中腰の姿勢、子どもを抱える、かがんだり立ったりの繰り返し。家事育児は思うよりずっと腰に負担がかかるもの。2014年の調査では、主婦の腰痛率は85%で、他の属性に比べて最も高い結果となりました※1。何の対策もしなければ日常の家事で腰痛がおこり、さらには悪化させることになりかねません。ここでは腰痛を防ぐ手抜き家事のライフハックをご紹介します。家事ストレスを極力抑える、楽しい手抜き家事を今日から試してみませんか。

腰より大切な家事はない

365日ほぼ休むことがない日常の家事。腰痛は気になっても、腰痛予防を意識することは難しいものです。また、慢性的な腰痛で家族に迷惑をかけるのがつらいと思う人は約60%にものぼり※2、腰痛を理由に手抜き家事をするのもはばかれることが多いでしょう。しかし、腰痛による損失は各国でも総額で80%以上と言われ※3ており、経済的な観点からしても家事で腰に負担をかけることはリスクが高いと言えるのです。腰より大切な家事はありません。

腰痛を防ぐ家事1姿勢

前かがみに注意
前かがみの姿勢になると、椎間板に普段の1.5~1.85倍も負荷がかかります。日々の腰への負担が積み重なり、消耗品とも言われる椎間板がすり減り、神経を圧迫して痛みがでます。猫背の前かがみの姿勢は避け、視線の高さを平行にキープできるような工夫が必要です。よく使うものは目線の高さの位置にしまうとよいですね。

顎がでる姿勢に注意
顎を突き出したりあげたりして、首をすくめる姿勢では、丸まる背中や腰には負担が集中します。猫背に気づいたら、顎を引き気味にし、肩甲骨を寄せて落とすイメージで、前に出た肩をなるべく引いた姿勢に戻すよう心がけてみましょう。

立ちっぱなしに注意
姿勢を保つ筋肉は、30分程度しか持ちません。2015年に医学誌『Human Factors』では、1日5時間立ちっぱなしになると、腰痛や筋骨格障害のリスクが高まるとしています。
立ったままの作業が必要なときは、両足を肩幅に開き、前後にずらして立つことで重心が安定し腰の負担を減らせます。前かがみになる場合は、背中や腰から体を曲げず、股関節から曲げるように意識しましょう。また、適度に腰を揺らしたり、伸びや前屈を取り入れたりと体をこまめに動かすことで、凝った筋肉の循環をよくすることもおすすめです。

座りっぱなしに注意
立つより椅子に腰掛ける方が腰への負担は少ないと思われがちですが、実は、立位より椅子に座る方が腰にかかる負担は高いとわかっています。直立の姿勢で腰椎にかかる負荷を100としたとき、椅子に座った場合は140、椅子に座って前かがみになると180と数値が跳ね上がります。安楽椅子やリクライニングチェアだと50に減るため、家事で椅子を利用する時は丸椅子などは避けるべきでしょう。

腰痛を防ぐ家事2物の持ち方

物を持ち上げるときは一方向に背筋を使うため、筋肉に大きな負担がかかるとともに、椎間板内圧も上昇します。ひねりや振動も加わると、腰痛発生のリスクが高まるので要注意です。
膝を曲げてできるだけ物に近づき、上体をまっすぐにしてゆっくりと持ち上げます。膝を伸ばしたまま遠くのものを持ち上げないようにしましょう。

腰痛を防ぐ家事3動作は一拍置いて

体を動かす際には、自分の意志で動かすことのできる随意筋が使われます。体を反射的に動かすと、脳から筋肉への動けという司令が間に合わないまま、腰の筋肉が働きます。不意にかかった腰への負担が腰痛の原因にもなり得るのです。急激な動きは避け、動作と動作の間は一拍置くように心がけるとよいでしょう。

腰痛を予防する楽しい手抜き家事

2014年建築学会の調査では、家事の楽しみが高いとストレス・疲労感を減らし、慢性腰痛への間接効果を認める※4とわかりました。現在腰痛を患っている人も、手抜き家事を楽しむことで腰痛の軽減につながります。家事の効率化・省略化を徹底研究することも楽しみの1つになるかもしれません。その分好きな家事には時間をかけることで、より家事が楽しくなるはずです。

腰痛を防ぐ手抜き家事1料理

料理の時短はストレス軽減にもなるものです。
シリコンスチーマーやシャトルシェフ、ホットクック、炊飯器など、調理用具の活用は主婦に人気です。
キッチンの掃除も手間になるため、あらかじめ新聞紙を敷いてその上にまな板を置くことも時短につながります。袋物は直接まな板の上におかず、袋をまな板シート代わりに活用すれば、料理中の洗い物が減るでしょう。ひとつひとつお皿に盛るのも楽しいものですが、ワンプレートや大皿料理で片付けや洗い物を減らすのも時短につながります。

腰痛を防ぐ家事2掃除

腰痛が発生しやすい家事の1位はお風呂掃除です。まずは日々のお風呂掃除を見直したいもの。浴室内は目線の高さにあわせた、浮かせる吊り下げ収納で、物を取るときに屈んだり立ったりする動作を減らします。また、床の掃除もしやすく、ぬめりの予防にもなるでしょう。毎日屈んでバスタブをゴシゴシ洗っていたのなら、スプレーして流すだけのお風呂用洗剤に変えてみましょう。
室内の掃除ではカンガルーエプロンがおすすめ。必要なものをあらかじめ入れておき、その都度物を出し入れする手間をはぶきましょう。雑巾も管理に意外と手間がかかります。使い捨てウエスを用いることも考えてみるとよいですね。

腰痛を防ぐ家事3洗濯

洗濯ものをたたまない、ハンガー収納やカゴにいれておくだけ収納も人気です。たたむ場合は、正座して前かがみになっての作業は避けましょう。ショップの店員さんのように立ったまま、もしくはかがまずにたたむと腰への負担も軽減できます。
かがまず干せる洗濯カゴフックや平干しネットを利用することで、時短とともに腰痛を予防できます。洗濯自体の効率化で、乾燥までできるドラム式洗濯機は高価ですが、家事のコスパが計り知れないと人気ですね。

腰痛を防ぐ家事4買い物

買い物では重いものを抱えて置く動作が腰痛の危険性をはらんでいます。重いものはネット通販やお届けを利用すると、ストレスも軽減できます。買い出しに行く際は、マイバッグは3種用意して、冷凍・冷蔵物用、野菜果物用、その他乾きもの用にわけると帰宅後の仕分けの手間も省略できるでしょう。
自転車もサドルのクッション性、ハンドルの高さや角度など、自分にあうよう調節することがおすすめです。
車で買い物にでかける場合は、シートの腰部分当てにクッションなどを利用するといいでしょう。メガネが合っていないと、焦点をあわせるためつい前かがみになり、腰への負担が高くなります。座席や姿勢も自分用に調整してからでかけるといいですね。

まとめ

毎日の家事で知らぬ間に腰の疲労が蓄積し、腰痛を発症しやすい状態になっています。また、多忙な日々で運動不足に陥っていることで、さらに腰痛のリスクを高める原因にもなっているのです。女性は出産やヒール履きなど、男性よりも腰痛の要因が多いもの。家族での家事シェアなしには腰を守り抜くことができません。積極的な時短・手抜き家事で、腰痛を予防しましょう。
大切なのは何より家事を楽しくすることです。お気に入りの家事グッズやインテリアは、決して無駄なものではありません。ストレスなく心豊かに暮らすことが間接的に腰痛予防につながります。健康で生き生きと日常を送ることがご家族の幸せになるのです。
もうすでに腰痛で家事が苦痛になっている場合は、「腰痛ドクターアプリ」を利用してみましょう。

※1 https://mydream.co.jp/press/PR_108day_Report_140325.pdf
※2 https://www.shionogi.com/content/dam/shionogi/jp/news/pdf/2016/161018_2.pdf
※3 http://www.chugaiigaku.jp/upfile/browse/browse667.pdf
※4 https://www.jstage.jst.go.jp/article/aije/78/690/78_655/_pdf

【参考文献】
腰痛治療「0分」革命! 主婦と生活社
腰の痛み、手足のしびれ背骨が関わる病気の診断・治療ガイド NHK出版
腰の痛みがみるみるよくなる100のコツ決定版 主婦の友社

著者情報

腰痛メディア編集部

こんにちは。 腰痛で悩む多くの方に役立つ情報を毎日お届け。それぞれが違った痛みの場所・違った痛みの度合い・違った原因をお持ちです。 一人一人が自分の腰の状況(病態)を理解し、セルフマネジメントできるようになることが私たちの目標です。記事のご意見・ご感想お待ちしております♬

この著者の他の記事を見る