陸上競技というと、トラック競技やマラソン、跳躍競技、投擲競技を指します。種目により差はありますが、腰痛は発生します。近年、オリンピック選手が次々と日本記録を更新し、陸上競技の人気が上がっています。今回は、陸上競技と腰痛の関連性、種目別に起こる原因を解説していきます。

陸上競技と腰痛の関連性は?

陸上競技と腰痛は、他のスポーツと比べて関連性は低めです。しかし、種目によっては関連性が高いものもあります。走ることがメインであるトラック競技やマラソンは、腰よりも足のケガが多くなります。跳躍競技の場合は、腰と足のケガは半々ぐらいの割合です。投擲競技は、足だけでなく手も使いますので、いろいろなところを痛める可能性があります。

陸上競技の種目別で起こる腰痛の原因とは?

次に、種目ごとに腰痛の発生原因を紹介します。

トラック競技

短・中・長距離走

短距離走・中距離走・長距離走の中でも、腰痛になるそれぞれの原因は少し異なります。
まず、短距離走はこの中でも常にトップスピードで走るため、体に対する負担は大きいです。筋肉を瞬間的に強く動かすので、筋肉に負荷を掛けるとともに、骨にも負担が掛かります。このような負担を毎日続けていると、腰痛が出てきます。特に疲労が蓄積していると、より一層起こりやすいです。
また、短距離走で足を高く上げるには「腸腰筋」という筋肉が働いています。この筋肉は腹筋のインナーマッスルなのですが、使いすぎて疲労すると腰痛が発生するのです。なぜなら、腸腰筋は腰の骨から太ももの骨にかけて付着しているので、疲労して血流が悪くなると痛みは腰に発生するためです。
長距離走では、また違う形で腰痛が発生します。長距離を走る場合は、長くエネルギーを使える「遅筋」が働きます。筋肉は、性質により速筋と遅筋の2つに分けられていて、マグロのように赤身が多く、持久力に長ける筋肉を遅筋といいます。主に「脊柱起立筋」という姿勢を維持する筋肉が、長距離を走っている時に体幹を安定させて正しいフォームを維持してくれます。脊柱起立筋が疲労して働きにくくなると、フォームが崩れ腰痛が起こるのです。
中距離走の選手は、短距離走と長距離走における腰痛の特徴を、両方考えておかなければいけません。練習内容も瞬発力を鍛えるメニューと、持久力を鍛えるメニューを行いますので、両方の腰痛の発生原因があります。

ハードル走

ハードル走の場合も、短・中・長距離走と同じ原因で腰痛が発生します。その原因とともに、体を曲げる動作を繰り返すので、また別の負担が掛かります。体を曲げると、腰の筋肉が引っ張られ、それとともに骨や靱帯も引っ張られます。

マラソン競技

マラソン競技は、長距離走と同じ原因で腰痛が起こります。陸上競技の中でも、マラソン競技は長い時間と距離があります。疲れてきても、完走しなければなりません。疲れるとフォームが崩れて、腰の負担が増大して腰痛が発生してしまいます。

跳躍競技

走り幅跳び

走り幅跳びの特徴的な動きとして、ジャンプした時に体を思い切り反らし、一番高く跳んだところから急激に体を曲げて着地します。この動きは、距離を伸ばすためには理にかなったものですが、腰にはとても負担が掛かります。腰痛が発生してしまうと、この動きができなくなり、記録が落ちてしまいます。

走り幅跳びの場合、腰に負担が掛かると分かっていても、この動きをしなければなりません。腰痛を防ぐには、体の柔軟性を向上させ、できる限り腰の可動域を広げて負担を軽減させましょう。

棒高跳び

棒高跳びは、棒を使用するため腕に注目しがちですが、体幹をとても使っています。特に棒で跳び終わった後、体を回転させてからバーを越えます。この際、しっかり回転させなければバーは越えられません。何回も跳ぶ練習をしていると、全身の筋肉が疲労しますので、ケガのリスクが高まります。

走り高跳び

走り高跳びの動きは、有名な背面跳びです。バーを越える時に、大きく体を反らしますので、腰の筋肉および骨には負担が掛かります。他の陸上競技よりも、バーに当たらないよう目一杯反らしますので、何回も動作を繰り返すと腰痛が発生する可能性は高まるでしょう。

三段跳び

三段跳びの動作は、他の陸上競技と比べて特殊で、1回の力で全てを出し切る訳ではありません。名前の通り、三段階に分けて跳びますので、力が分散されます。よって、一回の力でケガはしにくいと考えられます。しかし、動作が大きいため、バランスを崩して姿勢が乱れた状態で跳んでしまうと、ケガをする可能性が高くなります。特に3回目のジャンプ時は、ケガが起こりやすいです。試合中の場合は、それでも跳ばないといけませんので、注意が必要です。

投擲競技

ハンマー投げ

ハンマー投げは、陸上競技の中で最も腰痛になりやすい種目といえます。なぜなら、遠心力を使って投げるとはいえ、体をあれ程の力で捻ると、腰にはとても負担が掛かります。投げる瞬間だけでなく、回転している体を止める時にも大きな負担が掛かるのです。
野球や柔道、テニス、ゴルフなども体を捻りますが、それらに比べて回転数や腰に掛かる力は、大きく上回るでしょう。

やり投げ

やり投げの動作には、あまり体の捻りがないため、あまり腰痛は起こりにくいと感じます。それよりも野球選手のように肩や肘のケガが多いでしょう。しかし、投げるためには強い背筋力が必要なため、腰痛を起こすこともあります。

砲丸投げ

砲丸投げもやり投げと同じく、肩や肘のケガが多いでしょう。しかしながら、重たい砲丸を投げるためには、背筋をとても使うため、腰痛が発生する可能性があります。
また、当たり前ですが、砲丸投げは腕の筋力が不可欠です。特に腰痛になる選手は、腕の筋力がなかったり腕がうまく使えてなかったりして、発生しています。つまり、腕では投げられないため、無理に背筋を使って腰痛を起こしているのです。腰痛が起こっている場合は、腕の使い方や筋力を見直しましょう。

円盤投げ

遠心力を使って投げる種目に、円盤投げもあります。ハンマー投げのように何回も回転しませんが、体を捻りながら円盤を投げるため、腰痛が起こる可能性は高くなります。

陸上競技の各種目で共通する腰痛の発生原因はある?

陸上競技の各種目で、共通する腰痛の発生原因はあります。それは、体幹トレーニングです。陸上競技は体の芯である、体幹の力に重きを置いています。そのため、いろいろな種類の体幹トレーニングを取り入れているところが多いです。

背筋を鍛えるようなトレーニングをしたり、腹筋を鍛えるようなトレーニングをしたりします。最近では、メディシンボールを使ったトレーニングを行っているところもあります。もちろん、体幹トレーニングはとても重要ですが、方法を間違えたり回数を重ねすぎたりすると腰痛の原因となってしまいます。
体幹を強化することは記録更新にとても大切ですが、正しいフォームで、適切な回数のトレーニングを行いましょう。

まとめ

陸上競技は、種目が多彩なため、一つ一つ腰痛の発生原因を紹介していきました。それぞれの種目で、腰痛の原因は少し違いがありましたね。ですが、共通するところもあり、特にトレーニングは本当に気を付けなければいけません。体を強化させようとしているのに、ケガをしてしまっては意味がありません。腰痛の原因を見つけ、改善してしきましょう。

<参考文献>
〇「標準整形外科学 第10版」 国分正一・鳥巣岳彦 医学書院

〇「柔道整復学・理論編改訂第6版」 公益社団法人全国柔道整復学校協会 南江堂

〇「復帰をめざすスポーツ整形外科」 宗田大 メディカルビュー社

著者情報

腰痛メディア編集部
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