「よく1日1万歩歩くといいと言われますが、どのくらい歩いたら良いですか?」と患者様によく聞かれます。歩いたほうが良いのか悪いのか?どのくらい歩いたほうがよいのか?
よく分からずにウォーキングをして、膝痛や腰痛を悪化させる人もいます。また、歩かないほうが良い腰痛もあります。
正しい歩き方ができれば、血流が良くなり肩こりや腰痛が改善したりもします。
歩いたほうが良いのか?歩かないほうが良いのか?
また、どのくらい歩くのが良いのか?
歩き方はどこに気をつけたら良いのか?など、解説していきます。

このような症状があったら歩くのは控えましょう!

まずはウォーキングに向いているのか? をチェックしましょう。
全ての人が、歩けば良くなるわけではありません。安全に運動を行うため、まずは下記項目をチェックしてみてください。

・腰痛がとても強い
・痛みが強く、さらに痛めてから数日しか経っていない(急性期)
・急激な痛み(ぎっくり腰など)
・痺れがある
・神経痛がある

 →強い痛みの場合は、炎症や骨折・損傷が疑われます。また痺れや神経痛は、神経を圧迫している恐れがあるので、運動がかえって危険なことがあります。このような症状がある場合は早めに病院を受診し、骨折や神経圧迫などがないか診てもらいましょう。
また、痛めたばかりは急性期といって、あまり動かさないほうが良い時期ですので、数日は安静にするのが良いとされています。

・痛みで腰を伸ばせない
・歩くほどに痛みが強くなる
・小股でしか歩けない

 →痛みで正しい姿勢ができない状態でウォーキングをすると、腰をかばう歩き方が身についてしまい、筋肉のバランスが悪くなります。また、腰を曲げる姿勢は腰部への負担が高まり、腰痛を悪化させる要因になってしまいます。小股でしか歩けない場合も同様で、背筋や下肢の筋肉をあまり使わない歩き方ですので、歩行による効果はあまり期待できません。
このような場合も、まずは病院での診察をお勧めします。

歩くために必要な筋力チェック

上記に当てはまらないほうは、次の筋力チェックへ進みましょう!
歩行時に片脚にかかる衝撃は、体重の約3倍と言われています。ランニング時はなんと約9倍とも言われています。単純計算で、体重50kgの人であれば、歩行時は瞬間的に150kgかかるということになります。(歩き方によります。)それだけの衝撃を筋力で支え、関節の動きで衝撃をやわらげているのです。
つまり、ウォーキングをするには体重を支える筋力が不可欠です。筋力で支え切れない場合、腰部や膝に負担が増大し、歩けば歩くほど痛みを誘発してしまったりするのです。

正常歩行を行うには、最低でも片脚で体重の40%を支えられることが必要とされており、40cm台から片脚で立ち上がれると体重の約60%を支えられているという指標になるという文献があります。つまり40cmから片脚で立ち上がることができれば、ウォーキングするのに必要な下肢筋力があると判断することができるのです。

≪立ち上がりテスト≫
①座面が床から40cm前後の椅子を用意します。(一般的なダイニングチェアやパイプ椅子などは、40cm前後です。)
②椅子に腰かけ、両手を胸の前でクロスします。(腕の反動を使わないため)
③片脚を上げて、体幹を前屈させ、反動をつけずにゆっくり片脚で立ち上がります。
④立ち上がったら2~3秒片足立ちでキープできれば、テスト成功です。

これがクリアできると、片脚で体重の約60%を支えられていることになり、ウォーキングをするには十分な下肢筋力があると分かります。

どのくらい歩いたら良い?

・目安の時間
よく言われるのは1日1万歩ですが、これは前述したように痛みがないことや、筋力が十分なことが条件です。歩けば歩くほど身体に良いかどうかは、人それぞれです。自分の目安を作りましょう!まず、適度なウォーキングの時間は、往復で30~60分程度です。この目安を元に、自分なりの適度な時間を見つけていきます。
痛みがある場合は、痛みが出ない範囲の時間で実施してください。それ以外の場合の適切な時間の見つけ方を、次で説明します。
・疲労度
疲労度の評価として《ボルグスケール》というものがあります。主観的な疲労度から運動強度などを見分ける評価です。その中で、有酸素運動と言われる強度の時の主観的な疲労度は《楽である~ややきつい》レベルと言われています。《ややきつい~きつい》までいくと、有酸素運動から無酸素運動へ変わると言われ、運動強度が増し、心肺機能に負担が増します。ウォーキングでここまでの疲労度になることは稀ですが、ウォーキングでは《楽である~ややきつい》レベルがお勧めです。

・血流改善が得られたか?
ウォーキングをした時に効果としてとても重要なものが、血流改善です。抗重力筋を効率よく使えるウォーキングは、全身の血流改善に効果的です。では、改善したかをどう判断したら良いのか?それは、ウォーキングをして体が温まるかどうかです。汗ばむと芯から温まった祥子なので、なお良いです。30分歩いて体が温まっていなかったら、もう少し歩いてみましょう。いくら歩いても温まらない場合、動きが小さく筋肉をあまり使えていません。その場合は腕を振り、背筋を伸ばし、大股で歩いてみましょう。

ウォーキングの腰痛への効果とは?

腰椎を支える筋肉として、腹筋群(腹直筋、腹斜筋群、腹横筋など)と背筋群(最長筋、腸肋筋など)、股関節~腰部へつく筋肉(腸腰筋)、股関節から骨盤・体幹を支える筋肉(大殿筋)などがあります。これらの筋肉は歩行時に使われます。これらが使われることによって腰部は守られ、変形を予防したり痛みが出にくくなると言えます。

正しい歩き方のポイント

上記を踏まえ、正しい歩き方をご紹介します!
・腹筋群と背筋群を使う歩き方
胸を少し張り、背筋を伸ばします。腰は反りすぎないようにしましょう。頭のてっぺんから紐で引っ張られているようなイメージです。腕を振ることで、背筋が丸くなるのを防ぐこともできます。

・腸腰筋を使う歩き方
腸腰筋は腰椎を守る筋肉の1つです。この筋肉は主に歩行時に足を振り出す時に使います。股関節を曲げるのに作用する筋肉です。振り出しをしっかりする歩行であれば腸腰筋が使われます。つまり適度な大股歩行がお勧めです。

・大殿筋を使う歩き方
大殿筋は腸腰筋の反対で、股関節を伸ばす筋肉です。この筋肉は骨盤を支え、体幹が真っすぐ良い姿勢を保つのに役立ちます。とても要になる筋肉です。歩行では蹴りだす時に使います。普通に地面を蹴るとふくらはぎの筋肉を主に使いますが、大殿筋を使いたい場合は太ももの後ろで蹴るようなイメージで行ってみてください。重心の位置が前過ぎると大殿筋は働きにくいので、重心は真ん中から少し後ろが良いでしょう。
また、ある程度歩幅がないと股関節は動かないので、適度な大股歩行がお勧めです。

まとめ

腰痛を良くするため、または予防するためにウォーキングをしようと思っているほうは、以下のことに気をつければ、効果が上がります。

【参考文献】
平野清孝、村永信吾、山本利春:下肢筋力からみたウォーキングの適応.臨床スポーツ医学
Vcl 19. No.4. 367-373 (2002-4)

著者情報

腰痛メディア編集部
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