマホを長時間みるということはその分だけ腰に対して悪い影響を蓄積することになるためできるだけスマホをみる頻度を減らすということが根本的な対策になります。

とはいえ、現代の社会環境を考えればスマホを全くみないで1日を過ごすということは困難です。したがって腰痛があるかた、腰痛になりやすい方は少しでも余分なスマホの閲覧時間を短縮することが必要になります。

また、長時間動画サイトなどを閲覧したい場合などは座った状態や寝た状態でスマホをみることを減らすためテレビに投影する、スマホホルダーを使ってよい姿勢でみるなどの工夫をしてみるとよいでしょう。

体を左右対称にする

スマホの画面に集中しすぎてしまうと、今自分自身がどのような姿勢でスマホを見ているかということに意識が向きにくくなり、左右のどちらかに体幹が偏ったり、骨盤が側方にも傾いたりするかもしれません。そのため、左右対称な姿勢を作ることも重要です。

座面上の骨盤を立てて背骨を伸ばせたら、おなかにぐっと力をいれて腹圧を高めます。そして、前に出ていた両肩を左右に広げ、両肩甲骨も背中の真ん中へと寄せながら胸を開きましょう。胸郭や両肩を開くことで、前に出ていた頭の位置も背骨の真上へと修正され、左右対称な姿勢となっていきます。

背骨を伸ばし左右対称な姿勢をとることによって、脊柱起立筋群や腰背筋を左右均等に働かせてバランスのとれた姿勢を作って腰痛を防ぎましょう。

体の余分な力を抜く

長時間スマホの画面を見ていると体や腰は疲れてきます。そのため、目が疲れてきたり、首や肩が凝って腰に違和感があれば、体をリラックスさせる姿勢を取り入れてみましょう。椅子に座った状態で目の前に机があったなら、その机の上に大きなクッションをおきましょう、そしてその上に頭や両腕、上半身をもたれさせ、頭や体全体の力を抜いてリラックスさせます。

先にお伝えしたように頭は重く、その傾きが大きくなることで腰に大きなストレスがかかります。そのため、首や肩がつらい、腰に違和感があるなどの自覚があったなら、一度机の上のクッションに頭や体をもたれさせて、腰の筋肉の疲労をとるリラクゼーション姿勢をとりいれてみましょう。体をいったん休ませることで、体の背面や腰背部の筋肉の疲労がとれて腰痛を防ぐことができます。

腰痛予防のためのセルフケアをする

腰痛予防、改善を考える際に重要な要素が運動です。日本整形外科学会が報告している腰痛のガイドラインでは腰痛の予防や改善に対して運動が非常に有効であるという報告がされています。

まずはお家で寝る前に簡単にできるストレッチなどの運動からはじめていくのがおすすめです。

肩、首周りのストレッチ(1分間程度)

① 肘を少し曲げ、脇を少し上げまっすぐ向きます
② 両方の肩甲骨を寄せるイメージで肩を回します

スマホを長時間みた場合、姿勢は前かがみで首が前に出ている状態になっていますので肩こり予防を合わせてしっかりと肩甲骨周りをほぐしていきましょう。

股関節周囲のストレッチ(2分間程度)

① 仰向けに寝て両膝を立ててリラックスする
② 片方の膝を抱えて胸に寄せるように持ってくる
③ しばらくしたら元の状態に戻し反対を伸ばす

股関節は腰に最も近い関節です。また股関節の硬さは姿勢全体に影響する中継点になりますので寝る前にしっかりと伸ばしておきましょう

このようなストレッチを寝る前や仕事が終わった後、スマホをみた後などに行うことで蓄積してきた腰への負担を解消することができます。

「腰痛借金」などという言葉もあるように、蓄積した腰への負担はこのような運動を毎日行いその日に返済できるように継続しましょう。

腰痛のために運動を行う習慣が身につけば、有酸素運動や筋力トレーニングにも挑戦してみてもいいですね。

生活習慣の改善

最後に重要となるのは1日のたまった疲れやストレスをしっかりと解消できるように『質の高い睡眠』をとることです。

スマホを長時間みることにはブルーライトの影響により睡眠にも大きく影響することが報告されています。

質の高い睡眠をとるために寝る直前までスマホをみるような状況は避けましょう。寝ながらスマホをみるのは姿勢的にもよくありませんからね。

理想としては寝る1時間前までにスマホをみない体制を整えておくということです。

スマホを手放せない方にとってはじめはつらいことかもしれませんが、早めに照明を落とし暗い室内で就寝の準備をすることが質の高い睡眠につながるということはもはや常識でもありますので挑戦してみましょう!

まとめ

いかがだったでしょうか。
スマホをみることによっておこる『スマホ腰痛』は

① 普段の生活習慣を見直すことで悪い姿勢になる機会を減らす
② 自分の状態を確認する
③ 悪くなった姿勢をリセットする運動(ストレッチや有酸素運動)を行う

事で予防を行うことができます。

『原因が明確にわからない』『なんとなく全身が重だるい気がする』などの症状がある方はぜひこのようなチェックや対策を行ってみましょう。

<参考文献>
竹井仁 姿勢の評価と治療アプローチ
https://www.jstage.jst.go.jp/article/spinalsurg/27/2/27_119/_pdf
山梨県立大学 「スマートフォン症候群」を知っていますか?
http://www.yamanashi-ken.ac.jp/wp-content/uploads/14b02bc06ee42459146c4840ab20b61c.pdf

著者情報

腰痛メディア編集部
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