車社会とも言われる日本では、狭い国土を7,600万台もの車が走っており、そのうちにおよそ6,000万台が乗用車とされています。

そして、日常的に車の運転をされる方の中には、腰痛を訴えられる方も少なくありません。では、車の運転によってなぜ腰痛が出てしまうのでしょうか。

車の運転で腰痛が出る方の特徴

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車の運転によって腰痛を訴えられる方は少なくありませんが、一方で、車を運転する方であってもまったく腰痛を感じないという方もいらっしゃいます。では、車の運転にともなって腰痛が出る方には、どのような特徴があるのでしょうか。

長時間車を運転している

車の運転によって腰痛が出る方の特徴としては、長時間に渡って車を運転しているということがあげられます。長距離トラックの運転手や、タクシーのドライバーに腰痛が多くみられることからも、長時間の運転が腰への負担を増すことが分かります。

誤ったドライビングポジション

車の運転によって腰痛が出る方の特徴としては、誤ったドライビングポジションで車を運転しているということもあげられます。

ドライビングポジションはその名の通り、運転する際の姿勢を意味しますが、正しいドライビングポジションを取っていないと、腰痛のリスクを高めると考えられています。

猫背になっている

運転中に猫背になっていることも、車の運転にともなう腰痛のリスクを高めます。背中が丸くなることで腰への負荷が増し、腰痛につながりやすくなるというわけです。

車の運転で腰痛が出る際に起こっていること

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車の運転によって腰痛が出る方には上記のような特徴がありますが、その際、身体にはどのようなことが起こっているのでしょうか。なぜ腰痛が出るのかを知るためには、身体に起こっていることを理解することが重要です。

筋肉や筋膜の緊張

誤ったドライビングポジションや猫背、長時間に渡る運転にともない、筋肉や筋膜が緊張しやすくなります。

筋肉の緊張

筋肉は1つの塊として体内に存在しているのではなく、筋線維の集合体として存在しています。鶏のささみを茹でると手で容易に裂くことができますが、あの1本1本が筋線維だと思って間違いありません。

運転中の姿勢や長時間の運転によって筋線維が収縮すると、ちょっとした衝撃で切れやすくなります。筋線維が切れるというと驚かれるかもしれませんが、例えば筋肉痛などは筋線維が断裂することで起こっています。

腰に関してみた場合、腰部の筋線維が広範囲にわたって断裂すると、ぎっくり腰を発症するリスクが高くなります。硬くなった筋線維は、古くなったゴムのように切れやすいのです。

筋膜の緊張

最近になって腰痛の原因として注目されているのが、筋膜にみられる緊張です。先ほど筋肉は筋線維の集合体だと説明しましたが、筋線維を束にして覆っているのが筋膜です。

実は、筋肉には痛みを電気信号にして脳へと送る侵害受容器がありません。では、どこが脳へ痛みの信号を送っているかというと、それが筋線維を覆っている筋膜という訳なのです。

筋膜は繰り返される圧迫や重積によって硬くなり、それが腰痛のリスクを増しているのです。画像診断で異常がみられない場合、腰痛が筋膜の緊張によって起こっている可能性があります。

血行不良

車の運転によって腰痛が出ている方に共通しているのが、腰部に血行不良がみられるということです。運転中の姿勢や長時間の運転によって筋肉が硬くなると、血管が圧迫され血行不良を招きます。

筋組織に送られる血液が不足することを筋疎血(きんそけつ)と言いますが、筋疎血が起こった場所には痛み物質が生じやすくなります。そのため、血行不良も腰痛の一因と考えられるのです。

骨盤の後傾

車の運転によって腰痛が出る方には、骨盤の後傾がみられることも少なくありません。骨盤が後傾(後ろに傾き猫背気味になること)すると、臀部の筋肉やハムストリングス(太ももの裏側の筋肉)が緊張します。

臀部やハムストリングスが緊張すると、そのけん引力によって腰への負担を増し、結果として腰痛発症のリスクを高めるのです。

車の運転で腰痛が出る際の注意点

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車を運転していて腰痛が出るような方は、次のようなことに注意する必要があります。可能な限りの対策を講じ、腰痛の発症リスクを下げましょう。

ドライビングポジションを見直す

運転中に腰痛が出る場合、ドライビングポジションを見直す必要があります。チェックするポイントは、シートの位置、ハンドルの位置の2点です。

まず、シートに深く腰かけた状態で足を延ばし、左足がしっかりとフットレストにかかる位置へシートをスライドさせましょう。また、右足でアクセルやブレーキを目いっぱい踏んだ状態で、ひざが伸びきらないことも重要です。

ハンドルの位置は、両手でつかんだ時に肘が伸びきらない位置に来るよう調整しましょう。リクライニングを調整することで、腰痛だけでなく肩こりのリスクも下げることが期待できます。

休憩をはさむ

長時間の運転で腰痛が出るような場合、運転中に休憩を挟むことも重要です。高速道路であれば、下車してストレッチをおこなうのもよいでしょう。一般道であれば、道の駅やコンビニで一息入れることもおすすめです。

車の運転で腰痛が出る方は骨盤を起こそう

車の運転中に腰痛が出る方には、骨盤を起こすことがおすすめです。運転中に限ったことではありませんが、骨盤を起こすことによって腰痛発症のリスクを下げることが期待できます。

骨盤を起こすメリット

骨盤を起こすことのメリットとしては、腰痛の発症リスクを下げるだけでなく、上半身をリラックスした状態に保てることがあげられます。

腰痛の多くは腰だけでなく、全身のバランスの乱れや、筋肉や筋膜の緊張に起因しています。例えばシャツの首の部分を上に引っ張ると、腰のあたりにも緊張が生じると思います。

つまり、首まわりの筋膜の緊張も、腰痛の発症リスクを高めると考えられるのです。そのため、運転中はなるべく上半身をリラックスさせることが重要です。そのもっとも簡単な方法が、骨盤を起こすことです。

骨盤を起こすためには坐骨に体重を乗せる必要がありますが、坐骨に上半身の体重が乗ることで、上半身に無駄な力が入っていない、理想的な姿勢を得ることができます。

骨盤の起こし方

骨盤を起こす簡単な方法が、坐骨に上半身の体重を乗せるという方法です。坐骨は座った時に、最初に座面に付く骨のことを指します。

車のシートに座る時はいきなり深く腰かけるのではなく、浅く腰かけて坐骨に上半身の体重を乗せることが重要です。シートと腰の間にクッションを入れるなどすると、坐骨に体重を乗せやすくなりますよ。

寝る前にストレッチをおこなうこともおすすめ

骨盤を起こすには、寝る前にストレッチをおこなうこともおすすめです。骨盤が後傾するもととなるハムストリングスや臀部の筋緊張を緩和することで、骨盤の後傾を改善することが期待できます。

忙しくてストレッチをする暇がない方は、疲れていてストレッチをする気力が湧かない方には、バスタオルを使った簡単なストレッチがおすすめです。

1.バスタオルを縦に2回、横に2回折りたたむ
2.ベッドや布団にあおむけに寝て、ベルトラインにバスタオルを横向きで入れる
3.骨盤が反るイメージで30秒から1分ストレッチする

このストレッチを寝る前におこなうことで、傾いてしまった骨盤をリセットできます。ただし、バスタオルを敷いたまま寝ないよう気を付けてください。

まとめ

車の運転によって腰痛が出る場合、血行不良や骨盤の後傾、筋肉や筋膜の緊張がみられる傾向にあります。そのため、普段からドライビングポジションに気を付け、腰痛を未然に防ぐことが重要です。

どうしても長時間運転しなければならない場合、途中で休憩を挟み、身体が固まらないようにしましょう。また、シートと腰の間にクッションを入れることもおすすめです。

<参考文献>

自動車産業Q&A・
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腰痛メディア編集部
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