「まだラウンドを回りたいのに腰が痛い!」「せっかく打ち放題に来たのに、30球で腰が限界」
ゴルフが趣味の方で、このような経験をしたことはありませんか?せっかく大好きなゴルフに来たのに、腰の痛みを抱えたままでは満足なプレーはできませんよね。それに、腰痛があっては心からゴルフを楽しむのも難しいと思います。

ゴルフというスポーツは、腰を捻りながらボールを打ち出すため、どうしても腰への負担は避けられません。しかし、ゴルファーのなかには腰痛と無縁のプレイヤーが多くいることも事実です。

ゴルフが原因で腰痛を引き起こす人と、そうでない人には一体どんな違いがあるのでしょうか。

結論を先に言ってしまうと、両者の間に大きな差はありません。言いかえれば、ゴルフ腰痛にお悩みの方も、少しの工夫だけで腰痛が改善される可能性も十分にあるのです。詳細は後述しますが、アドレスやスウィングなどのプレー動作だけでなく、コースの回り方などにも気を配るだけで、腰への負担を最小限にプレーすることが可能です。

この記事では、ゴルフ好きのみなさんが心からプレーを楽しめるように、「ゴルフで腰痛になる原因」について解説しています。腰痛の原因が分かれば、対策の方法も分かります。気持ちよくゴルフをプレーしたい方は、ぜひ参考にして下さい。

ゴルフで腰痛になってしまう原因

ゴルフが原因で腰痛になることはありますが、多くのケースにおいて、プレイヤーの行動に問題が見受けられます。ここでは、腰痛をきたしやすいゴルファーの特徴を、4つのポイントから解説したいと思います。

アドレスでの姿勢が悪い
「正しいアドレスはゴルフの基本」と言われるくらい、アドレスでの姿勢は大切です。しかし、正しいアドレスでの姿勢を意識するあまり、「胸を張りすぎて腰が反り返ってしまう」ケースが多々見られます。この「反り腰」姿勢は、椎間関節を損傷して「椎間関節性腰痛」へ発展する危険性をはらんでいます。

また逆に、「反り腰」を避けようと前屈しすぎるあまり、「猫背」になるゴルファーもいます。猫背姿勢は、椎間板を痛めるリスクがあり、これも避けた方がよいアドレス姿勢です。気になる方は、スマホカメラなど使用して、定期的にご自身のアドレスを確認してみるとよいかもしれません。

腰への負担が大きいスウィング
腰骨へのスウィングの負担は、特にインパクトからフォロースルーに至るときに顕著になります。特にインパクト時と、スウィング後の伸展時には、腰に大きな力がかかると報告されています。右利きのゴルファーの場合、この伸展時フォームを「逆C型ポジション」と呼ぶことがあります。「逆C型ポジション」は右側の椎間関節と椎間板を障害しやすいため、右利きのゴルファーでは、右側の腰が痛むことが多いのです。

スウィングは、体幹の回旋運動(捻りの運動)が基本のため、腰骨にも大きな回旋力を生じます。研究結果によると、体重の約8倍の力が腰にかかるとされ、腰への負担は避けられません。特に、小中学生のような発育期のゴルファーにとって腰骨への負担は、「腰椎分離症」につながるリスクがあるので注意が必要です。

また、意外なことに、プロゴルファーとアマチュアゴルファーを比較した研究では、「アマチュアゴルファーの方が腰骨にかかる負荷が大きい」という結果が得られています。理由としては、プロゴルファーの方が、脊柱起立筋(背骨の後方にある体幹筋)の緊張が少ない状態でスウィングをしているため、腰へのストレスが少ない滑らかなスウィングをしているからです。

これを言いかえると、「適切なスウィングを習得すれば、腰痛のリスクを最小限に抑えられる」ということです。

具体的なスウィングのポイントは、「スウィングは腕でするものでない」ことを意識することです。回転させるのは腕ではなく体幹です。股関節から肩にかけての体幹をしっかりと回転させれば、腕は自然とついてくるはずです。「体幹の動作に腕がついてくる」フォームを習得すれば、腰を痛めるリスクを軽減できるでしょう。

プレー以外にも腰痛の原因はある
アドレスでの姿勢やスウィングの方法は「いかにもな腰痛の原因」ですが、実はプレー以外にもゴルフ腰痛の原因は潜んでいるのです。

その一つに、「プレー前のストレッチ不足」があります。ゴルフは、ラグビー・柔道のような激しいコンタクトスポーツでもなければ、マラソンのような激しい有酸素運動でもありません。けれど、れっきとしたスポーツであり、プレー前のストレッチが腰痛を含むケガの防止に役立ちます。

特に入念にストレッチを要する部位としては、背部と腰部が挙げられます。これらは、ゴルフでよく使う筋肉である一方、普段の生活では意識しないと動かさない部位です。そのため、プレー前に十分なストレッチをしておかないと、思わぬケガにつながる危険性があります。

また、ゴルフコースをあまり歩かず、カートに乗って移動することも腰痛のリスクと言えます。当然ですが、筋肉は温まっていた方が柔軟性も高く、損傷しにくい特徴があります。

カートでの移動を繰り返していると、せっかく温まりかけた筋肉が再び冷えて硬直してしまいます。そして、柔軟性が失われた頃に順番が回ってきてスウィングをする、という悪循環につながりがちです。

そのため、長距離移動時を除いて、ゴルフコースはなるべく歩いて移動したほうがよいでしょう。軽いウォーキングによる有酸素運動効果も見込めて健康的ですよ。

ゴルフボールの拾い方も腰痛につながる
意外なポイントだと思いますが、ゴルフボールの拾い方も腰痛の原因になります。

具体的には、「立ったまま前屈みになってボールを拾う」姿勢は危険です。極端な前屈姿勢は、椎間板を痛める可能性を有し、「椎間板性腰痛」発症のリスクになります。

ゴルフボールの正しい拾い方は、「膝を地面につけるように屈んで」拾う方法です。面倒と思うかもしれませんが、プレー中はボールを拾う動作を何回も繰り返します。その度に、腰に負担をかけていては、いつ腰を痛めてもおかしくありません。

ぜひ、正しいボールの拾い方で腰への負担を軽減してあげて下さい。

まとめ:正しい腰痛対策で楽しくゴルフをプレーしよう

今回の記事では、ゴルフと腰痛の関係について解説いたしました。

ゴルフは腰を回旋させる動作を繰り返すため、どうしても腰への負担が大きくなりがちです。しかし、正しいアドレスやスウィングを身につけることで、腰痛を予防できることが分かっています。鏡やスマホカメラなどを使って、ご自身のフォームをいま一度確かめてみて下さい。腰痛対策だけでなく、スコアアップにもつながるかもしれませんよ。

また、プレー以外にも腰痛を回避するためのポイントがありました。共通事項としては、「筋肉を温めて柔軟性を高めることがケガの回避につながる」ということです。はやる気持ちを抑えて、入念な準備をしてからプレーに臨むことを心がけましょう。

本記事が、みなさんのゴルフ生活の参考になれば嬉しいです。正しい腰痛対策をして、心からゴルフを楽しみましょう。

【参考文献】
・【ゴルフ障害の治療・予防・コンディショニング】ゴルフ障害の予防と治療 ゴルフにおける腰痛の治療
東野 恒作(徳島大学 大学院感覚運動系病態医学講座運動機能外科学), 西良 浩一
臨床スポーツ医学 (0289-3339)33巻3号 Page252-255(2016.03)

著者情報

広下若葉

保持資格

医師国家資格・麻酔科標榜医

経歴

2015年:医師国家資格 取得

2017年:初期臨床研修プログラム 修了

2020年:麻酔科標榜医 取得

    麻酔科専門研修プログラム 修了

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